サローネでは併設の展示会として二年に一度キッチンの展示会がある。
「ユーロクッチーナ」と呼ばれるのかそれで、年々規模が大きくなってくると同時に、イタリア以外のキッチン・メーカーの展示も増えてきて、世界最大のキッチン展になってきた。
全体の印象としては、やはり突出しているのが Boffi 社だと思う。
特に Boffi が6年前に発表をした超巨大キッンの流れが、ここにきて全てのキッチンメーカーに大きな影響を与えているようで、そのせいかフィエラのメイン会場で展示されているキッチンは、殆どが Boffi 的な超巨大キッチンの流れを汲んでいた。
実は今回のユーロクッチーナでは、その本家ともいえる Boffi がどんな新しいコンセブトを携えてくるのか、楽しみにしていたのだけど、特に新しいコンセプトの提案はなかった。
これはひょっとして「Boffiの呪縛」かもしれない・・とか思った。
Boffi も日本では苦戦しているようだけど、世界的には絶好調らしく、巨大キッチンの需要は大きいようで、Boffiとしては新しい切り口の提案の必要がないということなのだと思う。
写真は市内の特設会場でのBofffiの展示
キッチンは相変わらずの超巨大キッチンで新鮮味はなかったけど、プレゼンテーションはかなり面白かった。プレゼンテーションのイメージは「エコ」だと思う。廃材を思わせる荒削りの巨大なカウンターテーブルとか、最初の写真のフードに張られた少しプリミティブなイメージのタイル。
やはりここでも「エコ」というのが世界のインテリア・デザインの一つの大きな流れになっていることが良く分かる。
Boffiとはまるで違った切り口で面白かったのはご存知、石のキッチンで衝撃的な minotti cucine 。写真を見ても分かると思うけど、扉、天板、シンクは全て石で出来ている。驚くのは収納の大きな扉まで表面は石を薄く切って貼ってある。いくら薄くても、そこは石なのでキッチンはは恐らくとんでもなく重いと思う。
シンク部分のアップ、、美しい。
2年前のユーロクッチーナで展示された石のminotti cucineはかなり仕上げも荒削りだったが、今年のモデルはかなり洗練されてきて,精度も良く、驚いた。
このminotti cucineは今回はフィエラでの展示は無く、新しく出来たミラノの中心街のシールームでの発表だった。場所はドーモの近くで、広さもかなりあり、勢いのあるメーカーだと感じた。
しかし、ある意味ではここまで造形的に割り切ったキッチンを購入する層があるマーケットは羨ましいと思った。どうしてもキッチンは住宅設備機器であり、デザインは単なる付加価値の一つだとしか捕らえることしか出来ない日本のマッケートとは対極に感じた。
今回のユーロクッチーナでもう一つ特徴的だったのは、電動の扉が溢れていたということだ。いわゆる引き出しのサーボシステムも、日本では対応しているのは TOYO KITCHEN と他一社だけなのだが、今回出展のヨーロッパのキチンメーカーは漏れなく、このサーボシステムを使用していた。サーボのメカも、日本ではblum だけなのだが、GRASS 、Hettich からも発売されているようで、今後他の日本のキッチン・メーカーも対応を始めるだろうと思います。
さて、次回は「サローネ 2008 その10 キッチンに住む」
ご期待下さい
追伸
いよいよ、来週の木曜日、5月29日から六本木Meuble でカーボンファイバーの扉を使ったキッチンを発表します。そのプレゼンテーションに合わせるインテリアはアジア・アフリカの民俗アートです。かなり実験的な試みですが、面白いものになると思いますので、ぜひご来場下さい。
展示する民俗アート家具の紹介が Meuble オフィシャル・プログ「Meuble Voice」で始まってますのでぜひご覧下さい
追伸 その2
今月6月号の「NIKKEI DESIGN」の 74ページにコンセプターの坂井直樹さんとの対談が掲載されています。TOYO KITCHEN STYLE というブランドの中で、私が何を考え,何をしようとしているのか、聞き手の坂井さんが素晴らしいので、かなりうまくまとめて頂きました。ぜひご覧下さい。
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