TITLE:サローネ 2008 その5  デコはどこに行くのか?

 サローネの楽しみは仕事だけでなく、勿論美味しい食べ物、そして勿論のこと、美味しいワイン。イタリアのワインはフランスのワインより使う葡萄の種類が多いと言われるが、一番多いのはサンジョベーゼという葡萄らしい。有名なトスカーナ地方のワイン、キャンティーはこのサンジョベーゼ種を使って作られた代表的なワイン。

 でも、最近は伝統的なイタリア・ワインの手法を使わない美味しいワインも出現している。これらのワインは伝統的な製法を使っていないというだけで格付けが無く、基本的には安価なテーブルワインと同じ格付けなのだが、とんでもなく高価で美味しいのがある。この種のワインはスーパータスカンと呼ばれて、中には入手が難しいのもあるという話だ。SASSICAIAというのワインがスーパータスカンの中ではかなり有名だという話だ。
 まあ、このあたりのワインの知識は、ワイン好きの友人からの受け売りなので、もし間違いがあれば訂正して欲しい。
 ちょっと余談になるけど、この友人、以前の趣味は真空管集めという不思議な趣味の持ち主で、秋葉原がまだ電気街だったころ、付合って行くと、なんか路地のジャンク家みたいなところに潜り込んで出てこなくなってしまい、、、  まあ、、そんな話はいいか。
 でも、5,6年前から突然にワインの収集が趣味になり、現在の彼のコレクションは下手なフレンチ・レストランよりは余程充実していると思う。
 写真のワインは今回のイタリア出張で一番美味しかったワイン、、どんなワインかは知らないけど、ピノ・ノワールのような味がした。香り高く、飲み心地がすっきりしているが、かなり味わいは深い。

 話を元に戻そう。
 今日のテーマは「デコはどこに行くのか?」という話。
 インテリアのトレンドは完全にデコ、、デコという言葉を今更使うのが恥ずかしいほど、殆どの新作家具が何らかの装飾性を持ったものになってきていた。
 まさに、ミニマルは忘却の彼方に去ってしまったようだ。
 デザインのトレンドの話をすると、日本では違和感を持つひとがいる。
 デザインとトレンドは馴染まないという意見だ。曰く、いいデザインは不滅で、デザインは消費されるべきではないという人もいる。まあ、それはもちろんそうだが、やはりデザインにも旬があり、旬があるということは、やはり時代とうものを考慮に入れてデザインを論じないといけないというのが私の持論だ。つまり、デザインにもトレンドがあるということだ。

 デコの時代は当分は続くと思われるが、問題はこの先、このデコの方向はどのベクトルに向かっているのだろうか、、そして、その行き着く先は??
 ベクトルの1つは アート だと思う。
 そしてベクトルの2つ目は エコ だと思う。

 デコというのは、多種多様な方向性があり、、可能性がある、、と、、いう意味から考えると、個人の多様な価値観や美的感覚がそのままデザインに反映出来るということになる。つまり、ミニマルと違って、デザインによって、他と差別化が出来るということになると、プロダクトがミニマルように如何にも量産出来るデザインよりも、より量産に適してないデザインの方が好むという傾向が生まれて来ている。
 つまり、それは家具のアート化
 量産されるプロダクトへの嫌悪感というものかもしれない。
 この量産されているものへの嫌悪感は、そのまま2つ目のベクトルのエコに通じるものがあると思う。エコ的なデザインというのは、廃棄されたものを再利用するという意味があり、廃棄されたという事は使用済みということになるから、形状的な偶然性というものがデザインのベースにあると思う。
 デコには、まだいろいろなベクトルがあるかもしれないが、今回のサローネで私が強く感じたのはこの2つだった。
 では、、次回は「アートとしての家具」というテーマです。
 ご期待下さい。
追伸
 最近、復刻版というのが流行っているが、家具以外でもちょっと面白いものが復刻された

 左は、ご存知、ソットサスがオリベッティーの為にデザインした携帯用のタイプライター「バレンタイン」
 右の写真はBrion-Vegaのステレオ、、復刻されていたのは知らなかったがCDを入れる口か゜あったで復刻されたのだと思う。
 こういった昔の工業製品はなんか暖かい感じがして好きだ