TITLE:メゾン・ド・オブジェ(2)

前回のシャンデリアの話とも密接な関係がある話です。
ここ5年くらいのサローネでも、次第にその色が濃くなってきている「ウォーム・テースト」の流れがあります。一時、私もこのトレンドを少し誤解していて「モダン・バロック」という言葉を使っていましたが、どうも今回のトレンドはそんな一つの言葉では言い切れない多様性を持っていると考えています。
そのトレンドの一つに「脱工業製品」という言葉がいいかどうか分かりませんが、大量に生産されているものに対しての嫌悪感があるように思います。
「バウ・ハウス」のアンチ・テーゼとして「メンフィス」が生まれたように、ミニマル・デザインという「美しい」のだけど、形状そのものは「工業製品化」しやすく、実際に大量に安価に生産され、市場に溢れる製品ではなく、もっと自分らしいもの、誰もが持ってないものを求める市場が生まれてきていると感じています。
余談になりますが、スタルクの樹脂の一体成型の椅子「TOY」はデザインだけでなく、その価格が衝撃的だったのですが、あまりに大量に販売されたせいか、カフェとか、特に美容院にこの「TOY」が溢れたのを見たときには、思わず苦笑しました。その後もスタルクや他の有名デザイナーもこの手を椅子を出し続けましたが、最近では新作はあまり見ないようになりました。
http://shopping.yamagiwa.co.jp/shop/goods/goods.aspx?goods=A-939AD2916
いま生まれつつあるプロダクトは、どんな製品なのでしょうか。
いろいろな側面があると思いますが、今回はまず「アートへの回帰」という動き、、でもアートは高価過ぎるので、アートの匂いのする製品、そして、ハンド・メイドの製品、もしくはハンドメイドの匂いのする製品、、この二つ切り口からメゾン・ド・オブジェで見つけた製品をを取り上げてみます。

写真(右)はアレッシーの新作の籠、、デザインは言わずと知れたカンパーナ兄弟。アレッシーもステファノ・ジョバンノーニ的なポップな製品からの方針転換か?エドラのワイヤー・の椅子と同じように、とても工業製品とは思われないけど、アレッシーだから量産製品なんでしょうね。でも、一体、どうやって量産するのだろう?? 不思議!!
エドラのワイヤーのソファ
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=293549919&owner_id=5661208

写真(左)はハンド・メイドの椅子。刺繍がカワイイ
一つ、一つ丁寧に職人によって仕上げられていると思われる。
写真(右)は机、、これは何風というのだろう?中近東風というのか? インド風といえばいいのか?でも美しい。これは欲しいと思った。これも、ハンド・メイドの匂いがする。
これはほんの一例ですが、前回書いたように「シャンデリア」が会場に溢れていたり、量産メーカーとアレッシーさえも、量産がしにくいデザインの製品を発売してくる時代になってきたようです。