TITLE:「悪」のファションが熱い

 「坊屋春道」と聞いて、鈴蘭高校?って答える人は、かなりのアニメ通か、若い。若年層では常識的な知識でも、おじさんは知らないってこと、かなり多いですよね。まさに情報のゼネレーション・ギャップ。
 「CROWS」という不良中学生の喧嘩話で大ヒットしたコミックの主人公が「坊屋春道」。やたら呑気で、かなり天然が入っているが、喧嘩だけはやたら強い。のし上がろうという意欲も薄いので、何故か仲間どころか、敵の不良中学生にも人気があるというのが、如何にも日本的。

 このコミック「CROWS」が三池崇史監督で映画化されて話題を呼んでいる。

 この「CROWS」のヒットが契機かどうかは分からないけど、いわゆる「」ファションというのがトレンドになりつつある。この所の「ロック・ファション」ブームの日本的解釈という見方もある。
 どんなファションかは映画「CROWS ZERO」のオフィシャルサイトからメニューの左にある「ENTER ABOUT THE MOVIE “MEN`S SUZURAN」に入って、三番目のメニュー「SUZURAN HIGHSHOOL COLLECTION」を参照して下さい。

 なんで、こんなファションが、、って思う方もいると思いますが、ファション誌「HEART」の今月号でも特集されている。西欧の「悪」ファションとも言えるロック・ファションが一般化したように、日本のロック・ファション「」はトレンドとなるしれない。
 また、コスプレ・ファションか世界に波及したように、日本のファション・サブ・カルチャー「」が世界のファションにもし影響を与える事が出来たとしたら、ちょっと痛快かもしれない。ガクラン着流しファションのイギリス人がロンドンの街を闊歩するなんて、、なんか凄い。

 写真は「CROWS」全26巻。私の好きな坊屋春道は、残念ながら映画には登場しないようだ。

TITLE:レトロがいい感じ

 東京モーターショー2007 での独断と偏見のデザイン感です。
 単なる車好きの、いい加減な話として読んで下さい。
 間違ってたら、気楽に訂正お願いします。
 今回の東京モーターショーで、特に私が感じたのは、デザインが少しレトロな方向に動いているのではないかという事で、そのレトロっぽさが何か新鮮で、魅力的に感じました。

 このレトロな車のデザインの流れはどこが起点なのかは分かりませんが、最初に私が気がついたのは「ブガッティ・ベイロン」でした。
 ブガッティのベイロンのデザインは衝撃的でした。ブガッティという名前もあるかと思いますが、400kmで疾走するスーパーカーでありながら、あのレトロで、何か懐かしいデザインは一体何だろう。
 残念ながらベイロンは展示されてはいませんでしたが、レトロな基調のデザインを持つ車はかなり展示されていました。

 世界的に500台の限定生産で話題になった「アルファロメオ 8C コンペティツィオーネ 」、日本の割当は70台で、これは全て完売しているとのこと。価格は2200万円。エンジンは90°V型8気筒という新開発のエンジンらしい。
 デザインは、かなりレトロで個性的。前のマスクは以前のシトロエンのDSを連想させるが、全体のフォルムはかなり挑戦的。

 シトロエン「Cカクタス 」、シトロエン初のハイブリッド・カーのコンセプトモデル。この車もイメージはかなりレトロ。ホィールも可愛い。この車、実は単にコンセプトだけではなく、2008年には本当に市販されるらしい。今までのシトロエンのデザインとはかなり違っているが、ハイブリッド車の発売を期に、デザイン・イメージを変えてくるのかなと思った。

 AUDI「メトロプロジェクト クワトロ」、デザインはこれもかなりレトロ。サイド・モールのアルミが印象的だ。
 この車もハイブリッド・カーらしい。やはりトヨタが世界的に成功させたハイブリッド・カーの影響はかなり大きいという事なんだと思った。もともと、ユーロッパのメーカーはディーゼル車の技術がかなり進んでいて、環境問題はディーゼル車の普及によってある程度答えは出せると思ってたそうだ。そんな理由でハイブリッド技術については冷淡だったそうで、それがトヨタの後塵を排した大きな理由だと聞いた事がある。でも、ここにきてハイブリッドだらけになってきたようだ。

 ベンツの環境対応車はディーゼルとガソリンの両方の機能を備えた「DIESOTTO(ディゾット)」エンジンを搭載した「F700」。技術的な側面は話を聞いても良く分からないが、ともかく燃費がいいので環境に優しいらしい。
 デザインは、F700もレトロっぽいが、いかにもベンツそのものの仰々しさで、新しさはあまり感じないし、個人的にもあまり好きではない。でも。塗装色だけは凄い。アルミの削り出しのような質感の塗装で、始めて見た。
 最近のベンツ車を見ても思うのだけど、やはりクライスラーを買収してからのメルセデスは、何か大切なものを無くしてしまったような気がする。ついでに伊藤忠の資本が入ってからのヤナセも、ベンツと同じように何か変わってしまったような気がする。もともとAタイプのユーザーとSクラスのユーザーを同列に考える事自体に無理があるという事かもしれない。

 日本車も頑張ってる。GTRは別にして、一番印象に残ったのがSUZUKIのコンセプト・カー「きざし2」。将来的な世界戦略車という位置付けだということらしい。スズキは軽自動車から徐々に普通車の領域に製品群を広げてきていて、どの車も独特の位置づけで面白い。この「きざし2」は、車の大きさから考えても、将来的にはスズキが大型のプレミアム・カーのマーケットに踏み出すということになる。デザインも、かなり印象的で面白い。ここでも、レトロ感を感じられる。スズキに期待したいと思ってしまった。

 HONDAのハイブリッドのコンセプト・カー。ライトウェイトのスポーツカーのデザイン。これも少しレトロっぽくなっている。コンセプト・カーにしては、なりシェープ・アップされているので、生産モデルにかなり近いのではないかと思った。

 車のデザインにおいて、実際に「レトロ」というのがキーワードになってるかどうかは分かりませんが、独断と偏見で見てると、どうも私の場合は「レトロ感」というのが魅力的に感じた。
PS
 クリスタル・キッチンの新発売の記事が Meuble Voice に掲載されています。こちらもぜひ見て下さい。

TITLE:GTRが帰ってきた

 4年ぶりだか、5年ぶりでGTRが帰ってきた。
 ブレス・チケットを貰ったので、クリスタル・キッチンの内覧会を少しの時間抜けて、幕張で開催中の「東京モーター・ショー」に出かけてきた。一番の目的は、新GTRを見ること。以前はスカイラインの名前が頭に付いたが、新型からはスカイラインの文字は外れて、NISSAN GTR という名前に変わった。
 キャッチは「ポルシェ・ターボー・キラー」、、外車オーナーの心を掴むことが出来る車、そんな触れ込みが楽しい。レクサスがやはり外車のプレミアム・カーのマーケットを意識したという話だったけど、実際に見たり試乗してみると、プレミアム・カーマーケットに対してのトヨタ的解釈だったので、ちょっとがっかりした。
 新型GTRはどうなんだろうと、ちょっと期待に胸を膨らませて東京モーターショーに出陣したわけです。
 プレスだけを対象とした日なので、会場はかなり空いていましたが、、何故かGTRのコーナーだけは人だかりで、なかなか前まで行けなかった。ようやく、人を掻き分けて前に出ると、そこには新型GTRが目の前に、、
 

 プロトタイプの時より、少しデザインも抑え気味になっていたが、独特のフロント・グリルが今までの日本車にないデザインでなかなかいい。ちょと下品なところが、いかにもGTRらしい。

 リアスタイルはGTRの伝統の丸目。以前よりリア・ビューはかなりシェープ・アップされてると思った。
 塗装はアルティメイド、なんたらという、独特の塗装色というのも、車のフォルムと良く合ってる。
 全体としての印象は、好感度がかなり高い。ひょっして外車のスポーティー・タイプのプレミアム・カーのマーケットを侵食できる可能性があるかもしれないと思った。

TITLE:クリスタルの妖しいキラメキ

 スワロフスキーのクリスタルのキラメキを眺めていると、その七色に変化する光の渦の中に思わず吸い込まれそうになる。今回の「INO Meuble Crystal」の発表会に当たって、キッチン以外のいろいろなクリスタルを散りばめた商品も展示した。数えて見ると、全部で約35万個のクリスタル・ガラスに六本木「Meuble」が占領されていることになる。その35万個のクリスタルの輝きの中にいると、自分がキッチンのショールームにいることを暫し忘れてしまって、とても幸せな気分にさせてくれる。
 「美しいキッチン」を創ってみようと思い立ったのが五年前。四年前にはクリスタルをキッチンに使ってみようというアイデアが湧き出てきた。ファションのトレンドを見てると、「輝き」というのが一つのキーワードではないとか直感的に感じた。その後、アラベスクやビッグラインのようなクローム系のキッチンを新たに提案しながら、水面下でクリスタル・キッチンの開発を進めていた。
 二年前にサローネでedra社のクリスタル・シリーズに遭遇した。かなりの衝撃を受けた、、と、、同時にクリスタルをインテリアに使うという可能性を強く感じて、クリスタル・キッチンの発表の時には、このedra社の製品を同時に展示をしようと、その場で発注をしてきた。冒頭の写真は、その時に購入したクリスタル・ソファー「桔梗」、、デザイナーは日本人の梅田正徳氏、昨日も会場に来て頂いた。福井で新しい漆の家具の発表会をするそうで、誘われたので一緒に福井に蕎麦を食べに行くことにした。
 クリスタルが今後インテリアにどう入り込んでいくのだろう、、まだまだ色々な議論はあるとは思いますが、うちが仕掛けたシャンデリア・ブームもほぼ定着してきたことを考えると、キッチンも含めてクリスタルとインテリア・デザインとのかかわりはますます深くなっていくのだと思っています。
 クリスタル・キッチン「INO MeubleCrystal」、、会場に入られたお客様の多くが、思わず歓声を上げられるほど「美しい」。一人でも沢山の人に見てもらって、クリスタルという素材がインテリアに入り込んでいく可能性を感じて頂ければ幸いです。

 今回のクリスタル・キッチンと一緒に、プロトタイプだけど、NewYorkソファーのクリスタル・バージョンも展示して見ました。これもあわせてご覧ください。

TITLE:今日はクリスタル・キッチンの内覧会です

 今日、明日の二日間は六本木の「Meuble」で、Meuble オリジナル・キッチンの第一弾「INO Meuble Crystall」の内覧会です。 世界で初めてキッチンにスワロフスキー社製のクリスタルの粒を散りばめてあります。 とても、美しい。
 (一般への公開は26日からになります)
 六本木ムーブルのオープン記念の講演会でもお話したのですが、これからのキッチンは同じ趣向を持つ、一つの市場として捕らえるだけでは理解でなくなると思っています。キッチンは単なる料理をする道具から、コミュニケーションや家族の団欒をもたらすイメージとしてのキッチンに変わってきました。では、次の時代のキッチンはどんな切り口なのでしょうか?私は、それはキッチンの「美しさ」だと思っています。その「美しさ」という切り口で、どんなキッチンが提案できるのか?その答えが今回の「クリスタル・キッチン」です。
 私ごとですが、こういった特別の内覧会を開催する時には、その発表する製品のテーマに合わせたファションを考えて着ることにしています。最初はお客様にちょっと奇異な目で見られてましたが、つまりテーマに合わせると、とても社長には見えないという事なんでしょうね。でも、最近ではお客様の中には、私のファションを興味津々で期待してみえる方もお見えになるようになり、私も半分、癖というか、、ちょっと楽しみにもなってしまいました。
 今回の内覧会はクリスタルなので、当然ファションもクリスタルが付いたもの。
 写真は本日着用予定の、バックにクリスタルを散りばめたジャケットです。

TITLE:パトリシア・ウルキォラはいなかったけど・・

 名作「カボシュ
 デザインはいま世界で一番旬なデザイナー、パトリシア・ウルキォラ
 ISOLAロッソジャポネーゼのプレゼンテーションに使う照明として白羽の矢を当てたのがこの「カボッシュ」。近未来的なデザインなのだけど、少しレトロで、和のインテリアに奇麗に馴染むという、不思議なデザイン。日本のボンボリを少し連想させる。

 サイズは「大」「中」「小」と3サイズあって、使い方によってイメージが完全に変わってくる。ロッソジャポネーゼでは、「小」を三連、高さを変えて吊ることで、より印象的なプレゼンテーションが出来たと、ちょっと自負している。
 この「カボッシュ」は最近イタリアで急成長している「FOSCARINI」(フォスカリー二社)によって製作・販売されている。
 この「FOSCARINI」はユニークな会社で、社内に製作部門を持たないという、最近の言葉で言うとファブレスな会社だ。つまり、デザインと企画、そして販売だけに特化する事で、多種多様な素材を自由に使いこなし、新しい照明デザインを世に送り出している。

 この「FOSCARINI」社に訪問してきた。ベニス郊外、ピストージ社とは方向は違うが、ベニスから車で30分ほどのところある。
 デザイン企画と販売だけに特化した会社らしく、本社は緑に囲まれた、とても美しい建物で印象的だ。内部はオフィス・スペースと最終の梱包工程、そしてウェアハウスだけで、製作部門は持たなので、内部も本当に清潔で美しい。従業員のユニフォームは赤の「Campion 」社製のウェアーに「FOSCALINI」のロゴが入っていて、とてもお洒落。さすがデザインに特化している会社だと思った。

 輸出担当役員のMr.Luca D`Alpas と記念写真をパチリ。場所はプレゼンテーション・ルーム。天井からは六本木ムーブルにも展示してあるTomDixinのワイヤーのシャンデリアが吊るされて印象的だ。

 実は、この「FOSCALINI」社の日本の正規代理店は、うち以外にももう一社ある。このもう一つの代理店は何故か価格をかなり高めに付けている。どうしてそんなに高く設定しているのかは、他社の事情なので良くは分からないが、ともかくTOYO KITCHENより遥かに高い。
 この価格差が説明出来ないのだと思うけど、あるテレビ番組の中で、この代理店が扱っている「カホッシュ」だけが正規輸入品だと説明しているのをたまたま見かけた。これは、TOYO KITCHENが販売している「カボッシュ」は正規輸入品ではないと言われてると同じ事なので、すぐにそのテレビ局に抗議のメールを送ったのだけど、なしのつぶてだった。
 その後、調べてみると、当社の扱っている「カボッシュ」は正規輸入品ではないと聞いたがという問い合わせかなりあった。真偽の程は不明だが、もし、この話がもう一つの代理店が流通に流しているとしたらちょっと許せないと思った。

 もう一度確認の意味で書くのだけど、TOYO KITCHEN は「FOSCALINI」社の日本に於ける正規代理店で、従ってうちが販売している「カボッシュ」は正規に輸入された商品なので安心してご購入ください。
 ちなみに、TOYO KITCHENの「カボッシュ」の価格は次の通りです。
 カボッシュ (小) ¥ 90,300.
 カボッシュ (中) ¥ 189,000.
 カボッシュ (大) ¥ 336,000.
 ご確認ください

TITLE:ジョガーリの故郷へ

 シャンデリア「ジョガーリ」
 当社では数年前に日本での販売権を獲得して、キッチンと一緒に販売を始めました。今では、TOYO KITCHEN が扱うシャンデリアの代表作になってきています。キッチンにシャンデリアを飾るという、今のキッチン・インテリアのトレンドの先駆けとなった作品でもあります。

 デザインはご存知巨匠マンジャロッティ
近代シャンデリア・デザインのエポック・メーキングな作品です。フレームにガラスのオーナメントを連結してぶら下げるだという、至ってシンプルな発想なのだけど、オーナメントを支える上部のフレームの形を変えるだけで、全体のイメージが変幻自在に変化してくる不思議なシャンデリア。

 また、オーナメントの連結する長さを変えても、まるで違う印象が生まれるというのも面白い。写真は六本木の「TOYO KITCHEN Meble」のエントランスに展示してある、天井から床までオーナメントを連結してある「ジョガーリ
 光の滝のように見えませんか?

 その「ジョガーリ」の製造元である Vistosi 社に訪問してきました。場所はベネツィアの郊外、車で40分ぐらい北に上がったところにあった。工場そのものは古い建物で、なんか趣があった。中での生産は熟練した職人さんが一つ一つハンドメイドで製作していて、古い工場の佇まいと、妙にマッチしていた。

 写真は出来立てのホヤホヤのジョガーリのオーナメント。これだけ並ぶとちょっと壮観だと思った。ハンドメイドなので、一個、一個の形は微妙に違うけど、それがまた味があって美しい。

  Vistosi 社の二代目、Mr.Moretti と工場内で、記念写真をパチリ。
 Mr.Moretti が手にしているのは、TOYO KITCHENの照明・家具のカタログ。カタログの表紙に写ってる足は私の足だって言ったら、大笑いして喜んでくれた。とても気のいいイタリア人のお兄ちゃんだった。

 お昼になったので、昼食をご馳走になった。森の中にある、田舎風の美しいレストラン。大歓迎してくれたという意味だと思うけど、昼間から前菜4品、パスタ2品、それにメインの魚料理と、、極めつけはデザート2品と、山ほどディッシュが並んだ。
 かなり美味しかった。私はセーブして食べたのだけど、同行した社員はセーブが効かず、思わず全て平らげてしまって、昼食後満腹過ぎてのたうち回ってた。
 ハイライトは、同行の社員の一人がエビ・アレルギー。前菜にスカンピ(手長エビ)のカルパッチョが出てきたのだけど、よせばいいのに、折角だから少し食べてみるって言って、一匹食べてしまった。案の定、少し時間がずれてアレルギー噴出時様態に陥って、完璧に一晩死んでた。自業自得なので、同情してやらない事にしたら、「冷たい社長だなぁ」って言われたけど、無視して知らんふりすることにした。

 写真はレストラン内に使われていたベネチィアン・ガラスのシャンデリア。いかにもベニスらしい。日本でもこれからはこういった装飾性の高いシャンデリアも普及してくるのではないかと思った。

TITLE:「ベニスに死す」・・訳ではない。

 ベニスと言うとまず思い出すのは名匠ルキノ・ビスコンティ監督の「ベニスに死す」。死期が迫りくる初老の紳士がベニスで出会った少年に恋をするというストーリーなのはご存知の通り。この映画の耽美的な「美」の描写は、ベニスという街があって始めて成り立つのだと思う。
 ちょっとマニアックなので、誰にもお奨めする訳ではないが、ベニスという街の雰囲気を堪らなく描写してくれているので、ベニスに行かなくても、この映画を見ればもうほぼ満足かもしれない・・ (ちょっと褒め過ぎだけど、でも好きな映画の一つです)
  と、、、いうことで、ベニスで死ぬ訳ではないけど、パリから一路ベニスに飛んだ。

 今回のベニス訪問は市内ではなく、ベニス郊外の工場を廻るのが目的なので、宿も移動に便利な郊外、ベニス市内から車で20分ぐらいの場所に宿を取った。でも、せっかく来たので、仕事の合間をみてベニス市内に出かけてみた。
 いざ、、ベニスへ・・

 ベニスに行くと驚くのは、こんな街が、この現代にそのままよく残っているものだということだ。最初に訪れた時は、まさに現代の奇跡かと思った。ベニスはもともと遠浅の海の中に、アルプスから切り出した樫の木を打ち込んで、それを基礎として、その上に建物を作り、残った所が水路になったという街なので、正確には水路ではなく、建物の間に残った海とも言える。樫の木の基礎だけなので、ベニスの建物は常に沈下していて、床は大きくうねっているのが常だそうだ。

 日本だったら、沈下している建物なんて言語道断で、耐震基準も何も、それ以前に取り壊されてしまうと思う。でも、ベニスは、昔の建物が、昔のままでそのまま残っていて、その中に実際に人が暮らしている。日本だったら考えられない。

 余談になるけど、伊勢志摩の賢島にある志摩観光ホテル、レストラン「ラメール」でも有名だが、実はこの建物、村野藤吾の名作なのだけど、耐震基準に満たないという理由で一部取り壊されるそうだ。私の最も好きなホテルだけに、こんな名建築が取り壊されるのは本当に残念です。なんか、ベニスに来て、村野藤吾を思い出してしまった。

 昼間のベニスは観光客の喧噪に包まれているが、たそがれ時になると徐々に人も減ってきて、ベニスは昼間と違った別の顔を見せ始める。日が落ちる毎に、刻々と顔を変えて行くベニスの街、、、 もう、「美しい」という月並みな言葉しか見つからない。

 街には灯りが少しずつ灯り始めると、建物の色さえ、微妙に変化してくる。水面に映り込む光が誘うように揺れている。

 そして、夜のとばりがベニスの街を支配する。
 街角から人の影は消え失せ、観光地としてのベニスの顔はなくなり、そこにたたずむ者の想いを遥か中世に馳せてくれる。

 家々のべネチィアン・グラスのシャンデリアに灯がともるり始め、ベニスはやがて暗闇の中に消える

 まさに、「ベニスに死す」

TITLE:オルセー美術館のエミール・ガレ

 再びパリの話題です。
 オルセー美術館、、実は何故か一度も行った事がなかったのです。
 今回、ようやく夢がかなってオルセー美術館を堪能してきました。

 噂に違わず、素晴らしい美術館でした。
 元駅舎だそうで、写真のように巨大な空間と、恐らくコントロールされているとは思うのだけど、自然光がサンサンと降り注いでいる空間の中で見る名画は格別でした。
 驚いたのは、フラッシュをたかない限り、写真撮影は認められてるのですね。「名画の著作権は美術館にあるのか」という議論もあると聞きますが、オルセーではそんな意味から撮影を認めているのかもしれませんね。

こんな名画が、自分のカメラに収める事ができるばかりか、このデータを使って名画のスクリーン・セーバーを自分のコンピューターにセットできるわけです。

 所蔵の名画はいろんなところに紹介されているので、今日は少しインテリア関係の所蔵品、特にエミール・ガレの作品と彼の使った動物モチーフを紹介します。

 エミールガレのソファー。アールヌーボーらしい作品です。いまインテリアそのものがデコに振れている事もあってか、こういった装飾性の高い家具が新鮮に見えてくる。実際にソファーも当社が扱っている「Black Mink」のような装飾性の高いソファーが徐々に人気が出つつあることからも考えて、日本のインテリアもこういった傾向の家具が浸透してくるのだろうと思ってます。

 このソファーの肘掛け部の装飾のアップです。素晴らしく精緻で美しい職人の技てすね。
 このソフアーだけど、現在ソファーより座面がかなり低い。昔のソファーはこんな高さだったのか、それともエミールガレ独特のものなのか?誰かご存知の方がいれば教えて下さい。

 金具に使われていた動物モチーフ。ネズミを家具の取手のモチーフに使うという発想も面白いと思った。

 
 今度は、なんとナメクジ、、、凄いモチーフだと思うけど、見てると何故か可愛く見えてしまう。

 収納扉の表面に施された象眼。モチーフは鶉かな??

 デコの流れの中で、動物もチーフもありかな、、と、、思って、六本木ムーブルのオープン記念に「Flyig Pig」という豚に銀の翼が生えた貯金箱を売り出してみた。売れ行きはご存知の通り、オープン前の内覧会で完売してしまって、オープン記念にはならなかった。
 また、9月末には陶器製の「カエルの王様」シリーズを発売したが、これも数日で完売してしまった。
 動物モチーフ、、もしインテリアの中に入り込んで来るとしたら、どんな形なのだろうかと、、考えるとなんか楽しくなる。中には、お風呂の猫足のように既に定着を始めてきたモチーフもある。
 実は、ここオルセーにはガレの設計した部屋が丸ごと移設されて展示されています。暗くて撮影は出来なかったのですが、インテリア関係者は必見だと思います。特に、インテリアのトレンドがデコに振れ始めているいま、このガレの部屋は一つの方向性の示唆を感じさせてくれした。
 今日の夕方にはベネチィアに向かいます。

TITLE:F1日本グランプリに行ってきました その3

 今日は決勝、でもまた生憎の雨と霧。雨は予選よりは少し多いが、霧が少ないようなので、なんとか開催出来そうだと勝手に決めて、いざレーストラックへ出陣。
 レース場内は、さすが決勝というだけあって、昨日とは比較にならない程の観客、凄い人出だ。雨具に身を包んだ人の群れが延々と続いているという光景は、ある意味では一種異様な気がした。

 メイン・スタンド前のメーカーのブレゼンテーションブースには、過去のHONDAの栄光ともいえる、リッチーギンサーが乗って優勝したHONDA・F1 が展示してあった。いまのHONDAはなんかトヨタの焼き直しみたいな会社なってしまったが、あの頃のHONDAは本当に面白かった。
 私の後輩でやたらF1に詳しい男がいて、実はこの後輩、知識は脱帽するほど豊富なのだけど、その偏り方もまさに脱帽に値するという、そんな不思議な後輩だ。まあ、後輩というより、尊敬する友人と言った方がいいかもしれない。どんな方向に偏ってるかは、彼のブログを見れば一目瞭然なので、ぜひ覗いてみて欲しい。
 彼にこの栄光のHONDAマシンの話をしたら、こんなメッセージを寄せてくれた。
ホンダのF1デビュー作RA271はエンジン横置きV12。シャーシも当時主流だったパイプフレームじゃなくてモノコック。設計したのが第二次世界大戦中の飛行機屋さん。撃たれるわけないのにガソリンタンクはボディ各部に分散したゴム製。機銃で撃たれてもガソリン漏れない(笑
エンジンなんかむき出しで良いのに、本田宗一郎「ワシの車がエンジンむき出しとは何事か!」の一言で、しっかりエンジンもサスもシャーシに中に納めた。
その改良型のRA272をリッチーギンサーが運転して、メキシコで勝つんだけど・・・初開催のメキシコGP。?地の薄い空気でガソリンがちゃんと燃えなくて他チームが苦労している中、ホンダだけはすいすいと優勝・・エンジンの設計とエンジニアが飛行機屋さんだもん(笑
この後、ホンダチームは勝つために、ローラのシャーシにホンダエンジンを積んだRA300と、本田宗一郎率いるホンダオリジナルRA302チームに分かれて・・・そりゃもうあんた、RA302なんか3000CC空冷、しかも冷却システムなしの自然空冷って、バイクじゃね〜つ〜の(笑 

 ともかく、あの頃のHONDAは夢を感じさせてくれた。
 余談だけど、アメリカ留学を終えて帰国して、日本で最初に購入した車は CIVIC だった。その後、HONDAの車に乗り継いだけど、HONDAの車造りの思想が確実に変わって行くのを目の当たりにして、徐々にHONDAから距離を置いてしまった。
 ちょっと話題が逸れてしまったので、F1の話に戻します。

 現代のF1で特筆すべきはエンジンの出力と車の軽量化だという事は誰も知っていると思うけど、どれだけ軽量化されてきたのかという具体的な数値は意外と知らない。写真はフェラーリ車のフロント部。全てカーボンファイバー製で、写真では実感出来ないが、メカニックが二台分のフロント部をひょいと片手で持ち上げて運んでるのを見て、ちょっとした目から鱗だった。
 エンジンの重量については、まさに衝撃的な軽さで、僅か95Kg。19000回転で800馬力を絞り出すエンジンの重さとはとても思えない。

 食事をして暫くブラブラしていると、いよいよ決勝が始まった。23台のF1カーが一斉に吹かすエンジンの音は、まさに轟音。耳栓なしではいられない。先頭はマクラーレンのハミルトン。最後尾は日本人のドライバー二人、佐藤琢磨と山本左近。レースそのものは、霧と雨の関係で、イェローフラッグが出たままで、先頭のペースカーに引きずられて20周近くレースが始まらなかったのは、ご存知の通りです。

 いらいらしながら待っていると、ようやくレースが始まった。凄い水煙を立てて失踪するF1カー。これでは後ろの車は何も見えないと思ったが、後からニュースを見ると、実際に視界は殆ど遮られていたとか、佐藤琢磨がインタビューで言ってた。

 レースも凄いけど、ピット・ワークもかなり見物だった。実際のレースでのピット・ワークを目の当たりに見るのは始めてだったけど、テレビで見るより遥かに速い。
 まさに、、「はゃっっ」っていう感じ。
 フェラーリのピットワークを、動画に撮ってみた。少しはその速さが実感出来るかなぁぁ??

 レースの方は荒れ模様だったけど、結局ハミルトンが安定した走行で優勝。
 写真は、レースカーの上に立ち上がってガッツ・ボーズをするハミルトン。
 
 富士スピードウェーイは始めて行ったのだけど、良く知ってる人の話を聞くと、このF1開催の為に200億の巨費をかけて改造したらしい。そのせいもあってか、施設は鈴鹿に較べて格段に新しくて気持ちがいい。
 今回のF1の運営について、雨という不運もあったと思うけど、かなり批判があるようで、そのとばっちりが何故か私の方にも飛んできた。仕事の一環として書いてるブログに反感を持たれても何なんで、内容については一部削除、訂正しました。詳しくはコメントをご覧下さい。