TITLE:HERMESも豹柄

 サントノーレと言えば、有名なのはHERMES本店。
 ショーウィンドウには豹柄とクロコ・グッズが所狭しと展示してあった。

 珍しい豹柄のケリー

 これも珍しい豹柄のボリード
 豹柄の流行がついにHERMESまで来たか、、そんな感じかな?
 ため息が出過ぎて写真を撮るのを忘れてしまったが、クロコ・グッズもHERMESショーウィンドウを埋め尽くしていた。あまりに高価すぎるクロコ。例えばクロコの男性用のロング・コートの価格を見たら 1500万円だった・・・ 凄い!
 そんな高価なHERMESだけど、店内に入ると、まるでバーゲン会場のような混雑。明らかに接客の順番を待っていると思われる客ばかり。久しぶりに店内に入ったのだけど、何か以前と店内の印象が違う。何が違うのだろうと、よくよく見たら、以前は溢れていた日本人の数が圧倒的に少ない。買い物を実際している客も、日本人は少数で、溢れかえっている客の大半が欧米系かアラブ系。
 世界的な富裕層の台頭に取り残された日本。高城剛の言う「日本の国力がここ10年で4位から24位に大転落」という言葉を象徴するような光景だった。
 同じような光景はHERMESの向かいにある「Dolce&Gabbana」でも見た。高価なDolce&Gabbanaの服の試着を繰り返し、買う事を決めた服は近くのソファに積み上げて、まるでバーゲン会場のように服を買っているお客が溢れていた。ネクタイを一本だけ買いたかったのだが、店員は忙しく走り回り、誰も相手にしてくれない(涙)
 ここでもお客で日本人は皆無。買い物をしている客は全て欧米人かアラブ系。
 日本の国力は世界的に見て、明らかに落ちてきているというのは、ヨーロッパに出張する度に感じてはいたが、実際にこんな光景を目の当たりに見ると、やはりかなりショックだった。

 最後の写真は、世界で最も高価なファション・ブランド「 Roberto Cavalli」の店頭に飾ってあった豪華なパーティードレス。ちょっと話はそれるけど、この服もメタリック。どのファションブランドもメタリック・テーストの服を一斉に発売し始めた。インテリアのトレンドはファションから始まるとしたら、インテリアの次のキーワードは、やはり「メタリック」だと思う。

TITLE:パリの街角に見かけた家具達

 パリの街角で見かけた、ちょっと面白いと思った家具達です。
 サントノーレ街のピェール・カルダンのショップのショーウィンドウに不思議な家具を発見した。どうしてカルダンのショップに家具が並んでいるのか、それもショーウィンドウの三面も使って展示してあるのか、理由がまったく不明でなので、誰か知ってる方がいれば解説して欲しい。

 デザインは多分にオブジェ的で、家具に機能を求めすぎる日本の市場ではあまり見かけないし、一般的ではないのだけど、欧米では空間のオブジェ的な要素がより強い家具というのはよく見かける。

 紹介したこの家具達も、収納するという機能は確かにあるのだけど、それはこれらの家具の本意ではなく、むしろ空間に置くとこで一瞬にして空気感を変えてしまうことが、これらの家具達の本意だと思う。白い何もない空間に、一つだけ置かれたこの家具を想像してみて下さい。
 それにしても、この生物モチーフの家具にはちょっとやられた、、そんな感じかな?
 家具というのは、機能だけを追い求めると、デザインは同じようなものになってしまったり、多分に単調になってしまうものだと思う。ちょっと前だけど、サローネを報じるイタリアの新聞にこんな記事が出てたのを思い出した。
 「これ以上新しいソファーをデザインするには、人間のお尻の形を変えでもしない限り、新しいものは出てこない
 新しい家具デザインは、機能を超越した所から生まれるような気がします。

 サントノーレをさらに歩いていくと、サントノーレで一番過激なショップ「ジョン・ガリアーノ」の店頭で、ガリアーノのニュースペーパー柄の椅子とオットマンを発見。
 この椅子は単なるショップの装飾用として置いてあるだけなのか? それとも販売されるのかは不明だけど、個人的にはちょっと欲しいと思った。
 FENDI が家具を発売したり、ドルチェ&ガッバーナとロン・アラッドとの関係なんかを見てると、これからアパレル業界からの本格的がインテリア・家具業界への参入があるのかもしれないと思った。

TITLE:「メゾン・ド・オブジェ」の落とし物

 本当に落とした物じゃなくて、今回の「メゾン・ド・オブジェ」の会場でちょっと気になった物たちです。
 木製のユーズド加工をした飛行機を発見

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 この木製の飛行機は本当に古い物ではなく、新しく制作したものを、ユーズト加工というか、ビンテージ加工というか、わざわざ古く見せる為の加工がされている。真新しい塗装をされた木製の飛行機ならあまり魅力もなく、見向きもしないけど、こうやって古く見せる加工をすることで、なんとも言えない美しさを感じる。欲しくなってくる。

 このブースには、色や、形を変えて、ビンテージ加工をした飛行機が並んでいた。古く見せるという商品は、前回の椅子でも紹介したよう、これ以外にも多くのブースで見られた。ビンテージ加工された商品というのは、去年あたりから「メゾン・ド・オブジェ」で少しずつ増えてきているような気がするし、そのビンテージ加工の技術も、僅か1年だけみても、かなり洗練されてきたような気がする。もともと、アンティークのリメイクの職人が多数いるユーロッパだから出来るのかもしれない。
 大量生産品の生産拠点が、先進国から発展途上国に移る過程で、一般的な工業生産品の価格が大幅に下がることで、ひと昔前は一部の人しか保有出来なかった製品が、誰もが持てる時代になってきました。これによって、工業製品の相対的な価値観というのは、この価格の下落に伴って薄れてきていると思います。端的に言えば「保有する喜び」もたらす物が一般的な工業製品では少なくなりつつあるのではないでしょうか。
 では、消費者は何に保有する「喜び」を見つける事が出来るのか、これがこれからのマーケッティングのキーワードではないとか思います。
 今回の「メゾン・ド・オブジェ」で取り上げたものは、今回のユーズド加工された商品であったり、製品そのものに計算されない偶然性を感じさせるものであったり、はたまたアートに近いものであったり、、大量に供給されている工業製品の対極にあるものではないでしょうか?
 これからの成熟した消費者は、こういった物に大きな興味を示してくるのではないかと思っています。

 前回も書いたけど、世界的な富裕層マーケットの増大を受けて、ガーデン・ファニチュアーだけの専用館が設けられていた。ガーデン・ファニチュアといっても、日本のDIYショップで見られるようなチープな商品ではなく、チーク材等の本格的な素材と、パトリシァ・ウルキォラのような本格的なデザイナーを起用しての、かなり高額な商品ばかりで驚いた。
 写真は、あるブースの天井から吊るされて風で揺れ動く銀色の魚の風船。まるで群れをなして泳ぐ魚群のようで、ディスプレーとして少し感銘を受けた。
 揺れ動くシャチ

TITLE:雑誌「Meuble」に「Meuble」の記事が、、ついでに私も、

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 インテリア・デザイン関係の雑誌で「Meuble」という雑誌がある。
 その雑誌「Meuble」に、当社の六本木「Meuble」の紹介記事が掲載されました。
 ちょっとややこしい・・
 でも、、かなり分かり易くまとめて頂いたと思います。
 104 ページ から 107 ページ の4ページです。

 六本木「Meuble」に行きたいけど、まだ行ってない方、、「Meuble」をもっと知りたい方、、「Meuble」には行ったのだけど、何の事やらよく分からなかったという方、、  
 必見です!

 ついでに私もカールトンとのツーショットで登場してます。
 ぜひ、お買い求めください。

TITLE:「メゾン・ド・オブジェ」と「デコ」

 「メゾン・ド・オブジェ」でも、デコの流れは顕著見られるようになってきたと思う。
 では、デコはいったいどこに行くのだろうということなのですが、デコはミニマルと違って単純ではなく、考えれば、考えるほど、いろんな可能性があり、なかなか先を読むのは難しいと思う。この事は、最近のファションの流れも見てもよく分かる。
 サローネのレポートの時にも書いたと思うのだけど、「量産されるものへの嫌悪感」みたいなものが底流にあるような気がするのです。つまり、いくら素晴らしいもの、美しいものであっても、それが大量にマーケットに溢れたとき、その価値を失ってしまうという考え方です。これを「デザインの大量消費に対してのアンチテーゼ」という言葉で呼んでもいいかもしれない。
 コルビジェは素晴らしいけど、これだけ市場に溢れるともういいか、、そんな感じかな・・・ちょっと極端な言い方なのでコルビジェ・ファンの皆さん「ごめんなさい」。 実は私もファンなのですが、、
 今回のメゾン・ド・オブジェでも、「量産」できないもの、手作り感とか、アート感とか、そんなものが多く展示されていました。

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 カラフルで不思議なテーブルと椅子。テーブルはカラフルだけというだけではなく、ガエターノ・ペッシェのように色の偶然性のようなものを感じる。恐らく、作る度に色や形は微妙に変わり、二つとして同じ物は出来ないそんな感じがする。

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 左はそのテーブルのアップ。

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 椅子の上に置かれた「Tokyo Kids」と名付けられた人形。Tokyoというくらいだから日本人の作品なのだろうか? 展示には作者名は掲示してなかった。

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 捨てられていた鉄板を使って作られたように見える椅子。川窪怜のゲリラ・ショップを思い出した。代官山の「Color by Numbers」というラブレス系のアパレル・ショップや、最近改装した南青山の「UnderCover」も使い古したビニール・コーティングした鉄のワイヤーが、錆びたままの状態で内装に使われている。うちの六本木の「TOYO KITCHEN Meuble」でも、ポテチーノの呼ばれる大理石の石ころを納めてるのは、わざと錆びさせたワイヤー・ケージ。
 使い古したものは、使い古したという感覚そのものが美しく感じる。そんな時代がやってきたのかも知れないと思う。これは、やはり「量産されたものへの嫌悪感」というのが底流にあると思う。

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 写真がうまく撮れてないので、良く見ないと分からないと思うけど、実はこの化粧皿は白いプラスチック製の人形を半分溶かすようにして成形されている。形の偶然性から考えても、どちらかというと、この皿はアートと呼ぶべきなのかもしれない。

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 ペット・ボトルのシャンデリア。使い古したペット・ポトルが豪華?なシャンデリアとして甦る。ちょっとしたジョークともとれる作品。でも、これも量産は出来ない。

 デコの方向性はいろいろあると思うので、「デザインの大量消費に対してのアンチテーゼ」というのは、単に方向性の一つに過ぎないと考えて欲しい。もっと多くの方向性や、可能性があるような気がします。

 何れにしても、単純なミニマルな時代は終わり、本格的な多様性のデコの時代を迎えるいま、我々インテリアに携わる人間としては、市場の均一性を前提として、横並びの製品を、単に流通を押さえる事だけで売っていく、そんな時代は終わり、もっと創造力溢れる製品作り出していかないと、多様化するユーザーのニーズには対応できなくなってくるような気がします。

TITLE:先週はヨーロッパでした

 先週はヨーロッパに出張で、nabe forum の方も暫くお休みしてました。
 取り敢えずはバリに入り、「メゾン・ド・オブジェ」を視察です。
 「メゾン・ド・オブジェ」はパリ郊外のシャルル・ドゴール空港の近くの展示会場で年二回開催されます。もともとは小物関係の展示がメインだったのですが、最近は小物中心ではありますが、インテリア関係の出展も少しずつ大きくなってきています。今年はエクステリア家具の展示が大きくなり、世界的に富裕層マーケットが拡大してきている(日本だけは例外らしい)背景を踏まえて、こういったエクステリア家具の需要も大きくなってきているのだろうと推測します。
 何れにしても、サローネとはまた違って、小物を通したインテリア感がベースになっていているので、私の商売とは少し離れますが、世界的なインテリアのトレンドを肌で感じる為の定点観測的な意味で毎年視察してます。
 例年は冬の「メゾン・ド・オブジェ」の視察で、実はこの時期は始めてなのです。気候的には真冬よりはかなりいいので、気持ちいいパリを体験出来ました。まさに「麗しのパリ」です。一ヶ月くらい住んでみたいと、、思ってしまったのです。

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 パリは本当に美しい街だ。市内のどこを写真で切り取っても絵になるし、どの風景もどこかで見た絵画を彷彿させてしまう、とても不思議で魅力的な街だ。

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 サントノーレ通り沿いの道から、住宅地域の中庭に入ると出現した、まさに突然に出現した、美しいアパルトメント。喧噪のサントノーレを一歩はいると、静寂があたり一面を包む。こんなところに住んでみたいと思ってしまう。住むという事に対しての感性が、日本人とかなり違うのではないかと感じさせる光景だと思いませんか?

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 サントノーレの外れにあるオフィス街の夜景。まさに、どこを切り取っても美しい街だと思う。

 パリに行くといつも思うのだけど、都市に住むという意味や感性が、日本の都市とは決定的に違うような気がして、羨ましく思ってしまう。

TITLE:デザイナーの感性

 随分と前の話だが、「エゴン・シーレ」「クリムト」の実物がどうしても見たくて、ヨーロッパ出張の合間にウィーンに行った。
 もっとも、花より団子の私は、本場の「ザッハー・トルテ」と「ウィンナー・シュニッツェル」を食べてみたいという気持ちもかなりあったけど、、
 生憎、エゴン・シーレは多く展示してある美術館が改装中で、他の美術館で数点しか見えなかったけど、クリムトはベルベデーレ宮殿の国立オーストリア美術館・・?だっけ、、そこにかなり展示してあって、クリムトは堪能した。

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 その時同行したのは、開発担当の役員で、彼はデザイナー出身、、じゃなくて、、いまもデザイナーでした。ともかく、うちのデザイン部門を統括する役員なので、彼とよくヨーロッパに出張して、同じものを見ることで、製品企画に関しての認識や、価値観、意識を、出来るだけ同じにしている。また、刺激があるものを見て、まだ興奮状態の時に現地でいろいろ意見を闘わせる。
 この会議を、社内では、「空港ラウンジ会議」とか、「ホテル・ロビー・スプマンテ・会議」とか呼んでいる。過去のTOYO KITCHENの新製品の企画の多くは、この類の会議がスタート時点であることが結構多い。
 ちょっと、話は横にそれたので、、、そうそう、 クリムトの話でしたね。

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 そのベルベデーレ宮殿の中で、特に特別の部屋に展示してあるのはご存知「接吻」、、宮殿には建物の四隅がタワーになってて、そのタワーの部屋が特別展示室になっている。美術館には珍しく窓が大きく取ってあり、光がサンサンと降り注いでいる。恐らく、何らかの紫外線を遮断する仕掛けがしてあるんだろうとは思うけど、光の中で見る「接吻」また美しさが違う。
 「これは凄いね・・」  って、、同行の役員のほうを見ると、彼は絵を見つめながら呆然と立ち尽くしていた。そして、驚くのは、彼の全身に鳥肌が立っていた。
 私の場合は「凄いね」という言葉で感動は表現するだけなんだけど、デザイナーの感性というのは、凄いものだとつくつ゜く思った。

 「ザッハー・トルテ」=ウィーン風チョコレート・ケーキ
 「ウィンナー・シュニッツェル」=ウィーン風子牛のカツレツ

TITLE:「トヨリアン」 って何?

 先日某所で「トヨリアン」という言葉を聞いた。
 「トヨリアン」??  何?って聞くと、、
 TOYO KITCHEN の熱烈なファンの総称として、そんな言葉があるそうだ。
 過去には、商品を見て「独断と偏見」と言われたら、「唯我独尊」なんて反論したりして、、、 「これじゃ売れないよ」って言われたら、「そぉーー」ってとぼけたりして、、、 でも、自分なりの価値観で商品創りをしようと決意して、30年近くになるのだけど、最近ではTOYO KITCHEN ファンが増えたというのは実感として感じるようになってきた。
 でも、名前まであるって聞いて、なんかとても嬉しい!