TITLE:サローネ事前情報(1)

 世界最大のインテリア・イベントである、ご存知「サローネ」の開催まであと一ヶ月を切ったので、そろそろ事前の情報を上げて行きます。
 
 サローネに行く予定の方は必見だし、行かない人も事前の情報から、実際のサローネの事後記事と継続して読むことで、サローネの感じ方が違ってくると思います。当然ですが、この「NabeForum」でもサローネの報告を掲載する予定なので期待して下さい。
 今年のサローネは来月18日から23日までの会期で、北イタリアの都市ミラノで開催されます。メインの会場はミラノ郊外にある「フィエラ」という巨大な展示会場で、まさしく巨大、、どのくらい巨大かというと、会場の中央に動く歩道があり、その歩道の両側に展示館がズラリと並んび、その歩道の長さが1kmもあるという代物。当然ですが、フィエラの全ての会場を見るというのは、殆ど不可能だし、もし見たとして単に会場を歩き回る以上の意味はないと思います。
 ですから、自分がどんな家具を見たいのか、どのメーカーの製品を見たいのか、事前によく調べてから行かないと、会場をウロウロするだけで終わってしまう恐れは十分にあります。ここ「NabeForum」でも事前に入手した情報をリアルタイムで掲載する予定ですので参考にしてください。
 サローネは基本的には「家具」の見本市ですが、併設として隔年で「キッチン」と「照明」の見本市が開催されます。いわゆる「ユーロクッチーナ」と「ユーロルーチェ」です。今年は照明の年ですのでキッチンを見たい方は来年にされたほうがいいかと思います。
 会場では企業ベースの展示の他に、新人デザイナーの登竜門として「サテライト」という催しもあり、若いデザイナーの息吹を直接肌で感じる事ができるので、中々興味深く、私は必ず訪れる催しです。最近では、単に独立した個人のデザイナーだけでなく、企業内の新人デザイナーが企業の後援を受けて出展する場合もあり、こういったイベントが企業ベースで使われるというのは、私としては少し否定的な考えを持っています。
 サローネでは最近このフィエラの会場での展示だけではなく、ミラノ市内でかなり広範囲に展示が広がっています。デザインナーの特別なプレゼンテーションから、インテリア産業以外からの特別展示もあり、サローネも単にインテリア産業だけの枠に留まらず、デザイン全般のプレゼンテーションの場として変化してきています。
 TOYOTAは二年前から積極的にサローネで特別展示を行うようになりました。昨年の吉岡徳仁 を使ったプレゼンテーションはかなり話題になりました。デザイナーでは、インゴマウラーがクリッチィアのスタジオを借り切ってのプレゼンテーションは毎年衝撃的です。ロンアラッドも毎年市内の画廊を借りてのプレゼンテーションをやってましたが、一昨年から「ドルチェ&ガッバーナ」の後援を受けて大きな規模になりました。特に、昨年は「ドルチェ&ガッバーナ」が新たに建築した自前のコレクション会場でのロッキング・チェアのプレゼンテーションは昨年の11月8日の日記の「ドルチェ&ガッバーナの純利益」でも紹介したとおりです。
 もう一つの見所は「トリェンナーレ」という市内の会場で開催される企画展です。今年の情報はまだ掴んでいませんが、ここでの展示は毎年かなりインパクトがあるので、サローネに行かれる方は必ず予定に入れるのをお勧めです。過去の展示で印象に残るのは「ソットサス展」「ガェターノ・ペッシェ展」、日本の企業ではエンツォ・マリーのデザインで「HIDA」が発表した新作展が印象に残っています。
 近年、このサローネの情報発信力に注目して、日本のメーカーもかなり積極的に展示スペースを持つようになりました。産業デザイン振興会も昨年はトリエンナーレで「日本のグッド・デザイン」の特別展を開催したり、東京デザイナーズ・ウィークも市内で特別展をやってました。過去の日本の企業の展示で特に印象に残っているのは、いい意味でも、悪い意味でも、あの「IDEE」がスプークトニクを担いで開催した特別展です。なぜいい意味で、なぜ悪い意味なのかは、ここでは秘密にしておきます。
 他の企業のことはあまり悪くは言いたくないのですが、日本の企業がサローネで特別展をする場合は、何故か世界に向けての情報発信ではなく、日本に向けての情報発信とイメージのフィード・バッグが目的ではないかと思われる点です。ですから、日本企業の展示に訪れるお客の大半は日本人ですし、海外のメディアが注目する事は殆どありません。私の知ってる限りで、海外のメディアに注目されたのは、前述の「IDEE」と「TOYOTA」「HIDA」そして、「NEXT MARUNI」ぐらいです。
 どうしてなんだろうと考えると、一つは当初から出展の目標が「日本へのイメージのフィード・バッグ」であるとしか思えないのと、二つ目が、こういった企画をするスタッフがあまりに世界のデザインのレベルを知らなさ過ぎるという点だと思います。
 今年も多くの日本企業がサローネに出展するようですが、目的が「日本へイメージのフィード・バッグ」だけではないとこを祈ります。
 いずれにしても、このサローネはインテリアやデザインに関わる人間として必見であるのと、世界中からインテリア・デザイン関係者がこのミラノの地に集まってきます。日本では一度も会ったことがないのに、ここミラノののサローネでは毎年会うというような人もいる程です。デザインを見るという目的以外に、デザイン関係者との交流と意見の交換というのも、このサローネでの楽しみの一つです。