TITLE:デコはどこまで進んできたのか? ここまで来ちゃてるの編

 デコもこんなところまで来ちゃってるんだ、、そういう例をメゾン・ド・オブジェで見てみましょう。勿論インスタレーションとしての展示で、販売を意識してないものもあるのですが、私が見ても極端だなぁて思ってしまったのをいくつか紹介します。

 カラフルに彩色されたバイク。メルシーで展示されていた自転車とは対極ですね。バイクの後ろにあるインスタレーションはビンテージのカラフルなファブリックで独創的な造形をする事で有名な「フレッドリック・モレル」。鹿のフィギュアーが有名ですね。ポンピドーセンターのミュージアム・ショップでは販売されているのを見ましたし、ミラノのロッサーナ・オルランディーのキャラリー・ショップでもコーナーがありますね。まさにアートと、プロダクトの狭間に存在する存在だと思います。

 家具の一種だと思うのですが、鬼太郎の目玉の親爺を連想しました。
 どこの製品かは知りませんが、これも一種のアートとプロダクトの狭間の存在なんだと思います。アートというと日本ではグッド・テーストのものしか認められてないような気がしますが、私的にはこういったある意味バッドテーストのものも好きですね。

 ハンバーガーのクッション。
 可愛い

 不思議なインスタレーションです。
 BOSAのハイメの馬首の花瓶を彷彿とさせます。
 数珠のように見えるボールの連鎖のインスタレーションは勿論フレドリック・モレルですね。

 このメーカーは一貫してこういったカラフルで、癖のある家具の発表を続けています。最初見たときは奇異な感じがしたのですが、最近ではあまり驚かなくなってしまいしまた。イビザ風とでも言うのでしょうか?

 これは不気味なインスタレーションです。
 ここまで行くと、私的にもちょっと意味不明です。
 何か主張があるような気がしますが、、どうなんでしょうね。

 ちょっと極端なデコの例を見てきたのですが、実際のインテリアではここまで極端なデコは当面はないと思います。当面はミニマルな空間や、エコ的なアースカラーを主体とした空間に、少しエスプリとしてカラフルなプロダクトを置くという事で推移していくのだと思います。
 写真はメルシーでのカラフルでビンテージ的な家具の設置例です。ご存知のようにメルシーの全体のインテリアはエコ的なアースカラーというか、プロバンス的な田舎風に統一されています。こういった空間に一つだけカラフルな家具を置く事でインテリアの膨らみが出てくると思いませんか?

TITLE:デコはどこまで進んできたのか? 仏像をインテリアに使う

 デコの一つの流れとしてミックス・カルチャーとか異文化とかの流れがありますね。キルトの流行なんていうのもその一つだし、エコ・デザインの流れでもヨーロッパの農村風のインテリアというのもある意味「異文化」と言えると思ってます。
 その流れの中で、最近仏像をインテリアに使うという例が出始めています。日本でもバリの仏像をインテリアやガーデンに使ったりしますね。
 今回のメゾン・ド・オブジェでは、その仏像が販売されていました。

 シンブルな空間の中に鎮座する仏像です。
 信仰の対象としての仏像ではなく、インテリアの装飾の為の仏像というのもなかなか面白いと思いました。

 写真の仏像ではありませんか、以前に仏像をインテリアに使えないかと考えた時期があって、たまたまいい仏像が見つかったので3体仕入れた事があります。まだ店頭に出した事はありませんが、こういうインテリアが日本でも許される時期が来たら皆さんに見て戴こうと思っています。

TITLE:デコはどこまで進んできたのか? シャンデリア編

 これからのインテリアはもう少し装飾性の高い傾向が顕著になるという話を、書いたり、話したりしてからもう10年以上になるだろうか?当時の日本はシンプル&モダンがようやく定着しつつあった時期でしたが、欧米ではこのシンプル・モダンの終焉の兆しが見え始めてた頃で、私の話を半信半疑で聞く人が殆どだったことを思いだします。
 日本でもようやくデコの流れが顕著になり始めて来たのですが、では欧米ではどこまでデコが進んできているのかという話を、今回のメゾン・ド・オブジェで見てみたいと思います。
 今日は、まずシャンデリアです。
 凄い事になってます。

 インテリアにシャンデリアというと以前は家庭で見る事は稀でしたが、今ではキッチンにシャンデリアを吊るというのが普通になってきました。勿論、この火付け役はトーヨーキッチンである事は言うまでもありません。
 でも、日本で見るシャンデリアは小型で、シンプルな物がまだまだ大半ですが、ヨーロッパの最先端はこの写真のように大型化し、デコがさらにデコになってきています。

 これはかなり大きなもので、水滴のようなクリスタルが螺旋状に吊るされています。

 ベロのようなクリスタルが天井から床まで吊るされています。こういった長いシャンデリアはLEDを光源に使う事で上から下まで輝きます。昨年のサローネでのバルビエ・トーゾのシャンデリアもそうでしたし、実際にルイ・ビトンの店舗でも使用されています。

 このベロのシャンデリアを壁に使った例です。
 日本の住宅でも以前のように壁から壁を収納にするという考え方ではなく、壁に空間を作って、そこに絵や鏡のような装飾をするものを飾る傾向が強くなってきているので、こういった光を飾るというのもこれから増えてくると思います。

TITLE:スタルクのメゾン・ド・オブジェでのインタビュー

メゾン・ド・オブジェでのXO社のブースで新製品「ミミン」の展示を期に、スタルクがインタビューを受けている様子がYoutubeに上がってます。

インタビューはフランス語で、英語の字幕が付いていますが、自分なりの日本語の訳を以下に付けておきましたので、興味のある方は読んでみて下さい。
えっっ、日本語訳の方が分かりにくいって、、はい、、そこまで分かる方は英語の字幕ほうを見て下さいね(笑)
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質問は「我々に何が欠けているのか?」
そして私は、他にその質問を問いかけていたので既に自分自身で
答えられると思っています。
それぞれの行動にはその時間があり、それぞれの時間にはその
行動があります。
だから我々は、それにふさわしい行動を創造しなければなりません。
すなわち、予定より早く、人々が本当に必要としている行動、
我々全てが本当に必要としている行動ということです。
それが、私が現代のデザインについて非常にたくさんのことを
自問自答する理由です。
現代のデザインは、私たちが直面している全ての優先事項、挑戦、
驚くべき緊急事態に、十分知的に、十分強く、十分迅速に対応
できるのでしょうか?
結局、どんな行動をとれば?
我々は決して忘れてはなりません。あらゆる行動、あらゆる
プロジェクト、あらゆる物体は、壮大な変化の歴史の、偉大な
イメージの一部であると考えられなければならないことを。
40億年前にはバクテリアがいました。その後に魚、かえる、
サル、偉大な類人猿。そして、40億年後、太陽が爆発し、
我々が崩壊した時、全ては消滅するでしょう。
全ての人類の行動は、この進化のスピードに貢献しているに
違いありません。
文明のスピードと質をコントロールする為に今まで何十億もの
人間が行ってきたこの並外れた仕事を続けるため、今、
我々に何が欠けているのか?
それは行動?実態のない行動?
それは残念ながらプロジェクトと物体に姿を変える行動?
物質を作り出すことはいつも、過ちの入り口であることを
覚えていなくてはなりません。
何よりも、それが重要な本当の行動。
今日、許容できるであろう唯一の物体は、他が失ってしまった
非常に強い政治的表現、兆しは見えないが新しい経済の現実、
現時点では少しファッショナブルなのでいくつか出てくるかも
しれないエコロジーの現実、又は、新しいセクシャルアイデン
ティティー(性同一性)を持った物体なのでしょう。
今日、私はそのようなものを何も見ません。
しかし、それは、すべきではないものは何もないという事では
ありません。 それを再発明する必要はないという事です。
我々は、再び熱くならなければなりません。
我々の前には、創造の新しい価値や新しい方法をもたらす、
新しいテリトリーがあります。並外れた豊かな土地の前に
我々はいます。しかしそれは我々が思っているものではあり
ません。今日我々が持っているものでもありません。
だから私は自分自身に繰り返し問いかけます。
我々に、何が本当に欠けているのか?
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デザインとは哲学なのでしょうか??

TITLE:マルセルワンダーズとパカラ

 今年のバカラはマルセル・ワンダーズとのコラボレーションでのプレゼンテーションでした。 (ちなみに、昨年はハイメ・アジョン)

 バカラ・ブースの全景です。
 中央に並べて置いてあるのが,今回のマルセル・ワンダーズの作品です。
 昨年のハイメに比べるとちょっと大人しい感じはしましたが、足の一部に下の写真のようなマルセル・ワンダーズのデザイナー・アイコンがありました。

 デザイナーも作品だけで主張するのではなく、他の方法でもデザイナーのアイデンティティーを外に向かって表現する時代と言われています。ハイメは山高帽を被って、ステッキを持った自身の写真を常に露出してます。マルセル・ワンダーズはデザイナーそのものをアイコン化するというのは、まさに画期的な発想だと思いました。

 クリスタルの他に、動物をスメージしたキャンドル・スタンドも発表されていました。
 クリスタルより、こっちの方がマルセル・ワンダーズらしいと思いました。

TITLE:ハイメ・アジョンの箸置き

 リアドロからハイメ・アジョンの熊さんの置物というか、展示は箸置きになってたので、箸置きなのかもしれないけど、ともかくカワイイ
(ちょっとメディコムのベアブリックに似てるけど、どちらが先なのかは知らない)

 同じ熊で、ガラスのドームの中に入った置物も展示してあった。
 このハイメ・アジョンの熊、最後の日に行ったポンビドーセンターのミュージアム・ショップにも販売されていたので、ヨーロッパでは結構有名なモチーフのようです。

TITLE:インナーモストからウイニールイの新作が登場

 インナーモスト社からイゾラ・リニアのプレゼンテーションで使用した照明のデザイナー「ウィニー・ルイ」の新作が発表されていました

 今まで見た事がない有機的なフォルムの照明器具です
 ここまでアバンキャルドなデザインが日本で受け入れられるかどうかはちょっと分からないと思いましたが、でも個人的には凄く好きなので、秋の東京デザイン・ウィークには皆さんに見て頂けるようにします。
 実際の現物を見て頂いて、いろいろな意見を頂戴したいと思います。

 ちなみに、イゾラ・リニアで使用したウィニー・ルイの照明は左の写真です。
 今回の新作の照明と両方を見ると、彼女がアクセサリー・デザインから始まったということが良く理解出来ます。
 新しい潮流のデザインは、同じストリームの延長線上からはなかなか生まれにくいということかもしれませんね。
 まったく分野が違うアクセサリーのデザインの発想があるから生まれた照明デザインのような気がしました。

 インナー・モスト社からはこなん新作も展示されていました。
 少し「和」のテーストのような気がしました。

 また話は全然変わるのですが、いま話題の映画「アバター」を見てきました。iMAXの3Dが一番迫力があるという話だったので、予約をして見に行きました。

 あんなに面白くて、あんなに疲れる映画は始めてです。
 ジェームス・キャメロン、、凄い監督ですね。
 あと、この映画で驚いたのは実写とCGの視覚的な差を感じなかったことです。何処までが実写で、どこまでがCGなのか、区別はまるで出来ませんでした。CGの進化は想像以上に進んでいるようですね。

TITLE:バルセロナ・デザインの新作

 今回のパリ出張の二番目の目的はパリで開催された「メゾン・ド・オブジェ」の視察ですが、実は一番の目的ではありません。一番の目的は何かという事ですが、いまはちょっと秘密です。恐らく5月頃には皆さんお話し出来るとは思いますが、その時のお楽しみということで・・
 この「メゾン・ド・オブジェ」は家具とインテリアのフェアーで、日本からも沢山のバイヤーが訪れます。このフェアーがサローネと決定的に違うのは、対象がプロのバイヤーなので、サローネのようなお祭り騒ぎがないことかなぁぁ つまりとても地味で、サローネをイメージして行くと期待は完全に裏切られる事になります。
 トーヨーキッチンが日本での総代理店をつとめている「バルセロナ・デザイン」もこのフェアーに出展していて、新作が展示されていたのでそれをまず紹介します

 ラウンジ・チェアーとオットマンです。
 デザイナーは勿論ハイメ・アジョン。
 

 ハイメにしては、ちょっとシンブルで、悪く言うと「遊び」がないなぁぁと思って見てましたが、担当の営業に聞くと、実はこのチェアーは「カラー」で遊ぶのだそうです。
 実際に赤のチェアーも展示されてました。
 鮮やかな赤で、美しいのだけど、日本の建築家でここまで大胆な色使いをこなす人がいるのだろうかと思いました。
 でも、、美しい
 サローネでは、グリーンのバージョンも発表するそうで、ぜひ見てみたいものです。
 このラウンジ・チェアー、今年の秋の東京のデザイン・ウィークに東京ショールームにお目見えする予定なので、ぜひ楽しみにしていて下さい。

 新作のラウンジ・チェアーに座ってご満悦の私です
 座り心地もかなりいい。

 新作ではないのですが、こんなんも展示されていました。

 話は完全に余談になるのですが、Apple社からiPadが発表になりました。いよいよメディアはモバイルの時代に本格的に突入しつつあります。韓国でも、今回のパリでも、香港でも、このモバイルの時代に対応するように、ホテルや空港、展示会場のようなパブリック・スペースにはWi-Fiの環境がかなり充実しつつあります。FreeWi-Fiも当たり前になりつつあって、もう殆ど社会のインフラ化しつつあるような気がしています。パリでの定宿でも、前回まではパスワードがないとホテルが用意するWi-Fiには繋がらなかったのですが、今回行くとパスワードも何もまったくなしで、ホテルに入った途端に会社からの電子メールが滝のようにi-Phoneに注ぎこまれてきて、ちょっと驚きました。
 振り返って、日本はどうかというと、このWi-Fi環境は世界に較べて著しく遅れているとしか言いようがありません。これから本格に迎えつつあるモバイル・メディアの時代に、その基礎的なインフラでもあるWi-Fi環境がこれだけ遅れているのはどういう訳なんだろうと、イーチョン空港を見て感じた日本の航空行政への疑問と同じような疑問を感じました。