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【名作デザイン図鑑】最先端素材とクラフトマンシップが融合した構造美 moooi「カーボンバースツール」

デザインや機能性に優れ、時代を超えて愛される名作家具や照明たち。実用品を超えて芸術作品としても評価されています。

数ある名作の中から今回は、moooiの「カーボンバースツール」をご紹介します。

デザイン:ベルトヤン・ポット|Bertjan Pot|オランダ
製作:モーイ|moooi|オランダ
2015年|ハイスツール

カーボンバースツールは前身であるカーボンチェアの成功を受けて登場したハイスツールです。最先端の高性能素材とクラフトマンシップの融合を目指し、デザイナーであるベルトヤン・ポットの「素材から始めるデザイン」の哲学を体現した作品です。

INDEX

  1. カーボンファイバーとは
  2. クラフトマンシップによる素材の探求から誕生
  3. カーボンバースツールに至る道のり
  4. 軽さと構造の再定義
  5. ベルトヤン・ポットのデザイン哲学に触れる
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カーボンファイバーとは


カーボンファイバー(炭素繊維)は、非常に軽くて強度の高い先端素材で、航空機や自動車、スポーツ用品など幅広い分野で活用されています。質量比で90%以上が炭素で構成されており、繊維状に結びついた炭素原子から成っています。

鉄の約1/4の比重で非常に軽い事に加え、約10倍の比強度、約7倍の比弾性率があります。高温環境でも安定し摩耗しにくく、酸や薬品にも強く腐食しにくい性質を持っています。

素材としては理想的な特性をもっていますが、製造コストが高く加工が難しいので製造には技術力が不可欠な素材です。

クラフトマンシップによる素材の探求から誕生


このカーボンバースツールは、デザイナーであるベルトヤン・ポットがデザインの信条としている素材への好奇心、偶然性への信頼、そして構造美への探求が凝縮された作品と言われています。

新しい素材に対して、考えるよりも先に手を動かして作り、その中から偶発的な新しい発見や、美しさなどを見出して完成へと導いていきます。

カーボンファイバーは前述の通り、加工や取り扱いが難しい素材ですが、ベルトヤン・ポットがプロトタイプを製作した時と同じく、カーボンチェア、カーボンバースツールは今も全て手作業で製作されています。

カーボンファイバーという先端素材でありながら、その誕生はクラフトマンシップによる手作業によって支えられているのです。

カーボンバースツールに至る道のり


カーボンバースツールが生まれた経緯を、具体的な彼の作品を追いながら辿ってみましょう。

ランダムライト(1999年 moooi)

名門アイントホーフェンのデザインアカデミーの卒業制作で余ったグラスファイバーと風船を使って実験的に制作した「ランダムライト」が発端でした。エポキシ樹脂でファイバーを固めて整形するという共通したプロセスが伺えます。後にmoooi最大のアイコンに成長するこの実験的な作品を、彼は自らの手で直接moooiに持ち込むために自宅から自転車と電車を乗り継いだという逸話も残されています。

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カーボンチェア(2004年 moooi)

2003年「カーボンコピー」というプロジェクトで、イームズの名作シェルチェアDSRを2次元のカーボンシートで模写するのではなく、3次元的にカーボンファイバーでコピーするという作品を発表します。グラスファイバー製だった座面のシェルも、エッフェルと呼ばれる金属脚も全てカーボンファイバーのみで手作業で巻き上げて製作しました。素材への果てしない探究心が本家とは異なる新たな価値観を生み出したと話題になり、作品は美術館に所蔵され、結果的に翌2004年にはマルセル・ワンダースとの協業でリファインされ「カーボンチェア」としてmoooiの製品郡に加わります。

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カーボンバースツール(2015年 moooi)

前述のカーボンチェアの商業的な成功を経て新たに追加されたのがカーボンバースツールです。キッチンスツールとして最適な座面高さ66センチと、ホテルなどのバーカウンターに適した76センチの2タイプがあり、座面に敷く柔らかな専用パッドもあります。

軽さと構造の再定義


カーボンバースツールの製品的な特徴は何と言っても素材であるカーボンファイバーです。驚異的な軽さと丈夫さを兼ね備えた最先端の素材は「ハイスツール」というジャンルの家具にとって、最適な功績をもたらしました。

スツールや椅子にとって「軽さ」は強力な強みの一つです。座る際に女性でも片手で簡単に引き出せ、床材へのダメージも最小、清掃時も楽々です。重さは自ら「超軽量」と名乗った名作椅子「スーパーレジェッラ」が1,700グラムのところ、カーボンチェアではそれを下回る1,500グラムを記録しています。

また、網目のような座面、脚部は細いフレーム状のため、製品の向こう側に視線が抜け、実質的な軽さと同時に視覚的な軽さを演出しています。

ハイスツールは座面高さが椅子よりも高く、物理的にどうしても不安定になりがち、重さが軽ければ尚更です。しかしカーボンバースツールはカーボンファイバーの素材的なもう一つの特徴でもある堅牢性の恩恵で、軽くてもガッチリとして優れた安定感の座り心地です。

偶発性をデザインプロセスの持ち味としたベルトヤン・ポットですが、カーボンファイバーがランダムに巻かれたように見える座面は、実は荷重が掛かるポイントに合わせてあり、力学的に意味のあるパターンになっています。偶発的に見えつつも構造美が重視されています。


ベルトヤン・ポットのデザイン哲学に触れる


カーボンバースツールは「理論に縛られず、まずは作る」というベルトヤン・ポットの姿勢と、協業したマルセル・ワンダースのプロデュースによって、技術面と詩的な美しさが高い次元で融合たプロダクトです。「軽くて丈夫で快適な座り心地」という商業的なスペックでは語り尽くせない、「つくること」そのものへの愛情と哲学が宿っています。

このスツールに座ることは、彼の思考と手仕事(クラフトマンシップ)に触れることでもあります。軽やかでありながら、溢れる情熱を内包したこの作品は、現代デザインの中でも特異な輝きを放っています。

W45/D45/H83/SH66cm

カーボンバースツールロー

W45/D45/H83/SH66cm

オンラインストアで見る
ベルトヤン・ポット|Bertjan Pot

ベルトヤン・ポット|Bertjan Pot

1975年、オランダ、ニウェルーセン生まれ。1998年アイントホーフェンのデザインアカデミー卒業後、卒業制作で余った素材で制作した実験的な作品「ランダムライト」がmoooi|モーイのコレクションに加わり注目される。2003年には自身のスタジオを設立し、moooi|モーイ、Kvadrat|クヴァドラ、Cassina|カッシーナ、HAY|ヘイなど多数のブランドで作品を発表。

すべての作品は素材の研究からスタートし、まずは手を動かして偶発性や即興性、実験的なアプローチから始まる。鮮やかな色使いや大胆なパターンが特徴で、色同士の対比や調和を重視している。構造的な美しさや技術的な試行錯誤を取り入れて工業製品の枠にとらわれない作品多数。

アートとデザインの境界線を自ら曖昧にし、作品は、MoMA(ニューヨーク)、Victoria and Albert Museum(ロンドン)、Boijmans Van Beuningen Museum(ロッテルダム)などの美術館に収蔵されている。

これまでの「名作デザイン図鑑」はこちら。

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