TITLE:サローネ 2008 その3  デコは定着したのか?? (1)

 サローネも年々巨大化してきている。
 今年は35万人の参加者があったそうで、去年に較べて27%のアップらしい。
 事実、会場でも、トルトーナ地区でも、あまりの人出に少し恐怖感さえ憶えた。
 私の場合はミラノ事務所から会場に送迎して貰ったので、行き帰りはそんなに大変ではなかったけど、自費参加した社員の話を聞くと、地下鉄は凄い事になっていたらしい。
 まさに世界のインテリアの祭典と呼んでいいのかもしれない。
 どうしてこんなに巨大化したのかということだけど、一つはサローネが単なる商談の場だけではなく、企業のイメージ・アップの為のブレゼンテーションの場となってきている点だと思う。日本でもTOYOTAを筆頭にインテリアとは関係のない業種が会場を持ったり、また、インテリア関係でも、直接に欧米市場に販売するという意味ではなく、母国に向かってのプレゼンテーションの場として活用するという会社、例えば日本ではPanasonicのプレゼンテーションもそういう意味だそうだ。
 もう一つは、「サローネのウィンブルドン化現象」と呼んでもいいのかもしれないが、展示企業やデザイナーの多国籍化というのがますます顕著になってきた。フィエラでも、トルトーナでも、かなりのイタリア以外の企業の展示スペースが増えていた。
 デザイナーの多国籍化はもっと顕著で、イタリア以外のデザイナーがますます幅を利かせて来て、イタリア人のデザイナーはますます影が薄くなりつある。大御所と呼ばれる人たちも、先般のソットサスの逝去のように、過去にイタリアデザインの牽引車だった人たちが次々とこの世を去りつつあるという背景もあるのかもしれない。
 こんなバックグラウンドからだと思うけど、イタリア以外からのサローネの参加者が大きく伸びているようです。日本人もかなり増えているような気がする。
 さて、、本題の「デコは定着したのか?」に入ることにします。
 まず、、結論から、、ですが。
 「デコの流れ」は完全に定着したようで、今更デコという言葉を使うのが気恥ずかしい程なのと、もう既にこのデコのアンチテーゼとも言える動きの兆しさえ見えたのには驚きました。

 写真はご存知ヤコブセン、、でも、、とてもカラフル。
 10コルソコモで開催されていた「ヤコブセン展」
 あの、、永遠の名作、ヤコブセンさえもこんなにデコラティブになると、まるで違った印象になる。

 展示の中で私が一番気に入ったヤコブセン。
 アメリカ国旗をイメージさせる。
 余談になるけど、最近ギャルソンがイギリス国旗をモチーフにしたTシャツを出したり、ルシアン・ペラフィネがイギリス国旗とスカルを組み合わせたT-シャツとセーターを出したりしたせいもあるかもしれないけど、ちょっと国旗モチーフにはまってしまった。

 ネオン照明がついた椅子とミラー
 家具と照明の一体化という考えは、かなり面白いと思った。
 この家具、Boffiの特設会場に見たので単なるインスタレーションだと思ってたら、実際に販売されている家具だった。こんなのが製品として販売する世界を舞台に活躍する家具メーカーは本当に怖い。

 あのカッシーナも変わってきた。
 カッシーナというメーカーはかなり時代感を持つたメーカーだと思うので、その時のインテリアの流れが成熟しつつある時期を見計らって、早過ぎもせず、遅過ぎもせず、絶妙のタイミングで製品化する会社だと思っている。まるで、TOYOTA のようだ。
 そんな会社がこんな家具を出して来た。
 いよいよデコ本番という事だと思う。

 最後に私の大好きなEdraの新作。
 ソファーのは張布が妙にぬめり感を持った光沢のある布で、かなりアジアン・アフリカン・テーストを意識したのかもしれない。
 余談だけど、、今年のHermesのキャンペーン・テーマはインド。
 今、全国のエルメス・ショップに行くとカラフルに着色された可愛い象で溢れている。アジア・アフリカン・テーストというのがひょっしてデコの一つの可能性なのかもしれない。

 実は、そんな事は前々から思っていて、5月の六本木ムーブルで発表する新製品には、アジアやアフリカのフォーク・アートをキッチンを中心としたインテリアの中で見て頂くという実験的な試みをする予定だ。どんな事になるのか、私も想像はつかないが、とんでもない空間になるかもしれない。
 次は「デコは定着したのか?? その2」の予定です。
 ご期待下さい

TITLE:サローネ 2008 その2  YCAMI編

 サローネから帰ってから、何かとバタバタしてしまって、サローネ・レポートも少し遅れ気味で申し訳ないです。その代わりと言っては何ですが、5月8日の梅田さんの講演会の場を少し拝借して、私のサローネ・レポートをライブで聞いてもらう事にしました。
 今年のサローネに関しての私の 独断と偏見 を生で聞いてみたいと思われる方、まだ席は若干残っているようですので、ぜひHPから参加をお申し込み下さい。サローネやユーロクッチーナについて、いろいろな見方を知りたいと思われている方、きっと面白いと思います。
 →講演会の情報はここ

 さて、それではまず TOYO KITCHEN STYLE が日本の総代理店を努めている YCAMI 社の新製品から紹介しますね。

 今年の新製品の中で、一番の話題はアルミに鏡面仕上げを施した椅子です。
 アルミの鏡面というのは、メッキとかとは違って、質感が不思議にレトロっぽくなります。独特の風合いはこれから日本でも本格的に始まってくるインテリアのデコの流れの中で,独特のアクセントを与えてくれるような気がします。
 全体がアルミだけで出来ているので、ガーデン・ファニチャーとしても使用できます。
 アルミの座面が横方向ではなく,縦方向に流れているので、極めて座り心地はいいのに驚きます。この椅子は私自身もかなり気に入ったので秋以降には日本で見て頂けるように発注しました。ご期待下さい。

 同じタイプのスツール
 写真のツールは白塗装ですが、私は鏡面の方が好きだったので、日本に持ってくるのはスツールも鏡面仕上げです。

 昨年発表してセンセーショナルな話題となった「ORIGAMI」のローテーブルです。
 ご存知のようにこの ORIGAMI は橋梁で使われるトラス構造を椅子に使った,極めて建築的要素の強い椅子です。非常に印象的なフォルムで、空間に置いてトップライトで照らすと、椅子の影と一緒になって空間のイメージをがらりと変えます。極めて軽いのも特徴です。
 このORIGAMI のテーブルは秋には日本にお目見えするので、椅子とセットするとかなり面白い空間になるのではないかと、今から楽しみにしています。

 ミラーの新製品。
 縦長の細身で美しい。
 ミラーですが、欧米ではインテリアのなかでかなり多用されていますが、日本では極めて稀です。このせいか,日本で紹介されているミラーのバリエーションは極めて少なく、雑誌等でも紹介されることもあまりないようです。ミラーを使ったインテリア空間は今回の CORE のプレゼンテーションでも使われてますので、ぜひ注意してみて下さい。
 TOYO KITCHEN STYLE では、もっとインテリアにミラーを使って頂こうと何年も前から,積極的に欧米のミラーを日本で紹介を続けていますし、今後とも継続していろいろなデザインのミラーを日本市場に紹介を続けていきたいと考えています。
 ちょっと余談になりますが、今回の新製品COREで使われているミラーの中で一番のお気に入りは KIRAKIRA ビアンコのプレゼンテーションで使われている ICE(アイス)とネーミングされた、氷のように見えるフレームを持ったミラーです。 ミラーICE は東京、名古屋、大阪、福岡の各ショールームで現物をご覧頂けます。
 写真の YCAMI のミラーはプロトタイプで、まだ製品化するかどうかは不明だそうですが、もし生産入るようでしたら,日本で紹介するつもりです。
 次回のサローネ 2008 は、「デコは定着したのか?」です。
 ご期待下さい

TITLE:サローネ 2008 その1   サローネ前夜

 パリ経由でミラノに着いた時は、もう夜になってた。

 食事を軽くしてからホテルの近くの コルソコモ を通りかかると、11時を過ぎてるにも関わらず、まだ沢山の人が行き来していた。バールでは、あつこちで一晩中でも続くのではと思ってしまうイタリア人のお喋りが続いていた。相変わらずお洒落で楽しいコルソコモなんだけど、新しいお店もかなり入っていた。

 街角にひっそりと立つ街の占い師
 喧噪のコルソコモを離れると、ミラノの街は突然静寂の闇に包まれてくる。
 賑やかなミラノも好きだけど、静寂の闇に溶け込むミラノの街の方が好きかもしれない。
 暗闇に溶け込む街はどれだけ歩いても飽きる事はない。

 闇と静寂の底に沈むミラノの街を歩いていると、突然現れた白熱灯に照らされた住宅の扉。こんな扉一つで感動させてくれる不思議な街だ。歩いていると、こういいった街の切り取られた風景が次々と現れて来て、飽きる事はない。

 もうサローネに来るようになって何年経つのだろう。
 今年はどんなサローネになるのだろう。
 年々サローネは巨大化し、ショー化しつつある中で、見る方も余程気をつけて見ていないと、華やかな部分にだけ目を奪われ、サローネの本質を見誤ってしまうような気もする。
 今年のサローネで私が特に気をつけて見ていきたいと思っているのは、まず、5年程前から始まって来たデコの流れがどれだけ定着を始めて来たのかという点。それと、そのデコの流れはこれからどこに行くのだろう?という2つの点。この2つを重点的に見ていこうと思った。
 もう一つ、最近の日本のサローネ・ブームということもあると思うのだけど、事前情報も含めて、サローネに関しての情報はかなりインターネットを通して発信されている。この情報の洪水の中で、私のブログが通り一辺倒の情報だけを改めて発信する必要があるのだろうかという疑問がある。
 もっと、独断と偏見、あまり報道されないサローネの片隅での展示、、まあ、どうなるかは分からないけど、一般的には報道されないと思われるサローネの側面の話や、サローネの底辺で起こっている出来事を中心にまとめてみようと思ってるのだけど・・
 余談になるけど、これだけ日本でサローネの事前情報が溢れているなか、肝心のインテルニのサローネ・ページがサローネ前日にしかオープンしなかったという、いかにもイタリア的なエピソードから話を始めようと思います。

 写真はコルソコモでみかけた チンクェチェント、、アーティトは不明

TITLE:新製品 CORE ・・「キッチンに住む」って何?

 CORE が発売されました。

 1986年すでから、今から22年前にTOYO KITCHEN STYLE の原点とも言えるキッチンを発表しました。当時としては画期的なセミオープンタイプのキッチンで、このキッチンの名前が「Urban CORE」で、今回思い入れがあるこの製品から「CORE」という名前を取った新製品です。
 デザイン・オリエンティッドのキッチンを始めて22年、、Urban CORE が現在の日本のシステム・キッチンの一つの原型になったように、今回の CORE は、これから10年先、20年先の日本のキッチンのディファクト・スタンダードを目指すという想いを込めた製品です。
 上の写真は 1986年に発表した当時の Urban CORE です。今見ても新鮮です。ちなみに、このキッチンは複雑に折れ曲がっていますが、キッチン部の折れ角度が 135゛で、現在の INOV-LAND の原型にもなっています。
 今回の CORE の開発テーマは 「キッチンに住む」

 2001年に発売した Bay`s Bay という商品は、日本で始めてのアイランド・キッチンを最初からシステムとして想定した、まさにアイランドの為のアイランド・キッチンでした。
 この Bay`s Bay の発売に当たってのコンセプトは、、
 「コミュニケーションをキッチンの機能として考えよう」
 というものでした。
 つまり、「キッチンは料理をするだけの道具でいいのか?」という提案でした。
 当時は、今でもそうですが、キッチンは料理をする道具である、、という切り口からしかキッチンを考えない人が多いのですが、
 Bay`sBayでは
キッチンはもはや料理をする道具だけではなく、キッチンを中心とした家族のライフスタイルという切り口から入る事が求められ始めている」
 という話をいつもお客さんに話していた記憶があります。
 当初はこのキッチンの考え方はなかなか理解されなかったのですが、数年後に突然に花開き始めて、現在ではTOYO KITCHEN STYLE で販売する半分以上がこのアイランド・タイプのキッチンになってきました。まさに、お客様の潜在ニーズを捉えたのだと思います。
 その後、キッチンと家族のコミュニケーションの話は、誰もが理解して戴くようになり、日本のキッチン・メーカーの殆どが、この「コミュニケーション」という言葉をキーワードとした製品の開発やら、プレゼンテーションをするようになったのはご存知の通りです。
 でも、、アイランド・タイプのキッチンを販売しながら、私の脳裏をよぎっていたのは、こういうことでした。
 「キッチンを部屋の真ん中に置いただけで、本当に家族のコミュニケーションがはかれるのか」という疑問でした。

 実際にアイランド・タイプのシステム・キッチンを採用して頂いたお客様と、このことに関していろいろお話してきました。つまり、アイランド・タイプのキッチンを設置してから、本当に家族のコミュニケーションが進んだのかどうかということです。
 いろいろ聞いてみると、子供が小さいうちは、それでもキッチン廻りに家族が集まって、会話が弾むというのは事実のようです。しかし、子供がある程度大きなってくると、料理や食事でせっかく集まった家族が、食事が済むと、三々五々にそれぞれのプライベート・スペースに帰ってしまうようなのです。
 この現象を、私はこう名付けました。
 曰く 「食事後解散」ライフスタイル
 では、どうしてせっかく集まった家族が解散をしてしまうのでしょうか??
 理由は、キッチンやダイニングがそこに長時間いて、決して心地よい空間ではないということのようです。長時間いて心地よくないから、「食事後解散」をしてしまうという事なのだと考えました。
 キッチンをもっと心地よい空間にするには・・
 まさに
 「キッチンに住む」です。
 具体的に、今回のCOREでキッチンを心地よい空間にする為に、どんな工夫をしたのか、、これはまた後日お話しします。
 下の写真は新製品の CORE シリーズの KIRAKIRA の Nero です。

 いや、、はやく聞きたいと思われる方は、現在南青山、名古屋、大阪、福岡の各ショールームにCOREは展示してあるので、ショールームで自分の目で確認して、TOYO KITCHEN STYLE のショールーム・スタッフの説明を聞いてみて下さい。

 明日から、暫く日本を離れます。
 恒例のミラノのサローネの視察に出かけます。
 サローネもここ数年大きく形態が変貌してきていて、私的には少し昔のサローネを懐かしむ心はありますが、まあ、、それでも、世界最大のインテリア・ショーなので、きっと面白い物に出会うことを期待しています。
-続く-

TITLE:世界一高価なチョコレートとか、今日から新製品「CORE」の展示が・・

 今日から新製品 CORE の展示が南青山、名古屋、大阪、福岡の各ショールームで始まります。 ということで、今日は東京です。 発表会は10時かららしいので、もう少ししたら出かけます。
 CORE は TOYO KITCHEN STYLE として、これからの日本のキッチンのディファクト・スタンダードを目指して開発された商品で、TOYO KITCHEN ファンの方はもとより、キッチン・ビジネスに携わっている方、これからキッチンの購入を考えている方には是非ご覧戴きたい商品です。
 製品コンセプトは    「キッチンに住む」
 デザイン・コンセプトは 「天空の城ラピュタ」

 キッチンに住むとは?? 何??
 浮遊するキッチンとは何?
 キッチンのどこに「飛行石」があるのか??
 詳しくは HP でご覧ください
 ということで、昨晩は南青山のショールームの展示を確認してから、あまり徘徊したことがない 東京ミッドタウンを詳しく徘徊してきました。
 もう知ってる方も多いと思うのですが、(私は知らなかった) とんでもなく高価なチョコレートを発見

 

 場所は東京ミッドタウンのガレリアの1階の中央あたりにあります。

 写真のチョコレートはステンレスのギフト容器に入ったもので、
 価格は、なんと 19,500円、、
 思わず価格表示を見直してしまいました。

 写真はトリフ・チョコレート
 価格は8個入りで 14,000円
 なんと、、この商品は SOLD OUT になっていた。
 こんな高価なチョコレートのマーケットがあるんだっていうこと、、ちょっとした目から鱗状態でした。

 日本の市場も遅ればせながら多様化の時代に向かって突き進んでいるいま、この多様化の時代には、今まで日本の企業が取ってきたマーケッティングの手法が、少しずつ時代遅れになってくるんだという思いが強くなってくる。

TITLE:GDC原宿店がOPENとか、PRADAの妖精とか・・

 今シーズンのPRADAのモチーフの「妖精」が、なんとPRADA表参道店の外壁の全面に描かれていた。
 かなりの迫力なので、一見の価値はあると思う・・ 
 ということで、今日は東京、南青山を歩いていたら、こんな巨大な「妖精」を発見して、なんか凄く得した気分になっている nabe です。

 先週末、GDCの原宿店がオープンしました。
 題して G GDC
 表参道からキャッツ・ストリートに入り、HHstyleを横目に見て進み、ポール・スミスの先に新店舗はオープン。
 内装は勿論、熊谷隆志
 そのオープニング・パーティーに出かけていきました。


貝印の100周年記念パーティーが終わってから駆けつけたので、少し遅れての参加でした。
 会場に入ると、もうパーティーは既に佳境に入っていて、もう大混雑で大騒ぎ。
 店舗の中は、もう喧騒の渦
 熊谷さんも上機嫌でパーティー参加者の一人、一人に挨拶

 正面の壁はフレスコ風に描かれている。
 面白いのは、その描かれた壁の一部に本当の扉があり、そこがトイレになっている。
 一種の騙し絵ですね。

 店内に使われている古い照明器具
 目黒通りで熊谷さんが発見したそうだ。
 天井の塗装もなんかいい風合い、、熊谷さんに「天井の塗装は何ですか?」って聞いたら、
 熊谷さん曰く   「手で塗った」

 内装も使われている照明、什器も興味深い。
 全体のインテリア・コーディネートも一つ間違えばバラバラになってしまう、一昔前の言葉だと「ださく」なってしまうという、微妙な一線でバランスを取っている感じが危うくて、それがインテリアに何とも言えない妖しい魅力を与えている。

TITLE:肥満が犯罪になる日

 今週のNewsWeekでこんな特集をやってます
 題して 肥満が犯罪になる日
 いろいろ考えさせられますね。
 
 ということで、ちょっと更新をさぼってました nabe です。

 花のソファー RAN (蘭) を発表しました。

 発表会は先週の木曜日 3月27日 に六本木 Meuble で開催されました。
 現在12脚の RAN が Meuble に咲き乱れています。
 ぜひ、ご覧下さい。
 4月10日からは 南青山、名古屋、大阪、福岡 の各ショールームで、新製品 COREと一緒にご覧戴けます。