TITLE:ハーラン・エステートというワイン

 アメリカはナパのカルト・ワインで有名なハーラン・エステートというワインがある。
 何故カルトと呼ばれているかというと、市場に出てくる量が極端に少なくて、普通に入手する事が極めて困難なのでそう呼ばれているらしい。
 まあ、それだけ人気があるからだろうと単純に思っていました。
 数年前にワイン・ビジネスに興味を覚えて、ワイン通の友人達とナパのワイナリーを見て回りました。

 空から見たナパ・バレーです。
 ワイナリーが700以上あるという話しでした。

 ナパに行く一つの目的は、このハーラン・エステートのワイナリーを訪問することでした。
 でも、一般には公開されていないということなので、紹介して頂ける人を捜してようやく訪問する事ができました。
 写真はワイン貯蔵庫の入り口です。
 憧れのハーランのワイナリーに来られたたなという実感が湧いてきた一瞬でした。

 ワイナリーを出る時に偶然にもミスター・ハーランと遭遇しました。
 握手もさせて貰って、ちょっとラッキーでした。
 通常ワイナリーを訪問すると必ずそこのワインを購入するので、この時も案内してくれた人に購入の意思を伝えたら、販売出来るワインはないという返事が返ってきました。驚いて、「どうやったら購入出来るのか?」って聞くと、「購入出来ない」という返事がつれなく返ってきました。
 実は、ハーランのホームページにはメーリング・リストの申し込みが出来るようになっていて、このメーリング・リストから直接ワインが発注出来るって聞いていたので、アメリカに行く前にこのメーリング・リストに申し込みをしたのですが、返事はなしのつぶてでした。
 ワイナリーでその事も質問したのですが、ハーランのメーリング・リストの申し込みは単なるウェイティング・リストの申し込みに過ぎず、正式にリストに入るのは極めて難しいという返事でした。
 つまり生産されたワインは、出荷前の段階でメーリング・リストを通して受注を受けるので、市場にハーランが出てくる確率が極めて低いし、この事で価格も維持出来るという事らしいのです。
 日本と違うワイン・ビジネスの秘密の一端を見る想いがしました。
 でも、せっかくワイナリーまで行ったのだから、案内する人にリストに入れるよう頼んだところ例外的にリストに編入出来るかどうか聞いてみるという返事でした。
 ちょっと長くなりましたが、2年前にようやくリストに入る事ができて、最初の発注案内が来ました。最大5本だという事だったので、その5本を注文したら返事は「2本しか用意出来ません」という返事が返ってきました。
 なんか凄い商売だなあって思った覚えがあります。
 当然ですが、お金も注文と同時に振り込み訳ですから、販売する方としては回収のリスクは何もない訳です。

 そして2年が経過した先日、ようやく2本のハーラン・エステートが頑丈な木箱に入って到着しました。

 箱を開けると、2本のハーランが鎮座していました。
 2007年ものですから、後3年は寝かせた方がいいかなぁぁって思いながら、日本の流通に依存したビジネスとの違いを思い知らされました。
 このハーランの木箱、ちょっと珍しいので名古屋ショールームに展示するつもりですので、興味のある方はご覧下さい。勿論ですが、ワイン本体はワインセラーに移しますから箱は単なる空箱です。