TITLE:デザイナーの感性

 随分と前の話だが、「エゴン・シーレ」「クリムト」の実物がどうしても見たくて、ヨーロッパ出張の合間にウィーンに行った。
 もっとも、花より団子の私は、本場の「ザッハー・トルテ」と「ウィンナー・シュニッツェル」を食べてみたいという気持ちもかなりあったけど、、
 生憎、エゴン・シーレは多く展示してある美術館が改装中で、他の美術館で数点しか見えなかったけど、クリムトはベルベデーレ宮殿の国立オーストリア美術館・・?だっけ、、そこにかなり展示してあって、クリムトは堪能した。

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 その時同行したのは、開発担当の役員で、彼はデザイナー出身、、じゃなくて、、いまもデザイナーでした。ともかく、うちのデザイン部門を統括する役員なので、彼とよくヨーロッパに出張して、同じものを見ることで、製品企画に関しての認識や、価値観、意識を、出来るだけ同じにしている。また、刺激があるものを見て、まだ興奮状態の時に現地でいろいろ意見を闘わせる。
 この会議を、社内では、「空港ラウンジ会議」とか、「ホテル・ロビー・スプマンテ・会議」とか呼んでいる。過去のTOYO KITCHENの新製品の企画の多くは、この類の会議がスタート時点であることが結構多い。
 ちょっと、話は横にそれたので、、、そうそう、 クリムトの話でしたね。

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 そのベルベデーレ宮殿の中で、特に特別の部屋に展示してあるのはご存知「接吻」、、宮殿には建物の四隅がタワーになってて、そのタワーの部屋が特別展示室になっている。美術館には珍しく窓が大きく取ってあり、光がサンサンと降り注いでいる。恐らく、何らかの紫外線を遮断する仕掛けがしてあるんだろうとは思うけど、光の中で見る「接吻」また美しさが違う。
 「これは凄いね・・」  って、、同行の役員のほうを見ると、彼は絵を見つめながら呆然と立ち尽くしていた。そして、驚くのは、彼の全身に鳥肌が立っていた。
 私の場合は「凄いね」という言葉で感動は表現するだけなんだけど、デザイナーの感性というのは、凄いものだとつくつ゜く思った。

 「ザッハー・トルテ」=ウィーン風チョコレート・ケーキ
 「ウィンナー・シュニッツェル」=ウィーン風子牛のカツレツ