Interview キッチン・インテリア オーナーインタビュー

優れたデザインは人生を前向きに変える

Vol.1 酒向 正春 [Masaharu Sakoh]

2017.11.15 Wed

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リハビリ医療の最前線で、効果が見込めるとの理由から、トーヨーキッチンスタイルのINOが選ばれた。一体どのように使われ、どんな効果があるのか。導入を決めた、ねりま健育会病院の院長である酒向正春さんに話を伺った。人が人間らしく生きていくことにも配慮した治療を行う、脳神経外科医からリハビリの世界に転向した注目の医師だ。その新しい取り組みがNHKのテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」で紹介された、チャレンジャーでもある。

取材に訪れたのは、開業直前の時期。キッチンは、180ものベッドを備える大きな規模の病院の、広いリハビリルームの一角に設置されていた。同じ空間には、ベッドや運動用の機器が並んでいる。窓からは豊かな外光が差し込み、その先には美しい庭が。病院というより、保養所といった雰囲気の心地よい施設だ。幅2.4m、奥行き1.05mのINO があるのは、その部屋の入り口近く。調理するのと反対側には、2脚のビーシー エヌ スツールが置かれていた。

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酒向先生は話す。
「病気の治療を受けた患者さんが家に戻って、その人らしく残りの人生を生きていくには、再び料理ができるようになることも重要です。そうした再出発をサポートするのが我々の仕事です」
ねりま健育会病院は、重度の患者さんを多く受け入れる施設だ。キッチンを使ってのリハビリは、半身が動かない人を想定している。

特に利き手と反対の手だけで料理を作るのは、相当な負担である。だが、家族に自分の料理を食べてもらう、「誰かの役に立つ行為が、生きる自信となり、そうした気持ちがリハビリの効果を上げる」という。

しかしリハビリは、「楽しくないと、やりたくないものです。そこでデザイン性の高いトーヨーキッチンスタイルのキッチンで、モチベーションを上げてもらおうと考えた」と。

これまでの病院で行われていたのは、建物の隅の暗いスペースに置かれた、昔ながらのキッチンでのリハビリが殆ど。そこでの練習と比べたら、やる気は大きく違うだろう。

「好きなことをやりたいという前向きな気持ちがあれば、脳の一部が壊れていても、残った脳神経細胞で失われた機能を補うこともある」とも。キッチンのハイスツールも「普通はリハビリに使わないが、『あのお洒落な椅子に座れるようになりたい』という、高い目標がリハビリに役立つ」と酒向先生は考える。

もっともハイセンスなキッチンで料理するのは、特別なものではなくて家庭の味。普段から口にするものが作れないと、家に戻って役に立たないからだ。このキッチンを目の当たりにして、気持ちが変わるのは患者さんだけではない。

病院で働くスタッフの皆さんも、「どんなプログラムを作ろうか、ちょっとワクワクしています」と、顔を輝かせていた。
今回リハビリの最前線を取材して気づいたのは、優れたデザインには人生を前向きに変える力があること。そして誰かのために料理をすることは、人として必要とされていることを実感できる重要な行為、ということだった。そんな人間として根源的な部分に、トーヨーキッチンスタイルの製品は深く関わっている。
(取材・文・写真 ジョー スズキ)

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Profile

1961年愛媛県宇和島市生まれ。愛媛大学医学部卒。1987年脳卒中治療を専門とする脳神経外科医となる。愛媛大学医学部脳神経外科講師を経て、2004年病気の治療以上に人間回復させることが重要と考え、初台リハビリテーション病院脳卒中診療科科長となり、脳神経外科医から脳リハビリテーション医へ転向。また北欧生活を生かして、高齢者や後遺症を持った方にも優しい街づくりをライフワークとして「健康医療福祉都市構想」を提言。東京都初台地区の「初台ヘルシーロード」実現に尽力。2012年世田谷記念病院副院長、回復期リハビリテーションセンター長。東京都世田谷区二子玉川地区に地域リハビリテーションとノーマライゼーションが充実した超高齢社会に対応した都市と「二子玉川ヘルシーロード」の整備に尽力。2013年には、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」第200回で「希望のリハビリ、ともに闘い抜くリハビリ医・酒向正春」として特集され、攻めのリハビリテーションが注目された。2015年10月健育会竹川病院院長補佐を経て、2017年4月練馬区大泉学園町に同医療法人社団の大泉学園複合施設を開設して、院長・管理者に就任。

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