TITLE:イタリア・ドイツを廻ってみて

 一ヶ月の間、イタリアとドイツを廻ってみて思うことは、製品の驚くべき多様性と、その多様性を受け入れることが出来るマーケットのダイナミックさです。これだけ多様な価値観を持つデザインが、これだけ大量に溢れる市場というのは、一体なんだろうと思うと同時に、振り返って日本のインテリア・マーケットの均一性は、新しいデザインが生むことが出来るのだろうかと少し心配になってしまいます。未だに無印的デザインがグッド・デザインとして評価されてしまう市場の後進性が日本の現実だとしたら、新しい創造的なデザインを志すものとしては、この市場の中で何が出来るのだろうと考えてしまいます。
 時代はDECOに向かって大きく舵を取り始めました。あのB&Bさえも、チッテリオをバックヤードに押し込んで、新しいデザインの息吹を感じさせる製品の展示を始めました(聞くところでは、この展示は急遽決まったそうです)。日本でも恐らく2,3年後にはDECOの動きがもっと顕著になってきます。
 ここで、難しいのは、そのDECOがどんな方向に向かうのだろうという事と、ミニマルと違ってDECOは多様性の世界ですから、ありとあらゆる可能性が出てきます。クラシックなDECOであったり、レトロなDECOであったり、光物であったり、ポスト・モダンもその大きな可能性だと思います。
 DECOの突き進むと、他が持ってない、自分だけのものを保有する欲求も出てきます。5年前に発行した「Bay Book」の中で、アートと工業製品の中間にマーケットが存在するのではないかという文章を読まれた方も見えると思いますが、まさにここでマーケットは芽生えつつあります。ロンアラッドの限定品や、今回のMoooiから展示されていた大型のシャンデリアは限定2台で完売したそうです。先日、{Casa Brutus」の吉家編集長のメールマガジンにも同じような事が書いてありました。
 このような時代の流れを受けて、TOYO KITCHEN STYLEの次の一手は何があるのだろう?いろいろ考えさせられた一ヶ月でした。

 余談になりますが、ドイツで面白い会議室を見かけた。会議室の椅子がバラバラなのです。ちょっと意表を突いたのですが。なかなか新鮮で面白いと思いませんか?