TITLE:ファションはもはやアートかもしれない(2)

 アートに一番近いメンズ・ファションはジョン・ガリアーノではないかと思っている。それも、かなりセンセーショナルな前衛的なアートを感じる。

 コレクションでのモデルががに股で登場した時は、ちょっと腰を抜かした。バイレーツの時も驚いたし、最近の日本風の兜をかぶったモデルも、かなりショッキングだった。
 余談だけど、ガリアーノのがに股デニムが出たとき、かなり気になって店に見に行ったら、本当にがに股にカットされていたデニムで、ちょっと笑ってしまった。
 コレクションではモデルがそのままがに股で登場するが、実際にこのデニムを履いてもがに股になる訳ではないばかりか、かなり足が綺麗に見えるのには驚いた。
 ガリアーノは天才だと思った。
 サントノーレにはそのガリアーノの直営路面店がある。大概の店には平気で入ってしまう私だが、入るのにちょっと緊張する店が二つある、、一つは109、、、2つ目が、このサントノーレのガリアーノ(さすがにマル9には行かないけど・・苦笑)

 この服は一体なんだ!!
 単なるイメージのプレゼンテーションなのか、、それとも本当に売ることを目的とした服なのか? それとも、ウィンドウを飾るアートなのか ??
 でも,コレクションの写真を見ると、この服を本当にモデルが着て登場している。
 服も,身を包み保護する布という役割ではなく、着る事で自分自身が動くアートになるという切り口だとしたら、私の服に関しての価値観が根底からひっくり返ってしまう。

 ヘルメットと迷彩のパーカーにオレンジのベストの重ね着。
 見てると「目が腐って」きて、なんかこれくらいなら着れそうな気がしてくる。でも、実際に日本の街で着て歩くと、それだけで「怪しい奴」ということで職務質問される事は必至だと思う。
 でも、、最近ちょっと迷彩にはまっている私としては、この迷彩のパーカーはかなり魅力的。ちなみに、今回のパリへは迷彩のダウンを着ていった。
 趣味が高じて、迷彩柄ソファーのジュエリーBOXを仕入れてあるので、もうすぐSHOP TOYO KITCHEN で販売する予定。 

 ミリタリー調のベストが凄い。
 仕上げもかなりアンティークかかっている。
 何かの昔の舞台衣装を見るような気がする
 目はさらにくさってきて、、このベストとピンクのTシャツなら着こなせる自信が出てきてたような気がする自分が怖い(笑)
 ちなみに,私のファション哲学は「年齢を考えないファション」、、ミスマッチが一つの「美」の切り口だとしたら、年齢とファションのミスマッチも、ひょっとして一つの男の美学かもしれない、、等と勝手なことを考える社長です

 またまた余談だけど、先日福岡のショールームがリニューアル・オープンした。沢山のお客様に来て頂いたのですが、中には私の事をご存じないお客様もいらしたようで、社員が私を「社長です」って紹介しても、あまりにも社長というイメージとは違うみたいで、一瞬無言で見つめられたりした。
 また、実は私の名刺には「社長」という肩書きが無い、貰った名刺を見て最後まで私が社長だと気がつかないで帰られてしまったお客さんもみえた。

 ウィンドウの中で一番大人しそうな服。大人しくもないのだが・・
 手前のマネキンがかぶってるキャップと、奥のマネキンが着ているオレンジのパーカーがショート丈で面白い。
 パーカーと古着風の燕尾服と組み合わせ。カジュアルと着崩したフォーマルのミスマッチが強烈な印象をかもしだす。ミスマッチは「美」だとしたら、まさにジョン・ガリアーノのファションは一つのアートに見えてくる。

 最後の写真は、最初の写真の服がコレクションで登場した時のもの。単なるウィンドウ。ディスプレーではなく、こうやって実際にコレクションにも登場しているようだ。
 ガリアーノの服は,従来のファションの概念を根底から覆してくれるようなバワーを持っていると思う。また、見る事で創造力の琴線を刺激してくれるという不思議な服だ。着れる,着れないという議論は横に置いておいて、服というのは一体何だろうと,自分の持つ常識を払拭して,自由な目で見ると、また違って見えてくるのではないかと思う。
 まさに「目がくさってきた」状態なのかもしれないが、ある意味ではそれが 創造力の原点ではないかと思っている。