サローネも年々巨大化してきている。
今年は35万人の参加者があったそうで、去年に較べて27%のアップらしい。
事実、会場でも、トルトーナ地区でも、あまりの人出に少し恐怖感さえ憶えた。
私の場合はミラノ事務所から会場に送迎して貰ったので、行き帰りはそんなに大変ではなかったけど、自費参加した社員の話を聞くと、地下鉄は凄い事になっていたらしい。
まさに世界のインテリアの祭典と呼んでいいのかもしれない。
どうしてこんなに巨大化したのかということだけど、一つはサローネが単なる商談の場だけではなく、企業のイメージ・アップの為のブレゼンテーションの場となってきている点だと思う。日本でもTOYOTAを筆頭にインテリアとは関係のない業種が会場を持ったり、また、インテリア関係でも、直接に欧米市場に販売するという意味ではなく、母国に向かってのプレゼンテーションの場として活用するという会社、例えば日本ではPanasonicのプレゼンテーションもそういう意味だそうだ。
もう一つは、「サローネのウィンブルドン化現象」と呼んでもいいのかもしれないが、展示企業やデザイナーの多国籍化というのがますます顕著になってきた。フィエラでも、トルトーナでも、かなりのイタリア以外の企業の展示スペースが増えていた。
デザイナーの多国籍化はもっと顕著で、イタリア以外のデザイナーがますます幅を利かせて来て、イタリア人のデザイナーはますます影が薄くなりつある。大御所と呼ばれる人たちも、先般のソットサスの逝去のように、過去にイタリアデザインの牽引車だった人たちが次々とこの世を去りつつあるという背景もあるのかもしれない。
こんなバックグラウンドからだと思うけど、イタリア以外からのサローネの参加者が大きく伸びているようです。日本人もかなり増えているような気がする。
さて、、本題の「デコは定着したのか?」に入ることにします。
まず、、結論から、、ですが。
「デコの流れ」は完全に定着したようで、今更デコという言葉を使うのが気恥ずかしい程なのと、もう既にこのデコのアンチテーゼとも言える動きの兆しさえ見えたのには驚きました。
写真はご存知ヤコブセン、、でも、、とてもカラフル。
10コルソコモで開催されていた「ヤコブセン展」
あの、、永遠の名作、ヤコブセンさえもこんなにデコラティブになると、まるで違った印象になる。
展示の中で私が一番気に入ったヤコブセン。
アメリカ国旗をイメージさせる。
余談になるけど、最近ギャルソンがイギリス国旗をモチーフにしたTシャツを出したり、ルシアン・ペラフィネがイギリス国旗とスカルを組み合わせたT-シャツとセーターを出したりしたせいもあるかもしれないけど、ちょっと国旗モチーフにはまってしまった。
ネオン照明がついた椅子とミラー
家具と照明の一体化という考えは、かなり面白いと思った。
この家具、Boffiの特設会場に見たので単なるインスタレーションだと思ってたら、実際に販売されている家具だった。こんなのが製品として販売する世界を舞台に活躍する家具メーカーは本当に怖い。
あのカッシーナも変わってきた。
カッシーナというメーカーはかなり時代感を持つたメーカーだと思うので、その時のインテリアの流れが成熟しつつある時期を見計らって、早過ぎもせず、遅過ぎもせず、絶妙のタイミングで製品化する会社だと思っている。まるで、TOYOTA のようだ。
そんな会社がこんな家具を出して来た。
いよいよデコ本番という事だと思う。
最後に私の大好きなEdraの新作。
ソファーのは張布が妙にぬめり感を持った光沢のある布で、かなりアジアン・アフリカン・テーストを意識したのかもしれない。
余談だけど、、今年のHermesのキャンペーン・テーマはインド。
今、全国のエルメス・ショップに行くとカラフルに着色された可愛い象で溢れている。アジア・アフリカン・テーストというのがひょっしてデコの一つの可能性なのかもしれない。
実は、そんな事は前々から思っていて、5月の六本木ムーブルで発表する新製品には、アジアやアフリカのフォーク・アートをキッチンを中心としたインテリアの中で見て頂くという実験的な試みをする予定だ。どんな事になるのか、私も想像はつかないが、とんでもない空間になるかもしれない。
次は「デコは定着したのか?? その2」の予定です。
ご期待下さい
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