TITLE:サローネ2007(5) Patricia Urquiola/MOROSO編

 
 恐らく2007年度のサローネで最も目立ったのはPatricia Urquiolaではないかと思う。
 MOROSOはPatricia Urquiolaでほぼ半分は埋め尽くされていたし、他のメーカーからも彼女の作品は本当に沢山出品されていた。いまや、押しも、押されぬミラノ・デザイン界の大御所と言ってもいいかもしれない。

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 まずはお馴染みのAntibodi、、今回は青い花びらを持つ単色の寝椅子。他の彼女の作品がカラフルで華やかなものばかりだったので、特にこの「深い海のようなブルー」が印象に残っている。彼女の次の作品へのテストなのかもしれないと思って見ていた。

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MOROSOは、カラフルな具象モチーフを散りばめた和のテーストを取り入れたソファーと、丸い巨大なクッション・ソファー。どちらも先に紹介したMarcel Wandersのデザイン。日本では相変わらずモノトーンで直線的なソファーが多いが、こんなソファーが日本の住宅で一般的に使われる日は近いだろうか?取り敢えずは、まだ日本で全盛のミニマルな空間に、一つだけこういったカラフルなソファーを放り込んでみると、想像しただけで新鮮で、何やら楽しくなりませんか?空間構成としても、あとの空間がミニマルな無彩色を基調とした空間なら、そんなに難しくなく作り上げられると思う。

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 日本のだと思われるようなカラフルな布を貼ったラウンジ・チェアー。デザイナーはミラノ在住の富田一彦。美しくて、とても新鮮だった。日本の古民家の空間の中に放り込んでみたい。特に、ロッソジャポネーゼの横に置いてみるとどうなるのだろう??こういった意表を突く家具を見ていると、ミラノにいる事を忘れて、空間の妄想は限りなく広がっていくのです。

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 B&Bの市内のショールームの一番前のウィンドウ側に置いてあったソファー。勿論デザイナーはPatricia Urquiolaなんだけど、これにはちょっとびっくり。B&Bといえばチッテリオだというイメージなんだけど、これは一体どういうことなのか??チッテリオを探すと、ショールームの一番奥、ザハ・ハリドの奥に見つけました。展示してある作品は、新作なのだか、旧作の手直しなのか、良く分からなかったけど、いずれにしてもちょっと新鮮味は欠けてたし、見ている人は極少数だった。
 見てて面白かったのは、B&BのPatricia UrquiolaはMOROSOとは違って、やはりB&Bの臭いがプンプンするのです。やはり同じデザイナーを使っても、会社によってこれだけ違うのかという印象でした。

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 Patricia UrquiolaやMOROSO、、どうしてこんなにポピュラーになってきたのかという事を考えてみると、勿論デザインの美しさと新鮮さはあり、いいデザインであることは間違いないし、私自身も大好きなのだけど、それ以外に何かの理由がある筈だと、、サローネ期間中ずっと考えてた。帰りの飛行機の中で、突然に「こういうことじゃないか」と閃いた事がある。それは、ミニマルからDECOへの橋渡しの役目として彼女のデザインは一番自然なのではないとかいうことです。写真はトード・ボーンチェによるDOLL CHAIRです。

 時差ぼけの頭で考えたことなので、まあ、いい加減な話として聞き捨ててください。

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TITLE:サローネ2007(4) Marcel Wanders編

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 時代の寵児Marcel Wanders
 いま世界で一番旬で、熱いデザイナーMarcel Wanders
 デザインという想像力の琴線をダイレクトに刺激してくれるデザイナーMarcel Wanders
 2007年のサローネでも しっかりやってくれました。
 天才かもしれない。

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 お得意の巨大モチーフは健在。巨大なスタンド・ライト、大きさは一緒に写っている人間と比較して下さい。マルセルがプロデュースするMoooiではstudio JOBによる巨大なシャンデリア。小さいものを単純に巨大にするだけで、形としてバランスがとれるのかという疑問がありましたが、実物をよくよく見ると、ディテールでの工夫はかなりされている節が見られました。さすがMarcel Wanders、、ただものではない。

今回の作品の中でのハイライトはレースを樹脂で固めた家具

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中は空洞なので座ると壊れそうな気がするが、座ってみると意外と頑丈。でも、レースということで座りながら一抹の不安感を感じるのが、なんか自虐的に心地良い。しかし、こんな発想と、技術はどこから出てくるのだろう?

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 同じく、レースの四角いスツールと、巨大で装飾されたベルの前に置かれた「子犬」のモチーフ、これもレースを樹脂で固めてある。中は、勿論空洞で透過性がある。巨大な装飾されたベルは、他にも何台も展示されていた。もうこれはアートの世界なんだと思う。

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 ゴールド系の具象モチーフが施されている「チェスト」と「椅子」。ちょっと淡目のゴールドが上品さを感じさせる。
 具象モチーフや抽象モチーフのファブリックを貼ったソファーはこの他にもいろいろ展示されていた。形状も単純な定規で線を引いたようなデザインではなく、人間の手が確実に入った線を基調にしているのが、よりいっそう暖かみを感じさせる。日本の市場でも、無印的なシンプルだけど無機質で単調なソファーや家具ではなく、こういったより暖かい、人間味を感じさせる家具に変わっていくのだろうと思います。まさに「ミニマルの終焉」と「DECOの始まり」が日本でも急速に進むだろうと思います。
 余談ですが、チェストの前に座っている男性が着ているカラフルなシャツが、Marcel Wandersのブースに妙にマッチしている。個人的にもちょっと気に入りました。どこのシャツだろう?もう一つ、会場で会った「モダンリビング」の編集が着てたメンフィス柄のMIUMIUのシャツもとても良かった。男性のシャツも柄物のの時代が到来なんでしょうね。

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 コクーンと不思議で新鮮なモチーフを表面に施したオットマン。これからの家具は、これほどカラフルで躍動感のあるデザインになって行くのだろうか?美しいだけに、その可能性に付いて考え込んでしまいました。ここまでDECOが行くとしたら、DECOの可能性は無限に広がっていくと思います。

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 ゴールドのモザイク・タイルが表面に張られた展示車。勿論ダミーで走ることは出来ません。一昨年のサローネでベネツィアン・モザイクで装飾されたミニ・クーパーがトリエンナーレで展示されてましたが、こうやって見ていると、こんな車もありかな?と思ってしまいます。

 最後にサローネでのMarcel Wondersの個展をビデオでクリップしました。写真よりもより臨場感があるかと思います。

 最後にお願いです。
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TITLE:サローネ2007(3) YCAMI編

 今日はアルミ家具の名門YCAMI社から紹介します。ご存知とは思いますが、YCAMI社の製品は日本ではTOYO KITCHENが総代理店を務めています。

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 YCAMI社と、TOYO KITCHENとのつながりはもう17,18年近くになるでしょうか?本当に不思議な縁で始まりました。ある年に、サローネYCAMI社の家具を見て、一目で気に入ってしまいました。でも、当時はもう既に日本に扱っている業者があって、何度引き合いを出しても相手にして貰えなかったのです。でも諦めずに、イタリア国内でコネクションを探して、なんとか取引を開始したいとしつこく粘っていたのです。イタリアというのは面白い国で、個人のコネクションをとても大切にする国民性で、局面が打破できなくても、間に共通の友人、知人を立てることで、驚くほどスムーズに問題が解決する場合が多いのです。

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 この時、YCAMI社との間に立ってくれたのは、なんとBoffi社の海外マネジャーだったのは、今から思うと本当に不思議です。まだ、創業者のパウロ・ボッフィーが健在な時代の話です。その後、この海外マネジャーは新しく社長に赴任した現在のガバジ社長とそりが合わずBoffi社を離れることになるのですが、、この話はまた後日・・
 YCAMIとは、そんな経緯で取引が始まり、会長のジュセッペ・カイミと個人的な関係を築き、その後、日本での扱い業者はTOYO KITCHEN一社に限定してくれ、現在に至っているわけです。写真はYCAMIのブースでのジュセッペ会長と私です。以前にも書きましたが、ジュセッペ会長は有名なフェラリストで、現在も数台のフェラーリを所有してみえます。面白いのは彼の所有するフェラーリは全て「黒」だそうです。

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 今年のYCAMIの新製品のハイライトは、なんと言ってもORIGAMIと名づけられたアルミの造形的な椅子です。折り紙で折ったような形状と、橋梁を思わせるアルミの構造体で作り上げられた、一度見たら忘れられなくなるフォルムです。会社のエントランス・ホールに複数台置いたり、個人住宅の玄関や廊下にも置くだけで、そのままインテリアとして不思議な雰囲気をかもし出してくれます。勿論ですが、YCAMI社のイプシロンというダイニング・テーブルと合わせても面白いと思います。
 いずれにしても、美しい椅子です。

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 次に紹介するのはSKINです。アルミの表面をシャンパン・コールドに染め上げて、花柄の抽象柄をエッチングした美しい収納ユニットです。キッチン収納もキッチンの扉と同色のユニットを並べ立てるのではなく、こういった異素材の収納ユニットを組み合わせたほうがインテリアとして美しく、お洒落だと思いませんか?GRAND-BAY INOの収納として合わせてプレゼンテーションしていきたいと思ってます。クロームの扉と、シャンパンゴールドの扉の収納、美しいと思います。

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 写真はSKINの表面に施された模様のアップ。最近のインテリアのトレンドでもある具象モチーフが新しさを感じます。

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 丸いラウンジ・チェアーも発表されていました。座面が広くてとても座りやすい。形状も優しくてアイランド・キッチンの側に置いてソファー代わりに使っても面白いかと思います。秋の新製品のプレゼンテーションに使いたいと思ってますが、どうなるか、、、でもキッチンに栄えると思いませんか?

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 昨年発売されたカルロ・コロンボのソファーの新色です。造形的で、今までにないフォルムで、不思議なソファーです。組み合わせて使うとかなりの存在感があります。新色は少し光沢感があるベロアのような素材です。

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 YCAMI社ですが、実は一昨年からジュセッペ会長の一人娘のアデーレが社長に就任しました。スラリとした容姿のとても素敵な女性です。一児の母というのも、ちょっとカッコイイてすね。


 YCAMI社はアルミの家具ということで、イタリアでインテリアにもミニマルの波が押し寄せてくるちょっと前、ミニマルのトレンドが、トレンドとしての予感はあったにしろ、まだまだトレンドとして定着していない20年ほど前に生産を始めました。アルミとかガラスとか、暫くしてダークウッドである「ベンゲ」がインテリアの素材としてイタリアでトレンドになってくる中で、YCAMI社も企業規模を大きく拡大をしてきました。いわゆるミニマルのトレンドと伴に育ってきた会社なのですが、しかし、最近はDECOの流れを積極的に取り入れ始めています。アルミの表面も、従来のアルミの生地の色ではなく、シャンパンゴールドに染め上げたり、表面の模様も具象柄を取り入れ始めてきています。
 余談ですが、この当時「これからはアルミがインテリアの素材としてもっと多く使われてきますよ」と、インテリア関係者に話すと、殆どが半信半疑、また設計事務所の先生には「冷たい金属がインテリア空間に入るべきではない」と訳も分からず叱られたことがあります。別に怒らなくてもいいのに、と、当時は思ったけど、今から考えると懐かしい思い出です。

TITLE:サローネ2007(2) 総論編


 各論に入る前に、まず2007年度のサローネは全体としてはどうだったかという話から始めます。

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 今年は例年よりも参加者が多かったようだと書きましたが、主催者側の発表でも27万人にのぼり、昨年の22万5千人より20%も多い参加者だったようです。もっと驚くのは参加者の62%がイタリア以外からだということで、まさにサローネは世界最大のインテリア・家具・デザインイベントに成長したと言えます。






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 主催者側はこの発表を受けて、来年のサローネは会期をもう一日延長することを検討すると発表しています。会期の延長は参加者の分散を可能にするので、来年は今年よりもっと参加しやすくなるかもしれませんね。来年はキッチンの年なので、日本からの参加者も今まで以上に増えることと思います。
 参加企業についても、現在400社以上も待機リストがあり、その大半が外国からだということなので、恐らく来年はもっと多くの日本企業の参加があると推測します。日本からの参加企業の目的が「世界に向けての情報発信」ではなく、「日本市場への情報のフィード・バックによる企業イメージの向上」だとしたら、参加企業が増えることでマスコミの取材対象が分散するので、後者が目的の企業の意味が薄れるので結果的にはいいことではないとか思います。
 今年の日本企業の参加ブースを視察しても、プレゼンテーションそのものは有名建築家やデザイナーの起用で素晴らしいのですが、展示してある実際の製品やコンセプトがイタリアの現在のトレンドと見比べると、少し時代錯誤ではないかと思われるものがあり、どう贔屓目に見ても日本市場に向けてのイベントであるという感はぬぐえないものも多く見かけました。


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 それではサローネ全体の話に戻ります。
 今年のサローネの特徴は大きく分けて3つあります。
 1つは「ミニマルの終焉」とDECOの時代の本格的到来」です。4,5年前からこの傾向は徐々に出始めてはいるのですが、今年のサローネでこのトレンドが完全に定着した感を持ちました。象徴的なのは、あのチッテリオと切っても切れないとと思われていたB&Bがショールームの最前列に「パトリシア・ウルキオラ」、その後ろには「ザハ・ハディド」、そして最後列がなんと「チッテリオ」だったのにはちょっとびっくりしました。この話は、また後日します。

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 2つ目はイタリア家具業界の再編成の動きです。事前情報でも書きましたが、いまイタリアの家具業界は二つの大きなグループの動きが活発になってきていすま。「シャルメ・グループ」と「オペラ・グループ」です。イタリアの家具業界は中小企業が中心の時代から、巨大な資本をバックにした企業集団の時代に移りつつあるようです。今回のサローネではシャルメ・グループのカッペリーニとフィアットのコラボレーションが新しい時代の到来を予感させました。





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 最後、3つ目は「デザイナーのウィンブルドン化現象」です。つまりイタリアのデザイナーや建築家よりも、海外のデザイナーの活躍する場が大きくなってきています。日本からのデザイナーの活躍もそういった流れの一つと見る事ができます。逆にイタリア人の若いデザイナーで目に付くのは「カルロ・コロンボ」だけのような気がしています。世界中のデザイナーや建築家をミラノに集まり、デザインのレベルは大きく上がったが、逆にイタリア人のデザイナーの活躍する場が減ってきた、、まさに「ウィンブルドン化現象」ですね。
 そうそう、ファション業界とのコラボレーションも以前よりかなり増えてきたと思います。



 さてっと、次回はいよいよフィエラ会場からのレポートです。


TITLE:サローネ2007(1) 前日

 ミラノにはサローネの前々日に入った。
 もう何回目のサローネだろうと数えると、ミラノ事務所の所長にもう20回は来てますよと言われて、なんか感無量だった。最初の私のサローネの視察は25年前だった。では、ミラノは何回目だろうと聞くと、担当の専務が「私が今回で48回目なので、もっと多いはずですよ」と言われてちょっと数えてみると60回近くになったのには自分でも驚いた。

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 思い出してみるといろいろなサローネがあったが、トレンドの変わり目と、そのトレンドが定着する過程のサローネが一番面白い。今回のサローネはまさにそのトレンドが明確に定着してきたサローネだと誰もが感じたのだと思う。ミラノの新聞や雑誌でも「SALONE DECO」という言葉が頻繁に登場していた。そういう意味から、2007年のサローネは私にとって思い出に残るサローネの一つになりそうだ。



 前々日にミラノに着いたのだが、ミラノ市内は明後日からのサローネを控えて、もう盛り上がってきていた。サローネはMODAを抜いて、ミラノ最大のイベントになってきたらしい。最大のイベントという事は、ホテル代や航空運賃が高いという事に直接つながり、ユーロ高もあいまって、日本からの参加者もかなり出費がかさんだことと思う。でも、会場を見る限りは、今までのサローネで一番沢山の日本人を見たような気がする。
 市内のあちこちにはアーキテクトがデザインした牛が溢れていた。コルソ・コモにも4体の牛が装飾されて展示してあった。面白いイベントだなと思いながら見ていたら、同行した社員が「ベルリン」かどこかで同じようなイベントを見たことがあるそうだ。ベルリンの場合は「熊」だったそうだけど・・

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 しかし、牛と一口に言っても、装飾や色の使い方だけで、随分と変わった顔に見えてくるのはなんか楽しい。カリム・ラシッドの牛は、なんと半分にスライスしてあった。ここまでいくとちょっとグロテスクだけど、そこはカリム・ラシッドうまくまとめ上げている。
 この牛を後ろから眺めているイタリアのおばさんの服の色が、牛のカラーリングとまったく同じだったので、思わずシャッターを切ってしまった。偶然にしてはちょっと笑える!!

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 ドーモの前の「リナシェンテ・デパート」のウィンドウ・ディスプレーも全てサローネ仕様になっていた。世界の有名建築家の作品が競ってウィンドウに並ぶというのはいかにもサローネらしい。ウィンドウに写り込んでるのはドーモというのか、なんかミラノなんだという気がしませんか?
 日本からは「隈研吾」が選ばれていたが、残念ながらガラスに反射してうまく写真が撮れなかった。

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 さて、次回はフィエラ会場からのレポートです。
 ご期待下さい。

TITLE:ALESSIの旗艦店がSOHOにオープン

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 ニューヨークのSOHO地区に新しいALESSIの旗艦店がオープンした。

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 小さな写真しかないので、はっきりとは分からないが、現在のALESSIのショップのデザインからはかなり変わってきているようだ。ALESSIも従来のビジネスモデルを踏襲するだけでは限界が見えてきているので、複数ブランドの展開を始めたり、他のメーカーとのコラボレーションを始めたりしている。今回の新しい旗艦店はその戦略の一環だろうとは思う。従来のALLESIのショップより高級感を感じさせる。
 ALESSIは一昨年あたりから従来のワンブランドではなく、ブランドを3つに分けて、それぞれのブランド毎の商品、販売戦略を取ろうとしています。ワンブランドの時より、よりダイナミックで柔軟性がある戦略を展開できるということだと思うのですが、悪くすればブランドのイメージが散逸する恐れもあります。また、トヨタのレクサス戦略でみるように、ブランドを短期間に立ち上げようとすると、とんでもない投資が必要な場合もあり、理屈では合理的であっても、実践する場合の問題点は山積するというのが常識です。ALESSIも類似した商品、または同じビジネス・モデルを踏襲した会社がマーケットに数多く出現することで、市場での競争も以前とはかなり違ったものになってきています。多ブランド展開で、この状況を打破しようとしているのだと推測します。
 新たに展開してきているのは次の3ブランドです。

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 まず「Officina Alessi」です ALESSIの中でも一番上の価格帯に位置する商品で、タイトルも「Art and Poetry」のサブタイトルが付けられてるところから見て、マス・マーケットに向けた商品ではなく少量生産で、特定の狭いマーケットに向けた実験的な商品のようです。
 以下がHPからの抜粋です
 「The “Officina Alessi” collection includes our most sophisticated, experimental and innovative products,as well as our small-scale and limited productions.」

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 2つめのブランドは従来の「ALESSI」です。ある程度の大量生産をベースにしながら、品質とデザイン・レベルの高い商品ということなので、従来のブランドの踏襲ですね。サブタイトルには「夢工場」と付いています。
 以下がHPからの抜粋です

 「The “ALESSI” collection expresses the best industrial mass productions of our sector, both from the point of view of design and production quality. Discover the Alessi collection. Select」

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 最後は普及価格帯の商品で、「A di Alessi」というブランド名で展開して、卸先についてもある程度広範囲の供給を考えているようです。デパートやスーパーのコーナーで販売するという商品です。ステファノ・ジョバンノーニのコミカル・シリーズとか、以前ブログで紹介したカンパーナ兄弟の籠などもこのブランドに属するようです。
 以下がHPからの抜粋です
 「The “A di Alessi” trademark includes our most “democratic” and accessible products. Discover the collection… 」
 今回のニューヨークのソーホー地区の旗艦店は、このようなALESSIの戦略を踏まえてみると、この店がALESSIにとってどういう意味を持つのか自ずと推測できます?



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 ショップのデザインははhani rashid、エジプト生まれのカナダ育ちの建築家。確かkarim rashidのお兄さんか、弟だと思う。店内の什器はメンディーニがALESSIの為にデザインしたものらしい。





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 この旗艦店では中にカフェがあり、ウェスト・ビレッジの有名カフェ「Joe’s, the award winning」 のエスプレッソが飲めるとのこと。




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 右の写真はhani rashid

TITLE:サローネ事前情報(4)

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 サローネ開催までもう一週間を切lりました。サローネの情報は洪水のように溢れ始めているので、、今更私が語るまでもないと思います。今日はちょっと視点を変えて、展示内容やイベントについてではなく、ビジネスや、こういったサローネの開催を支えるイタリア社会の背景について書こうと思います。日本のマスコミがサローネをビジネスという視点で報道することは少ないので、インテリア・ビジネスに携わっている方には、ちょっと面白いかと思います。




 日本では、どうしてもサローネの興味の大半がデザインという側面のみで語られる事が多いのですが、実はサローネというのは壮大なビジネスの場なのです。イタリアでは「ビジネスのサローネ」「デザインのアビターレ・イル・テンポ」と言われてますが、余談ですが、日本では何故かこの「アビターレ・イル・テンポ」の知名度が極端に低いのは、日本のマスコミがサローネにだけ関心が向かっているせいなのでしょうね。

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 しかし、最近のサローネは単純に商談の場ではなく、世界中のデザイナーが実験的なプレゼンテーションする場となりつつあるので、どうしても日本からの参加者の殆どの興味が「デザイン」という部分にのみ集中しています。それも、サローネ全体を見るのではなく、世界的に有名なアーキテクトがどんなデザインの商品を発表するのか?もっと極端なケースでは、日本人のデザイナーの作品にのみ興味が集中するという笑えない話もあります。また、最近では日本の会社の出展が増えてきているので、日本の会社の会場だけを見て廻るという、もっと笑えないというより、不思議な参加者も増えてきています。ミラノ2泊組と言われる参加者ですね。

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 まず、話を始める前にサローネの規模について理解をして貰う必要があります。サローネに出展する会社は、会場内と会場外も含めて2000社から3000社の間だと言われています。イタリアの商工会議所の家具メーカーとして登録されている会社は3万社らしいので、サローネに出展するのはイタリアの家具メーカーのほんの一部だとも言えます。



 そのサローネに参加する2000社から3000社のメーカーが、この時期に一斉に新製品を発表する、実はこれがサローネなのです。一つのメーカーが発表する新製品は少ない会社では5種類ぐら、多い会社だと20種類以上の新製品を発表します。そうすると2000社かける、10種類の新製品という事になると、なんとサローネ期間中にはなんと最低でも2万種類以上の新製品が発表されるいうことになります。

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 一つの産業が同時期に2万種類の新製品を発表するという状況を、日本のどんな市場にあてはめて考えても、とんでもない事態だという事がすぐに理解をして貰えると思います。日本の会社が出展しても、日本人のデザイナーが新作を発表しても、サローネ全体としてみるとほんの一部の出来事で、イタリアで注目される事はとても難しいのが現実です。ただ、日本人デザイナーやアーキテクトの位置はかなり高くなってきているので、イタリアの有名メーカーがこぞって使い始めることで注目はかなり浴びるようにはなってきています。
 デザインという側面からだけでサローネを見るのも確かに楽しいし、面白いとは思うのですが、私のブログを読んだ方は、今回のサローネではその規模や、2万種類の新製品を生み出すイタリア人のパワーと情熱、それと、それを支える産業構造を実感して欲しいと思います。そして、振り返って、日本のインテリア産業やインテリア市場への疑問を持って戴ければ幸いです。

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 まず、サローネで発表される製品の多様性はどこからもたらされているのか?2万種類の新製品は当然ですが似たような製品はあるのですが、なんせ2万種類なのでその多様性といったら想像を絶します。では、この多様性を可能にする産業システムはどうなんたろう?また市場としてこの多様性を受け入れる事が出来るイタリアのマーケットとはどんな市場なんだろう?興味は尽きません!!写真はハンドメイドの臭いがプンプンするブリキの椅子。これもれっきとしたメーカーの商品
 このイタリア家具産業の多様性に興味を持たれた方は、「イタリア・デザインの秘密」も併せて読んで貰うと、より面白いかもしれません。


 振り返って、日本のインテリア市場はあまりにも似たような製品が氾濫し、多様な価値観を持つ製品が市場の中で殆ど見られないのはどういう理由なのか?それが、日本のユーザーが均一な趣向の中に埋没して、多様な価値観やデザインはもともと求めてないのか?それとも、日本のさまざまな規制や、日本の流通システムがそれを阻害しているのか? そして、これからの日本のインテリア産業や家具産業どうなるのだろう?現状のままの均一性の高いマーケットとしてこのまま継続していくのか?それとも、インテリア・家具マーケットの成熟度が上がるに連れて、イタリアのような多様性を受け入れるマーケットに変わっていくのだろうか?毎年サローネに行く度に、私はこんな疑問を繰り返し心の中で反芻してしまいます。



 次に、イタリアの家具産業の現状です。2006年度のイタリア家具産業の規模は6兆円だそうです。輸出は2兆円といいますから、生産量の三分の一は輸出と言う事になります。日本の家具産業の規模は知りませんが、恐らくイタリアの規模はとんでもない規模だと思います。前述の多様性を可能にするのはこの産業規模の大きさと言うことが出来るかもしれません。
  最近のイタリアの家具産業でもう一つ顕著なのは、投資グループによる家具とファション産業のグループ化、再編成と言ってもいいかもしれません。



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 写真はロン・アラッドとドルチェ&ガッパーナとのコラボレーション。会場はドルチェ&ガッバーナの専用ランナウェーイ。これもインテリアとファションが急速に近づいてきた事による新しいサローネの傾向の典型的なケースだと思います。




 大きな投資グループは二つあり、ひとつはフェラーリの社長 ルーカ・コルドーネ・ディ・モンテゼーモロや、Tod’sグループの 社長 ディエーゴ・デッラ・ヴィッラらが率いるシャルメCharmeグループがあります。「ポルトローナ・フラウ」、「カペリーニ」がこのグループになります。
 二つめの投資グループはオペラ・グループです。このグループのメインの企業は「ブルガリ」であり、このグループの中にはB&BMoooiが傘下にあります。Boffiがこのグループに入ったという噂を聞きましたが、単なる噂だけかもしれません。
 この投資グルーブ下で、インテリアとファションが産業として融合が進みつつあり、イタリアのインテリア産業もより大きな資本をベースにしたダイナミックな経営戦略を取り始めています。このことが最近のサローネの華やかさにも繋がっていると感じています。

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 このようにサローネをデザイン以外の視点で見ていくと、また違った意味でのサローネの感じ方や見方ができると思うのです。
 サローネの事前情報も4回目となりました。2007年度のサローネの事前情報については今回で最後にします。「参考になった」と思っていただけたら幸いです。次は帰国してから、また独断と偏見も交えながら、私なりのサローネのレポートをしようと思ってます。




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 最後に、もう一つのサローネの楽しみ方は、サローネ期間中は会場内、市内を歩いていると突然に有名なアーキテクトに遭遇します。インテリア好きとしては邪道ではありますが、芸能人に遭遇したテーンエイジャーのように単純にミーハー的に出会いを楽しむというのがあります。出会いがあったら、すかさずデジカメに収録してコレクションでもしてみましょう。
 写真は2006年のサローネ会場で見かけたカンパーナ兄弟。会場内にはさりげなく世界的に有名なアーキテクトやデザイナーが溢れているます。あるパーティーでシャンパンを飲みながらふと振り向いたらガェターノ・ペッシェがそこに立ってたことがある。ペッシェの大ファンとはもうそれだけで大感激でした。
 
それではサローネ会場の、「Ycami」のブースでお待ちしています。フィエラの12号館になります。

TITLE:アメリカインディアンのファション、、なんか凄い

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 今日はファションの話題です。
 ワシントンDCに「National Museum of the American Indian」という国立博物館がある。日本語では「アメリカ・インディアン国立博物館」という事になり、ネーティブ・アメリカンの歴史、伝統、文化を紹介する為の博物館だそうです。





 この博物館で来年の1月までの特別展示で「Identity by Design Tradition, Change, and Celebration in Native Women’s Dresses」というエキジビションが開催されている。ネィティブ・アメリカンの伝統的な女性の服が展示してある。

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 ネットをさ迷ってて偶然に見つけたのだが、その服の美しさに感動して、眠気もどこかに飛んでしまった。色使いといい、細工の精緻さといい、模様の美しさといい、しばし見とれてしまった。全てはブログ上では紹介できないので、ファションの好きな方だけではなく、インテリアの好きな方もぜひこの特別展示をWebで体感して下さい。ファションもますますデコラティブの方向にベクトルが向かう中、こインディアン・モチーフというのは一つの可能性かもしれない。




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 そう思ったとき、今期のGDCで熊谷隆志さんがインディアン・モチーフを使っていたのを思い出した。彼は、写真家であり(MacPowerの表紙の写真は彼の作品)、スタイリストであり、DJであり、GDCとVenturaというブランドのディレクターであり、最近はサーファーだそうだ。ともかく才能溢れる人材だ。
 以前にブログでも紹介したように、熊谷さんに頂いた今期のGDCの服が最近自宅に到着したので写真に撮ってみました。クッションとG-ジャンです。インディアン・モチーフがカワイイ!!

TITLE:携帯電話の世界市場においての日本のメーカーの位置


 先日のブログにこんなことを書きました
 携帯電話がDOCOMOの方式が世界で孤立したという事もあって、日本の携帯電話のメーカーが日本市場だけを相手にしているうちに、世界の携帯電話の市場は爆発的に拡大した事は良く知られてます。その結果、日本の携帯電話のメーカーは生産規模でnokia、Motorolaやsumsungに大きく引き離されて、世界の市場で競争できなくなってしまいまいました。
 これを具体的な数字で検証してみました。
 携帯電話の市場について詳しい方は誰でも知っている数字です。

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 まず、世界の携帯電話の販売台数ですが2006年度実績で約10億台だそうです。とんでもない数ですね。では、日本市場はというと4726万台で、世界の携帯電話市場の5%にも満たないのです。この狭い市場の中でDOCOMO方式に固守しているうちに、世界の携帯電話の市場は爆発的に増加し、日本のメーカーはこの需要の増大に対応出来ず、世界の携帯電話市場から取り残されてしまいました。

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 世界最大の携帯電話のメーカーはNokiaです。これは良く知られていますが、でもNokiaがどのくらいの携帯電話を一年間に販売しているかということは、私も含めてよく知られてはいません。
 Nokiaの年間販売台数は3億4750万台という驚くべき台数を販売しています。では日本のメーカーはどのくらいの規模かというと、最大のシャープの年間販売台数は928万台で、Nokiaの2.7%という事になる。
 世界第二位はMotorolaで2億1700万台、三位がSamsung 1億1800万台と続く。
 もう、これは大人と子供の世界になっていると言っても過言ではないと思う。
 どうしてこんな事になってしまったんだろう?世界市場が爆発的に成長してきたにもかかわらず、日本の携帯電話のメーカーはどうしてその成長に合わせた戦略を取れなかったのだろう?どこでボタンを掛け違えたのだろう?
これだけ生産規模が違うと日本の携帯電話のメーカーは二度と世界市場には進出できないという事になり、今後方式が世界的に統一される過程で、日本の携帯電話のメーカーは消滅するかもしれないという危惧も持ってます。

TITLE:世界のアパレル・チェーンは?

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 先日H&M について書いたときに、そういえば世界のアパレル・チェーンに関して、名前は知っていても実際の店舗数とか、企業規模について何も知らないことに気が付きました。



 それと、日本では最大規模ユニクロですが、世界の中での位置づけはどうなんだろう?という素朴な疑問もありました。
 で、、ちょっと調べてみました
           GAP     INDITEX(ZARA他)   LIMITED     H&M    
売上高    1兆8717億円   1兆2654億円    1兆2526億円  1兆1354億円
(前年比)    (99.5%)    (121.6%)    (110%)  (111.7%)
営業利益     1378億円    2093億円      1380億円    2539億円
(前年比)   (67.3%)    (124.0%)    (119.4%)   (116.1%)
<売上比>    <7.3%>    <16.5%>    <11.0%>    <22.4%>
期末店舗    3131店舗       3131店舗   3798店舗     1345店舗
        (102.6%)   (116.3%)     (105.8%)   (112.7%)
推定1店舗     5.9億円     5.5億円      3.9億円     10.2億円
あたり売上高

時価総額
    1兆6906億円  4兆3212億円    1兆2339億円  4兆8412億円  



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 売上規模としてはGAPが一番なのですが、成長率ではZARA、利益ではH&M という事になるようです。GAPは新聞等でも報道されているように、売上は減少して利益もかなり減らしているようですね。

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 では、ユニクロは世界ではどの辺りの位置づけになるのでしょうか?



売上高       4488億円、
(前年比)       (116.9%)
営業利益       703億円
(前年比)      (124.1%)
<売上比>     <15.7%>
期末店舗      1632店舗(ユニクロは703店舗)
推定1店舗
あたり売上高      3.5億円
時価総額      9589億円
 世界のトップ・チェーンと比較すると、売上で約三分の一、利益では最も利益が多いH&Mに比較すると四分の一強、時価総額でも四分の一という事になります。しかし時価総額4兆円を超えるって、日本だとどんな会社があるのか調べてみました。三菱商事が4兆5千億、KDDIが4兆4千億、デンソー、三井物産、東日本鉄道となると、何れも時価総額4兆円を切っている。これを見ても、これらの世界的アバレル・チェーンはとんでもない会社だということです。
 ユニクロも感覚的には巨大だというイメージはありましたが、世界とはこんなに差があるとは知りませんでした。ユニクロはこんなに圧倒的に規模の違う相手に世界市場でどう戦うのだろうと興味はつきません。 また、日本市場はGAPZARAの進出で変わったように、これからH&M の進出、Limitedの進出と続いた場合の変化はどうなんだろう?経営に携わる者としても、注目していきたいと思ってます。

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 写真は2008年に原宿に建設されるH&M 一号店です。
 やはり日本市場だけを相手にしている会社と、世界市場を相手にしている会社は、自ずと企業規模が違ってるということだと思います。例えば、携帯電話がDOCOMOの方式が世界で孤立したという事もあって、日本の携帯電話のメーカーが日本市場だけを相手にしているうちに、世界の携帯電話の市場は爆発的に拡大した事は良く知られてます。その結果、日本の携帯電話のメーカーは生産規模でNokia、MotorolaやSumsungに大きく引き離されて、世界の市場で競争できなくなってしまいまいました。
 家具の世界でも、IKEAの日本進出やら、サローネに行かれる方が恐らく実感されると思うのですが、その規模の大きさと多様性、、こういうのを目の当たりに見せられると、日本の市場でしか通用しない日本のキッチンや家具産業が今後どうなってしまうのだろうという危機感を持たざる得ないのです。

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 余談ですが、リミティッドというアパレル・チェーンについてはあまり知りませんでした。調べてみると面白い会社ですね。「Limited」という一つのブランドだけではなく、グラマラス系の「ビクトリア・シークレット」とか、ヤング・カジュアルの「エククスプレス」とか、スキンケア用品からフレグランスまでブランド化しているようでとても面白い。同じものを大量に販売するというイメージが大手のアパレルチェーンのイメージですが、これだけ大きな規模で、これだけのセグメント化を進めているとは、ちょっと驚きです

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