TITLE:2016年度ユーロクッチーナを視察して・その2

デザイン編です

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 イタリア・キッチンは一時は人工大理石と塗装扉の全盛の時代がありましたが、Boffiのノベルトワンゲンの登場や、STRATOの衝撃的な登場で、ステンレス素材を軸としたデザインが一つのトレンドになり、 多くのキッチン・メーカーがFRANKEのステンレストップを使ったキッチンを発表していました。そして、ステンレスが全盛の時代の次に来たのが石材を多用したキッチンです。その先鞭を付けたのがMInotti Cucina で、なんとトップも扉もシンクまで同じ石で仕上げるという徹底ぶりで、私自身初めて見たときは衝撃でした。多くのイタリアのキッチン・メーカーも私と同じように衝撃を受けたようで、今年はその石材を多用したデザインのキッチンがかなり増えてきて、これが明らかに一つのトレンドになってきています。(Minotti Cucina は家具のMInottiとはまるで違う会社なのでお間違えないように。)

 もう一つの傾向はBoffiが始めたキッチンの巨大化の流れで、何年か前のユーロクッチーナでBoffiが郊外の工場を借りて行った巨大キッチンのプレゼンテーションは衝撃的でした。この衝撃はドイツキッチンにも波及し、それまではどちらかと言うとコンパクトなキッチンが主体であったブルトハウプも翌年、同じく郊外の工場跡を借りて巨大なキッチンのプレゼンテーションを行ったのが記憶に残っています。余談ですが、この時にブルトハウプが発表したキッチンの壁面システムはすごいと思ったのですが、何故か発売にはなりませんでした。このキッチンの巨大化の流れは今では世界のキッチンの潮流として定着し、昨年からBoffiは自社のショールームで全長7000mmという超巨大なキッチンの展示も始めています。

 欧米の巨大なキッチンはキッチン単体で巨大になっていますが、TOYO KITCHEN STYLEではその流れをそのままトレンドとして日本に持ってくるのではなく、キッチンとダイニングを一体化とすることで結果としてキッチンを巨大化(MEGA化)する提案をしてきました。そうすることで、キッチンとダイニングを切り離す空間提案よりも、かえってコンパクトな空間を提案する事が可能になりました。

 何れにしても、キッチンの巨大化の流れは、世界的な食を中心としたライフスタイルの流れと呼応していて、暫くはこのトレンドは続くと考えています。

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TITLE:2016年度ユーロクッチーナを視察して

ミラノで開催されたユーロクッチーナを視察しての感想です。

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まずは機能篇

昔の欧米のキッチンのシンクは小さくて、レンジフードも換気というよりも脱臭という感じのものが多かったのですが、ここ何年かは欧米のキッチンのシンクも徐々に大きくなってきました。その先鞭をつけたのがBoffiでしたが、今では大きさの差はあってもどのメーカも以前とは較べものにならない程の大きなシンクが標準になってきました。シンクが大きくなるにしたがって、シンク上にプレートを置き、シンクそのものの機能化を図り出したというのが今年のユーロックッチーナの大きな特徴でした。これは明らかに日本のキッチンの影響で、そういえばうちの東京ショールームへ視察に来るヨーロッパのキッチン関係者が目茶苦茶増えてきてます。
 シンクが大型になるにつれて、レンジフードも大型化が進み、レンジフードのデザインの多様性は目をみはるものがあります。羨ましいのは、日本のレジフードは消防法の縛りがきつく、どうしても使用する素材の種類が限られてしまい、結果としてデザインの多様性を阻害しているということです。


L1003565.jpg ちょっと気になる傾向は、機能の中でメカや電動を使った、悪く言うとギミックを使ったメーカーが増えてきているということです。一昔前、ドイツキッチンが壁にぶち当たった時、ケッセベイマーの部品を軸としたこういったギミックを使う傾向があった事を思い出しました。その後、ドイツキッチンの多くは世界の潮流から取り残され、イタリアキッチンの勃興が始まったのです。今、イタリアキッチンが明らかに壁にぶつかっている時に起きているこの現象は、イタリアキッチンの先行きに不安を感じさせるのは私だけでしょうか?