TITLE:ようやく辿り着いたポンピドー・センター

 以前からポンピドーセンターに行ってみたいと思ってはいたのだけど、何故か機会がなくて実は一度も行った事がなかった。ともかくパリというより世界の現代アートのメッカと言っても過言ではないポンピドーセンター、ようやく行く事が出来た。

 正式名称は「ジョルジュ・ポンピドゥ国立美術文化センター」、レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースが設計し1977年に開館した。
 写真を見ても分かるように、建築途上の足場をそのまま残したようなイメージの不思議な建築物。こんな建物がパリの街並には似合う筈がないと思うけど,建物の前に立ってみると、これが妙にパリの街並に溶け込んで見える。
 パリの美術館はフラッシュをたかない限り撮影は自由なので、収蔵品を自分のカメラに収めアルバムにするという楽しみもある。ポンピドーセンターも例外ではなく、館内の収蔵品の撮影は自由だった。

 ポンピドー・センターの展示品は本当に多義に渡っている。
 知名度の高いマチス(上の写真2枚)もあれば、現代アートには疎い私には聞いた事がない作品から、ともかく幅広い収蔵品に驚かされる。

 こんな不思議な黒子のような像が並んで座ってたり

 吉岡徳仁が「セカンド・ネイチャー展」で発表した「ヴィーナス-結晶の椅子」の発想はここから得たのではないかと思われる展示があった。「有刺鉄線の塩ランプ」という名称が付いてた。鉄条網を様々な模様に展開させ、死海に沈めたあと、砂漠の太陽の元にさらした作品らしい。
 作家の名前はSigalit Landau/シガリット ランダウ
 彼の作品は他にも展示されていたので、興味のある方はぜこポンピドーセンターを訪問して下さい。

 絵画や造形だけでなく、近代家具も多数展示されていた。
 写真左はご存知コルビジェのソファー、右はアイリーン・グレイの収納ワゴン

 展示品の中にはジャン・プルーヴェのブレハブの家まで展示されていたのには驚いた。
 ポンピドーセンターは1914年から現代に至るアート作品の展示が行われている。アートも現代に近くなればなるほど、「アートの境界って何?」という思いに捕われてくる。そういう意味では自分が持つ常識という垣根をいとも簡単に飛び越えてしまったような、目眩にも似た感覚に襲われる。
 ロン・アラッドだと思うけど、「アイデアに困った時にはポンピドーに行く」と言ったそうだけど、確かにここは「常識を超越したアイデアの宝庫」ということが言えると思う。

投稿者 nabe : 2010年02月08日 15:23