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【名作デザイン図鑑】円盤という名の光、フロス|フリスビー|Frisbiの設計思想

デザインや機能性に優れ、時代を超えて愛される名作家具や照明たち。実用品を超えて芸術作品としても評価されています。
数ある名作の中から今回は「フリスビー|Frisbi」をご紹介します。

フリスビー|Frisbi


デザイン:アキッレ・カスティリオーニ|Achille Castiglioni|イタリア
製造:フロス|FLOS
1978年|ペンダントライト・照明

アキッレ・カスティリオーニが、ひとつの光源に仕込んだ三つの仕掛け



フリスビーと聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは、世界中で1億個以上を売り上げたアメリカ生まれのフライングディスクでしょう。同じ名を持つ一台の照明が、1978年にイタリアで生まれました。手がけたのは、機能を突き詰めた先に独自の形を見出す名手、アキッレ・カスティリオーニです。

INDEX

  1. 円盤という名の、もうひとつの発明
  2. ひとつの光源が生む、三つの表情
  3. 半世紀を経て、なお製作され続ける理由
  4. まとめ
  5. 所蔵されている美術館
  6. デザイナープロフィール
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円盤という名の、もうひとつの発明

フリスビー|Frisbi


フリスビーの名は、アメリカ生まれのフライングディスク「フリスビー」に由来します。中央に開口部を持つ乳白色のディスクを、3本の細いスチールワイヤーで宙に吊る構成は、たしかにそのフォルムを思わせる佇まいです。けれども、この円盤はただの見立てではありません。光をどう扱うかという、フロス|FLOSならではの命題への答えでもあります。1978年にアキッレ・カスティリオーニが発表して以来、フリスビーはイタリアンデザインを代表する一台として語り継がれてきました。


ひとつの光源が生む、三つの表情

フリスビー|Frisbi

フリスビーは、たった1つの光源から3種類の光を同時に生み出します。中央の開口部から下方へ抜ける直接光、乳白のPMMA(アクリル樹脂)を透過してやわらぐ拡散光、内側を磨き上げた反射板が跳ね返す反射光です。

フリスビー|Frisbi

光源そのものはディスクの陰に隠れ、目に映るのは光を纏った円盤だけになります。ひとつの構造の中に、性格の異なる3つの光を共存させる。この合理性こそが、フリスビーを単なる意匠にとどまらせない理由です。


日常を見つめ直す、カスティリオーニの視点

フリスビー|Frisbi


カスティリオーニ兄弟は、既製品や日用品を実用の視点から読み替える手法でも知られています。マルセル・デュシャンのレディメイドに近い発想でありながら、目的はあくまで機能の獲得です。フリスビーはトラクターの座面をそのまま流用したメッツァドロのように、実物を転用した一台ではありません。その名は、当時世界的に知られていたフライングディスクを思わせる形状にちなんでおり、見慣れたものへの気づきを大切にする姿勢は、カスティリオーニの他の作品にも通じています。


フロス|FLOSという舞台


フロス|FLOSは1962年、イタリア・メラノで創業しました。創業にはアキッレ&ピエル・ジャコモ・カスティリオーニ兄弟が参画し、照明を単なる光源から芸術作品へと引き上げてきました。フリスビーが生まれた1978年も、その延長線上にあります。日常の観察から生まれたアイデアを、確かな技術で製品へと落とし込む。この協働のかたちが、フリスビーという一台にも表れています。


半世紀を経て、なお製作され続ける理由

フリスビー|Frisbi


1978年の発表から半世紀近くが経った今も、フリスビーは現行製品としてフロス|FLOSのカタログに並び続けています。ニューヨーク近代美術館が1985年に本作を収蔵し、1997年の回顧展にも出品されました。歴史的名作でありながら、実際に自宅の食卓へ迎えられる。この両立こそが、フリスビーという発明の価値を今も更新し続けています。

まとめ


フリスビーは、アメリカ生まれの大衆的な遊具のかたちを借りながら、光を直接・拡散・反射の3つに分ける構造を持つ照明です。カスティリオーニが工業製品に向けた観察眼が、実用の美として結晶しました。1978年の発表から時を経てなお、フロス|FLOSの定番として選ばれ続けています。

所蔵されている美術館・展示歴


  • ニューヨーク近代美術館(MoMA):1985年収蔵(Atelier International, Ltd.からの寄贈)

  • ニューヨーク近代美術館 回顧展「Achille Castiglioni: Design!」:1997年出品


  • 美術館に収められた歴史的名作でありながら、現在もフロス|FLOSの現行モデルとして購入できる点は、フリスビーの大きな特徴です。

アキッレ・カスティリオーニ|Achille Castiglioni

デザイナープロフィール



1918年ミラノ生まれ。1944年に建築を学び終えました。兄のピエル・ジャコモ・カスティリオーニらとともに、既製品や日常のモチーフを鋭い観察眼で読み替える手法によって、イタリアンデザインの黄金期を牽引します。トリノ工科大学やミラノ工科大学で教鞭をとり、後進の育成にも力を注ぎました。生涯にわたり、イタルデザイン最高峰の賞であるコンパッソ・ドーロを複数回受賞しています。

フリスビー

フリスビー

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