TITLE:イタリア・デザインの秘密

なんで、イタリアは世界のデザインの聖地になりえたのか、、という話です。
勿論、独断と偏見です

293549919_176.jpg

写真はメンフィスを代表するデザイナー、ソットサスの飾り棚「カールトン」
イタリアには家具メーカーとして登録されている会社が3万社と言われています。そのうち、何らかの意味で「サローネ」(毎年のミラノ家具展)に関わりあうメーカーの数は2000社と言われています。つまり、サローネで見るイタリア・デザインはほんの氷山の一角ということになります。
何を言いたいのかというと、イタリアの家具産業を支えているのは中小企業だということです。
これらの会社は殆どオーナー経営者で、おまけに、かなりのお金持ちが多いのです。私の知ってるオーナー社長でも、乗り継いだフェラーリは20台以上とか、本格的なクルーザーを所有してたり、、、ともかく、日本の同じ規模の会社の社長に比較すると(私も含む)桁違いリッチなのには驚きます。
どうしてそんなにリッチなんだろう?といろいろ聞くと、つまり相続税が日本に較べて、極端に低いようなんですね。例えば、日本では公開してない株についても、相続の折には税務署の基準で評価をされ、その評価額に応じて相続税が課せられます。その額が過酷で、3代で資産なくすとか言われています。
調べた訳ではないので、本当かどうかは知りませんが、イタリアで聞いた話では、イタリアでは公開されてない株についての評価は、日本に較べて極端に低く、非上場企業の相続が容易なので、お金持ちはずーっとお金持ちなんだそうです。勿論、会社が業績不振で倒産したりしたら、これは話は別ですが・・
つまり、「格差社会」という意味では、イタリアは日本とは比べ物にならない程の「格差社会」と言えると思います。
 1) 中小企業のオーナー経営者であること
 2) そのオーナー経営者がお金持ちであるとこ
 3) 家具産業だけをみても、企業の数は3万社と膨大であること
この社会環境が、実はイタリア・デザインの秘密だと思うのです。
つまり、その3万社のオーナー経営者が、自分の独断と偏見と価値観で、採用する製品のデザインを決める。そして、リスクについては、個人資産が豊富なので、多少のリスクについては自分の資産の範囲内で吸収することが出来るので、デザインの冒険も厭わない。
そうすると、何が起きるかというと、毎年、毎年、その3万社のオーナー経営者が独断と偏見で採用した製品と、そのデザインが世に出てくる。「サローネ」だけをとっても、出展企業2000社の社長が選択した価値観が製品となって、一同に会するわけで、まさに百花繚乱!!
デザインの先進性は、ある意味では多様性によってもたらされると思うのですが、日本ではどうしても個人の価値観が製品にダイレクトに反映され、世に出る事は少なく、合議制というフィルターを通す事で、悪くはないが、当たり障りがなく、反対も出来ないというデザインが溢れる結果になってしまうと思うのです。

カンパーナ兄弟の廃材の椅子
古くは「メンフィス」とか、最近ではカンパーナ兄弟を見出した「エドラ社」とかが世に出しているデザインは、日本では想像を絶すると思うし、日本的な大企業の合議制の中では、決して世に出ることはないと思います。
ワイャーのソファー、、座ると限りなくお尻が痛い。この世のものとは思えない座り心地の悪いソファー
最後に、もう一つの秘密は、イタリアのこういった企業は社内にデザイン部門を持たなくて、全て外部のデザイナーを使うので、デザイン会社が発達し、それに連れて世界中のデザイナーがイタリアに集まってきて、それがまたイタリアデザインを活性化してきたということもあります。
以上、、繰り返して書きますが、これは独断と偏見です。
結論、、「日本では深沢直人は評価されるが、カンパーナ兄弟は一般的に評価されない」
(ちょっと言い過ぎかな??)

投稿者 nabe : 2006年12月16日 10:29