TITLE:「質感」とは、、

 製品のデザインを考えるとき、その製品の持つ質感をどう表現するのかというのが、TOYO KITCHEN STYLE の製品造りのテーマの一つです。
 手前味噌の話ですが、他のキッチン・メーカーの製品とうちの製品の一番大きな差は、この「質感」だと思っています。
 写真で撮るとその質感を表現する事が非常に難しいので、カタログ上ではその差がよく理解出来ない事が多いのですが、実際の製品を見た方はその質感の違いに驚かれる事が多いと思います。特に、色んなメーカーの製品が一堂に並ぶ商社や特約店での展示会だと、直接の「質感」の差を較べる事が出来るのでぜひその視点で製品を見て戴きたいと思います。
 例えば、ステンレスのキッチントップですが、理屈から言うと板厚は外見からは判断出来ない筈ですなのですが、実際の製品を見ると外観からステンレスの板厚ははっきり分かる事が多いのです。
 日本の製品の多くが、欧米の製品に較べて「質感」が貧弱に見える理由ですが、製品企画の段階で必ず通るのが「VA」という手法で、日本語で言うと「価値分析」というのですが、その製品に要求される機能や耐久性を数値化して、製品を構成するパーツの一つ一つに対してオーバースペックではないかと検討をしてコストダウンに繋げるという手法です。
 この「VA」の要素の一つに「質感」という概念が欠如している場合が多いのです。これは「質感」というものが数値化出来ないという問題もあるのですが、往々にしてこの「質感」というのを製品作りの過程で軽視する傾向が日本企業に多くあるような気がします。
 余談ですが、聞きかじりの話なので本当の話かどうかは分かりませんが、トヨタがレクサスを開発する過程の中て高級感というのは車の中でどう表現されるべきかという議論があったそうです。その時に最初に取りかかったのが外装の塗装だそうで、欧米の高級車並の質感を外装の塗装でどうやって表現をするのかという事が大きなテーマだったそうです。
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 その話を聞いた後に街を走っているレクサスとベンツを比較すると、なるほど思いました。
 
 同じような話で日産がGTRを開発する時にエンジンや足回りのような機能的な部分だけのような気がしますが、実は外観の塗装にかなり力を注いだという話も聞きました。
 日本の企業も汎用品だけで世界を圧倒出来る時代は終わった今、趣向品のマーケットでの存在感を高めていくには、この「質感」というものを製品の中でどう表現をしていくかというのが大きな課題になってくるような気がします。
 

投稿者 nabe : 2014年06月06日 12:00