TITLE:POSITANOの街 (ポジターノ)

 明日からISOLAの新製品POSITANOの展示が東京・南青山、名古屋、大阪の各ショールームで始まるので、ぜひ見に来て頂けると嬉しい。ISOLAでの新しいイメージと、ISOLAならではの新しいキッチン・レイアウトの多様性を実感して下さい。
 今日は、その製品の話ではなく、POSITANOのメーミングの由来について話します。
 この製品にPOSITANOという名前をつけたのは、使用している横縞の木目がこPOSITANOの階層状に積み上がったような街のイメージを連想させたのが一つ、もう一つは、このPOSITANOの街は、今まで私が訪れた事がある世界の街の中でも、美しさという点でトップクラスで、最も印象に残っている街だったことで、、このPOSITANOという言葉を使って、今回の新製品のキッチンの美しさを直感的に表現したいと思いました。
 あまりにも美しく、かつ有名なPOSITANOですが、私の撮影した写真を見ながら、私なりにPOSITANOを紹介したいと思います。

 POSITANOは街の名前で、南イタリアのソレント半島の南側の中央部辺りに位置して、背後の険しい山に貼り付くように広がっている小さな街だ。海洋国家時代は、海からの交易で随分と栄えたと思われる痕跡がたくさん残っている。街は古いイタリアの建物が崖の斜面に密集して建っていて、ちょっと見ると家と、家との境が良く分からない。一つの家の二階部分は、もう他の家だったりする。

 道路は街の高台にあるだけなので、街に入るには路地のような路を延々と下らないと海岸まで行けない。路地は場所によっては、両側から店が迫ってるので、一人がやっと通れる程の路地だったりするので、歩きながらここは路なのか、それともどこかの家の中なのか、訳が分からなくなってくる。両側の店は延々と続き、ほとんどが服屋さんというはもいかにもイタリアらしい。

 ようやく下の海岸の砂浜に到着。街を背景に記念写真を撮影。崖に貼り付くように建っている街並がここからだと良く分かる。海外沿いは、全てレストラン。美しいアマルフィーの海を眺めながら、良く冷えたイタリアの若い白ワイン、、ビノ・ビアンコを片手に、ナポリ・ビザを摘む。気分はもうイタリアン・・・ 当たり前だけど。
 余談になるけど、モッツァレラ・チーズだけど、水牛のミルクて作られたモッツァレーラは柔らかくて最高だと思ってたら、このPOSITANOで食べるモッツァレラはやたら固い。ここまで来て、こんなモッツァレラはないよなと思って、少しがっかりした。でも少し食べていると、噛めば、噛む程味が出てくる、日本では経験した事がないモッツァレーラの味だった。ナポリ・ピザは皮だけではなく、モッツァレーラも違うんだと、その時はじめて気がついた。
 ちなみに、日本でも美味しいナポリ・ピザを食べさせる店は出来たが、このPOSITANOで食べたモッツァレーラ・チーズは味わった事がない。

 街の東側の突き出た半島には、有名なホテル「 San Pietro di Positano」(イル・サン・ピエトロ・ディ・ポジターノ)がある。5ツ星という言葉はこのホテルの為にあるのではと言われる程、豪華で食事も素晴しいという定評がある。私も泊まってみたかったのだが、生憎満室で宿泊出来なかった。次回行く事があったら、ぜひ泊まってみたいと思ってる。
 ホテルのキャッチコピーも素晴しい。
 「この世の極楽といえるホテルがもしどこかにあるのなら、
  ここイル・サンピエトロの小さな礼拝堂の下にあるのだろう。
    ポジターノの街を東に離れた岬全体が
    日常から完全に切り離されたこのホテルになっている。

 船で海から海岸線に沿って半島を見ると、海まで迫った断崖絶壁の光景が凄い。絶壁に巨大な穴が開いている。遠近感が一瞬なくなるほどの巨大な穴だ。穴の上には、なんと建物が普通に建っているのが可笑しい。あんなことろに建ってるくらいだから、ここは地震がないのかと思って聞くと、「地震はあるよ」という返事。良く考えたらヴェスヴィオ火山とポンベイの遺跡が近くにあるのだから、地震がない筈がない。誰も地震で穴が崩壊するという心配はしないのだろうか? 船の船長に聞くと、言ってる意味が良く分からないいようだ。まあ、ここはイタリアで、それも南イタリアだから、そんな心配はしなくてもいいのかもしれない、、、とか、、その頃は気分はもうイタリアンになってたから、私も質問した事も忘れてしまった。

 ソレント半島で最も美しいと言われるアマフィー海岸。POSITANOからバスで30分くらいのところにある。Amarfiの街に到着した時に、偶然にも雨雲が山にかかり始めたところだった。真っ黒の雨雲と、まだ光が残って、ちょうどスポットライトのように照らされているアマルフィーの街との光のコントラストが美しかった。

 POSITANOの名物は観光と、美味しい食事だが、絵付けタイルや陶器の産地でも有名。写真の素朴で美しい手書きのタイルは、ホテルのエントランス・ロビーの床に敷き詰めてあった。
 もう一枚の写真は、豚の陶器の置き物。緑の豚というのは珍しいっていうか、初めて見た。「豚」「緑」って、、あんまり結びつかないけど、なんかいい感じかもしれない。次の新製品は「グリーン系」かなって思ったりしました。

 ソレント半島のアマルフィー海岸の街POSITANO、日本からのツアーもかなり出ているようなので。ぜひ機会があったらお出かけ下さい。新婚旅行には勿論最適、少しお金に余裕ができた「熟年旅行」には、ぜひPOSITANOの五つ星ホテル「San Pietro di Positano」のスィート・ルームでゆっくりと流れる時間と、食を楽しみたいものです。

 最後に、この美しい街POSTANOをイメージしてデザインされたISOLAの新製品。明日から、東京、名古屋、大阪で展示が始まります。
 ぜひ、ご覧頂いて、このキッチンの美しさを堪能して下さい。

TITLE:キャロル・クリスチャン・ポエルのブーツ

 以前から欲しかったキャロル・クリスチャン・ポエルのブーツを手に入れた。
 キャロル・クリスチャン・ポエルって、、不思議なというか、アートに近いような服を作り上げる,デザイナーであり,職人。ハラコのパッチを縫い合わせたブルゾンを見た事があるが、パッチの合わせ目を透明な樹脂で、その樹脂が光を透過させて、ブルゾンを着て光を後ろから当てると、微妙な光がブルゾンから垣間見えてきて、不思議な雰囲気を醸し出すとか。ホース・レザーのパンツで、固いホース・レザーなのというせいもあるけど、履かない状態でそのまま立体で立っているパンツとか。でも着てみるとこれが凄い奇麗なフォルム。リバーシブルのパンツとか、本当にボタンも含めて全てリバーシブルになるという緻密な縫製。ボタンがないのに、ボタンで留めるシャツとか、、ともかく、縫製の魔術師と言っても過言ではないと思う。
 最近ではショーは一切やらないらしいけど、以前映像で見た彼のショーは市内の川に寝転がって浮かび流れてくるモデルを、橋の上から見るというもの。服は全て濡れた状態なので、画像を見てもどんな服なのかよく分からないけど、ともかくなんか凄そう、、そんな感じですね。
 彼のブーツを昔から欲しいと思ってたのだけど、なんせ制作数が少ないので、マニアがすぐに押さえてしまって、サイズもあり、なかなか購入出来なかった。
 今回購入したモデルは、キャロルのブーツとしては、一番定番のデザインなのだけど、なんと世界で44足しか作らない。私が購入したのは、その22番目のブーツ。

 皮はホースレザーで、ソールはカーフらしい。
 全体から見るフォルムは、職人が一足、一足丁寧に作られたもので、量産されているブーツとはまるで雰囲気が違う。

 ブーツの先端は少し細身で、そり上がっている。これは、カルペディームのような手作りブーツの特徴だが、最近このそり上がりを真似した量産ブーツも出始めているが、実物を見ると完全に別物だ。

 丁重に削り出されたヒール部分。
 ヒールだけでも美しい。職人がヤスリで削り上げるらしい。
 このブーツ、なんと洗えると説明書に書いてある。もともと、洗ってあるものらしく、汚れたら洗ってくれと書いてある。

 ブーツの裏側。釘が一本ずつ打ち込んであるのがよく分かる。
 ファションも、単にデザインだけではなく、こういった職人の匂いのする靴や、服という世界もある。男の服や,ブーツは女性ものと違って、一つ一つが大きくデザインが変わる訳でないので、どうしてもこういったティテールに拘る部分が出てくる。
 でも、また、それが面白い。

TITLE:恒例のBeaujolais Party 2007

 今年も恒例になったボジョレー・ヌーボの解禁パーティーを開催しました。
 お客様は勿論の事、TOYO KITCHEN を運営する上で日頃お世話になっている業者の方々、そして社員も一緒になって楽しもうというイベントです。お客様だけ飲んで楽しむのではなく、社員も一緒になって、ともに楽しもうという趣旨の、極めて「ラフで気楽な」イベントです。

 パーティー・オープン前のエントランスの飾り付けです。
 普段のショールームと違って、かなりいい雰囲気ですよね。

 去年は2樽用意して、完全に足らなかったので、今年は倍の4樽用意しました。
 果たして、飲み切ることが出来るか?
 今年のパーティー参加者の予想は200名で、去年よりは少し増えるという予想はしてますが、なんせ4樽ですから、、

 今年はDJも用意しました。
 DJブースはイタリアの家具メーカーYcami社製。Ycaimiの前社長の趣味がDJで、趣味が高じて製品としてDJブースまで作ってしまったという、まさにイタリアのメーカーならではの遊び心。しかし、DJが趣味の社長って、日本では考えられない。この社長、愛車はポルシェのGT3、乗せて貰ったら、やたらにゆっくり走るので不思議に思って聞いたら、この社長「こういう速い車をゆっくり転がすのが粋なんだ」そうだ。

 パーティーが始まりました。
 樽の廻りにはお客様が集中。用意したグラスはもうすぐ発売予定の割れないポリカーボネート製のシャンパングラス。このグラス、透明度が高いので、ちょっと見はガラスと間違えてい舞うという優れもの。ムーブルのパーティーから使い始めているので、見られた方は多いと思います。で、、好評につき、販売する事にしました。

 工場のある岐阜県関市の市長と市会議長もお祝いに駆けつけてくれました。余談ですが、市会議長は元社員なのです。市長は先日当選したばかりのホヤホヤ市長です。駆けつけて貰えて嬉しかったです。

 ショールーム中がパーティー会場。
 おもいおもいのスタイルで楽しんで頂けましたでしょうか?

 最期の写真は裏方でお客様にハンバーカーを焼く係の社員。昨年は私が焼いたので、その苦労は良く分かります。
 本当にお疲れさまでした。

TITLE:熊谷隆志さんの家に行ってきました

 雑誌ミセスの今月号で取り上げられている、スタイリストで写真家でGDCブランドの服のディレクターでもある熊谷隆志さんの自宅を訪問してきました。家の詳しい内容や写真やTOYO KITCHENが熊谷さんと一緒になって作り上げたキッチンについては、この雑誌を参照して下さい。
 今日は、この雑誌で取り上げられてない部分で、私が気になったもの、感銘を受けたもの、そんなところを書いてみます。

 表札はなく、玄関の扉の横が漆喰で仕上げられていて、「KUMAGAI」という文字が漆喰の白と同色で浮き彫りになっていて、なかなかいい感じだ。

 中に案内されて、リビング・キッチンに入ると、窓からは素晴らし展望。以前のnabe forumでも書いたように、人工の建造物が何も視界に入らない。柵の向こうは断崖絶壁。早速庭に出て記念撮影をパチリ。熊谷さんの腕組みポーズが気に入って、最近の雑誌の取材の写真は基本的にこの腕組みポーズで撮影してもらうことにしている。
 この写真で私が着ているジャケットとシャツははGDCの兄貴ブランドVETURA。ディレクションは勿論熊谷隆志

 庭の柵の向こうの断崖絶壁から生えている一本の木に、まるで熊谷さんが飼ってるように、一匹の鷹がいつも羽根を休めている。この日も、その木に留まっている鷹を発見、柵の近くまで近づいても逃げない。なんか、一幅の絵を見てるようで、鷹と空と遠くに広がる山並みを見てると飽きない。すばらし借景だ。

 庭の左端の絶壁からは、何やら黄色い柑橘系の果実が実を結んでいる。これも、もともと自生していたものだそうで、食べるとあまり美味しくないそうだけど、緑一色の景観の中の黄色は一種の点景のようにも見える。

 庭からもう一段降りる階段があって、そこを降りると、絶壁にへばりつくような空間があり、一つがオープンエアーの小さな部屋があり、そこに気持ち良さそうなソファーが置いてある。

 暖かい日には、そこが熊谷さんの昼寝の場所らしいが、普段は愛犬に占領されているとか、、、 さすが、犬は心地いい場所を本能的に感知するらしい。

 以前にもこのブログで書いたように、この家を作るにあたって、熊谷さんがした事は、まず家具選びから始まったそうだ。その家具選びも世界中を飛び回る彼が、その合間の時間を使って買い付けたものなので、私も殆ど見た事がないような家具やライト、それと、さりげなく置かれているアート作品が素晴らしい。
 サーフ・ボードの部屋で見つけた空色に塗装されていたビンテージ家具。ベルギーで見つけたものらしい。少し剥げかけた塗装が家具に味を付けている。欲しいと思った。こういった、使い古した味のある家具が、最近特に気になっている。先日も、ビンテージのジョイ・コロンボのソファーを購入して,現在ミュージアムに展示してあるが、足はの塗装は剥げかけていて、それがまたなんかいい。

 使われている照明も可愛い。
 写真は階段廻りに使われているペンダント・ライト。手作り風の手吹きの色ガラスが爽やか。デザインにちょっとエスニックな味がある。どこのものかは聞き忘れたが、中近東の香りがする。

 ゲスト・ルームに吊るされたシャンデリアのペンダント・ライト。この照明もエスニックな香りがする。

 アート作品も、なにげに無造作に置いてある。かなり有名になった作品もあったけど、熊谷さんが購入したのはかなり昔なので、購入価格を聞くとちょっとびっくりするほど安い。さすが、時代の先端を突っ走ってる人だけのことはある。
 常識に捕われない、美に対しての貪欲な感性が彼の真骨頂のような気がする。

 日本の現代の住宅では、配線は何でも隠してしまうのだけど、熊谷さんの家では、場所によって配線が剥き出しになっている部分がある。写真はインドネシアから取り寄せた、金属製の配線カバー。ロフト風のスパイスが空間に効いているようで、かなり面白いと思った。しかし、こんなものがインドネシアにあるということを知ってる彼には驚く。

 この住宅は熊谷さんを知る人から見ると、どこをとっても「熊谷隆志」の匂いがする。よく住宅雑誌に掲載されている「施主の顔が見えない住宅」ではなく、こんな住む人の個性や人間性を映し出せる住宅がもっと日本でも増えてくるとしたら、日本の住環境も随分と変わるのだろうと思う。

TITLE:常識を否定することからの創造性

 ちょっと大層なタイトルをつけてしまったが、そんな大層な話ではない。
 ヨタ話として読んで下さい。
 一般的な常識とか、概念を否定することから新しいものが生み出される。
 、、、 という考えもある。
 イタリアの新聞の記事で「もうこれ以上新しい椅子やソファーの形を考えるには、人間のお尻の形を変えないといけない」、、そんなことが書いてあったのを思い出した。つまり、お尻の形に拘り、「座り心地がいい」というのがデザインの全てだとしたら、新しい椅子のデザインはなかなか生まれてこない。 そんな意味だと思う。
 まあ、これには賛否両論があるとは思うが、一面の心理ではあるという気がする。

 例はちょっと違うかもしれないけど、先日面白い靴を見つけた。
 エナメルの登山靴だ。
 登山靴にエナメル、、、意味がよく分からないと思うのが一般的な常識。そもそもハードな使用状況のなかにこそ意味がある登山靴に、繊細で傷つき易いエナメル加工をした瞬間に、登山靴としての機能はなくなる。
 でも、、発想が面白いし、なかなかカッコいいとも思う。
 同じメーカーから白の登山靴も発売されていた。
 これもかなり不思議。

TITLE:マンションもいよいよデコの時代?

 今年のサローネを見ても、また、今年のデザイナーズ・ウィークを見ても、世界のインテリアデザインは今までのミニマル・デザインから大きく舵を切って、DECO の時代に入って来ています。5年ほど前からその予兆があったイタリアでは、今では、今さらDECOという言葉自体を使うのがおこがましいほど、その傾向は完全に定着しています。単なるDECOではなく、「どんなDECOなのか?」というテーマでもかなり長時間の議論が出来そうです。
 しかしながら、日本のインテリアの現状はいまだ「ミニマル」の世界にどっぷり浸かっていて、大半がDECOの流れさえ理解出来ない専門家が多いのが現状です。しかし、日本でもDECOの足音は着実に近づいてきています。都市部のマンションの多くが、モデル・ルームのキッチンにインスタレーションとしてシャンデリアを吊るのは、もう珍しくも何ともなくなってきています。しかし、部屋全体としてDECOをイメージしたプレゼンテーションはまだ見た事がありません。
 東京の有明地区。 「ゆりかもめ」の延長や、銀座からの一直線の道路も完備して、一種の都市型リゾート地区として注目を集めて来いる地区なのはご存知の通り。

mare%20ariake-1.jpg

 その有明地区に東京建物が建設中の大型マンション「マーレ有明」の高層階の特別室42室にTOYO KITCHEN STYLEISOLAが採用されました。有明という地区も興味があったのですが、それよりも東京建物の担当者が、「モデル・ルームのイメージをDECOを採用しました」という言葉が印象に残ったので、担当の方に特別にお願いして視察をさせて貰いました。

mare%20ariake-2.jpg

 モデル・ルームは隣接する20階立てのビルの最上階、ビルインのモデルルームは見た事があるが、高層ビルの最上階というのは始めてだ。マンション完成時の景観を実際に実感して貰おうという意図だということだ。確かに、東京湾を挟んで見る、東京都心の展望は素晴らしい。夜はもっと奇麗という説明を受けて、思わず夜にもう一度来てみようかと思ってしまった。

mare%20ariake-9.jpg

 モデル・ルームの玄関を入ると、いきなりジョガーリがモザイク・タイルの壁にかかっている。ホワイト・ゼブラの建具を通して、ISOLAとジョガーリのシャンデリアが見える。なかなかいい感じだ。

mare%20ariake-3.jpg

 玄関から部屋に入ると、そこはリビング・ダイニングそしてキッチンを一つの空間として捕らえた美しいスペース。数年前から「リビング・レス」というコンセプトで空間のワンルーム化を提案して来たせいもあって、実際にメジャーなマンションにこのコンセプトが採用されているのを見ると、ちょっと感無量。
 空間全体のイメージは確実にDECO、ジョガーリ・シャンデリアも多用されていたり、使用してある家具や什器も品のいいDECOでまとめられていて、とても気持ちがいい。最近、ミニマルな空間に身を置くと、なんか一昔前のデザインを見せつけられているようで、居心地が悪いが、この空間は気持ちがいい。
 少しレトロに仕上げたISOLAのデザインにも奇麗に合っている。

mare%20ariake-7.jpg
mare%20ariake-6.jpg

 寝室と、バニティーから見たバス・ルーム。窓から夜景が一望に見える設計らしい。東京の夜景を全部自分のものにして、湯につかって1日の疲れを癒す、、かなり魅力的。寝室は落ち着いた感じに仕上がっているのと、バニティーの鏡がかなり気に入った。

 「マーレ有明」では、マンションのモデル・ルームでは始めて本格的なDECOをベースにしたプレゼンテーションを見せて貰った。これが一つの成功例になれば、マンションやビルダーのインテリアも雪崩を打ったようにDECOに振れるのではないかという予感がした。

mare%20ariake-5.jpg

 ここで、もう一つ驚いたのは、建具にゼブラ柄、それもホワイトのゼブラが使われてしたいということだ。私はかなり好きなのだが、一般的にはどうなんだろうと思って、案内してくれた女性に聞くと、高層階での建具セレクションはかなり高い確率でホワイト・ゼブラを選択されるとのことだ。これには、ちょっと驚いた。
 ともかく、マーレ有明はいろんな意味で面白かった。
 気がついたら3時間近く滞在してしまった。

追伸
 安藤忠雄をスターにした雑誌「CasaBrutus」、、その雑誌が、今月号の特集は「アンティーク家具」、、脱ミニマルの予兆は少し前から感じられてたけど、、
 そうかぁぁ、カーサがアンティークかぁぁ
 この雑誌は影響力が大きいから、DECOの時代の到来は思ったより早くなるかもしれない、、そう思った。

TITLE:熊谷隆志の家と、雑誌「ミセス」と、新PUTTON

 写真家であり、スタイリストであり、インテリアや店舗デザインも手掛けたり、また、自分のファションブランド GDC でも有名な熊谷隆志さんが自宅を葉山に新築した。彼からキッチンの相談があったので、一緒になって、熊谷流の新しいキッチンを作ってみようということになった。
 自宅が完成して、その関連記事が今月号の「ミセス」の P344 〜 P349 に特集されたので、ぜひ見て欲しい。
 場所は葉山、どうして葉山かというと、彼の趣味はサーフィン、生活とサーフィンが一つになった暮らしが欲しくて場所は選択したという話だ。

kumagay-mises-2.jpg

 「ミセス」が撮影した写真を見ると、家の庭から見える光景は素晴らしい。人工的な建造物は一つも見えない。見渡す限りの「空」と「緑」が広がっている。外観は極めてシンプルで美しい。建築家は仙台のファション関係の店舗を多く設計している「さくま ひろひさ氏」外観を見てると、何か懐かしさみたいなもの感じてしまうのは、ちょっと不思議かな。

kumagaya-mises-1.jpg

 熊谷氏が選んだキッチンはPUTTON、そのPUTTONを置く為の台は全て熊谷氏のデザイン。アンダルシア産のタイルと、漆喰の組み合わせのデザインは、プロダクト・デザイナーからは決して出てこないイメージだと思う。漆喰を使ってるので、工場生産は不可能で、全て現地で職人さんが造作で作り上げる。まさに、熊谷氏だけの、熊谷氏の為のキッチンと呼んでもいいと思う。
 熊谷邸は勿論非公開なので、誰にもこのキッチンを見て頂く事は出来ないが、今月の15日に名古屋に計画中の「TOYO KITCHEN MUSIUM」が仮オープンするので、ここで見て頂く事が出来る。手前味噌ではなく、このキッチンは、キッチンに携わっている方は必見だと思う。
 そうそう、この「TOYO KITCHEN MUSIUM」は11月15日の恒例のボジョレー・パーティーの折に仮オープンで公開されるが、本格オープンは来年の3月以降なので、それまでは見て頂く事は出来ない。ても、もし、担当の営業に頼めば、工事をしてない日だったら、ひょっとすると見せて貰えるかもしれない、、、と、、 社長が言ったという事は内緒です。

kumagay-mises-3.jpg

 この家には隠し部屋がある。イメージとしてはル・コルビジェが最期を過ごしたカップ・マルタンの小屋をイメージしたものらしい。まさに、熊谷隆志のプライベート・スペースなのだと思う。
 この葉山の自宅を新築するに当たって、熊谷氏がまず行ったのは家具選びだそうだ。建築を始める二年前から家具選びを始めたそうで、家具選びが終わった時点から建築が始まったそうだ。置いてある家具の一つ一つに恐らく熊谷氏の思いが込められているのだと思う。それだからこそ、出来上がった家は彼の持つ住宅に対するイメージが強烈に伝わってくる。

 日本の住宅は「施主の顔が良く見えない」と言われます。家具選び一つとっても、建築家の言われるがままであったり、新築をする段になって、突然に家具屋さんに足を運び出したり。最悪のケースだとどこかの家具の量販チェーンの商談会の場で決めたりする。これからの日本の家造りを考える時、もっとそこに置く家具や照明も含めて、施主が自分の意志で選択して、自らが家づくに積極的に参加していくようになってくるとしたら、日本の家も随分と変わってくるのではないかと期待したりしています。

TITLE:「ELLE DECO」デザイン・アワードを受賞しました

 2007年度「ELL DECO INTERNATIONAL DESIGN AWARD」の日本ノミネートのキッチン・キッチン用品部門を「INO Meuble Crystal」が受賞しました。ノミネートされた商品、デザイナーは来年のミラノ・サローネで世界24ヶ国の「ELLE DECO」が集まり最終審査で世界のデザイン・アワードが決定されます。今年のサローネで発表されたデザイナー・ヤブ・イャーでは日本人の深沢直人氏が受賞した事は記憶に新しいと思います。

 そのノミネートの授賞式が東京であったので、出席してきました。
 今年のデザイナー・オブ・イャーはリヤドロの若きデザイン・ディレクター、ハイメ・アヨン、ヤング・デザイナー部門では nendo ノミネートされていました。

 写真は授賞式でスピーチをしている私。横にいるのはエルデコ Japanの木田編集長

 今年のデザイナー・オブ・ザ・イャーハイメ・アヨンと、昨年に同賞を受賞して世界で選ばれた深沢直人。これだけ世界的に有名なデザイナーと同じステージに立っているのが、なんかとても不思議でした。また、こんな素晴しい賞に選んで頂いた「ELLE DECO JAPAN」に感謝すると同時に、とても光栄でした。
 ハイメ・アヨンですが、今年のサローネでもタイル・メーカーの「BISZZA」のプレゼンテーションが印象的だったのと、ディレクターをしている老舗「リヤドロ」が大きくイメージを変えたようで、、実は今年の冬の「メゾン・ド・オブジェ」で見たリヤドロのドールが凄かった。この時は、ディレクターが変わった事をしらなくて、単純に陶器のドールを見て驚いた記憶がある。
 深沢直人は今年もベッド・家具部門でB&Bから発売されてるベッド SIENA で受賞してました。

 現代の日本人デザイナーで私が一番好きな吉岡徳仁もチェア部門でPANNA CHAIRで受賞してました。彼はなんか従来のデザイナーとは発想の原点が違うような気がする。彼のデザインはイメージした形状を具象化する為にデザインしているのではなく、彼の持つイメージを形状にこだわる事なく変幻自在に表現しているような気がする。
 このPANNA CHAIR も形状の偶然性のうようなものを感じるし、昨年のサローネでのトヨタのプレゼンテーションでも、突然に彼のイメージの中に迷い込んでしまったような錯覚に陥って、見慣れたトヨタ車かまるで違って見えた。

授賞式が終わって、同席してくれた社員と乾杯をしようということになって、南青山のワイン・バーに繰り出し。華やかなシーラ種の名品「エルミタージュ」を開けた。ワインそのものも美味しかったけど、受賞の感激がワインの味を更にシェープ・アップしてくれたような気がする。
 乾杯