RonAradにはいろいろな思い出がある。
勿論、RomArad本人には面識はないが、ミラノでのいろいろな場面でRonAradとの接点があった。何かの縁なのかと思うことがあるが、そういう意味でも大好きなデザイナーの一人だ。
最初にRonAradの作品に出会ったのは、うちのミラノの所長がチニ・ボエリの事務所で働いていた頃に設計した「田園の丘陵地に建つ住宅」というのがあって、その内装に何やら鉄の板を曲げた不思議なブック・シェルフを見つけた。RonAradがまだ大きく売り出す前に自分で溶接機やらを持ち込んで、自分の手で製作したものだということだった。まったく不思議なものを作るデザイナー?職人?だと思って、強烈な印象があった。その後、カルテルからBookworm Shelving として樹脂で発売されているのを知った。
余談だけど、自宅はこのチニ・ボエリの「田園の丘陵地に建つ住宅」をイメージして設計して貰った。勿論、イタリアの田園の丘陵地に建ってる訳ではない。
二度目に彼の作品に出会ったのは、ミラノのとあるショールームの地下のバーカウンターだった。このバーカウンターもRonAradが自分で溶接機を持ち込んで製作したというもので、彼特有の不思議な曲線を持つ美しいもので、一目見ると脳裏に焼きついてしまうという強烈なオーラーを発していた。自分で現場で製作するなんて、凄いデザイナーだと改めて思った。このショールームは今は閉鎖されていて見ることは出来ない。
写真はミラノ城で展示されていた金属ワイヤーの椅子。連続した無数のワイヤーを一つ一つ形状に沿って曲げて形を作っている。気の遠くなるような作業だと思った。
その後、彼はサローネの際、ミラノ市内の外れにある画廊を借りて個展を始めてから、ぐんぐんとメジャーになってきた。彼の個展で印象に残っていたのは、真っ暗な空間に白いビニールの紐を無数に垂らし、その紐のカーテンに向けて彼の製作した映像がプロジェクターで投影されていたものだった。紐なので掻き分けてスクリーンの中に入りこむとこができ、スクリーンの裏側からも映像が鑑賞できるという不思議なインスタレーションで、これも印象は強烈に脳裏にこびりついている。この紐のアイデアは、憶測だけど、昨年の吉岡徳人のTOYOTAのインスタレーションのアイデアの基になっているのではないかと思っている。
この個展で御馴染みの「ロッキング・チェアー」を始めて見かけた。欲しいなと思ってると、たまたまミラノ市内のとてもマニアックな家具屋で売りに出されているのを見つけた。値段を聞くとなんと300万と言われて諦めた。
しかし、その後、このロッキング・チェアーが貸し出されてドルチェ&ガッバーナのショーに突然登場したら、あれよ、あれよという間に価格が上がり一年も経つと更にとんでもない値段になってきた。まあ、完全に諦めは付いたけど、今でも心のどこかに引っかかっている。
ショーに登場してから、暫くしてサローネでドルチェ&ガッバーナとRonAradのコラボレーションが始まった。昨年からはドルチェ&ガッバーナの専用ランナウェーイを使ったRonAradのプレゼンテーションが始まり、サローネで最も人気があるイベントになってきている。
写真はこの会場で発表されていたロッキング・チェアー。
会場風景をビデオ・クリップしました。ロックンロールが流れる会場、ランナウェーイの上に並べられたオブジェやロッキングチェアーの数々、暫しRonAradとDolce&Gabbanaの不思議な世界をお楽しみください。
今回はブックシェルフも発表されていた。RonAradらしくて、不思議な曲線に覆われている。
RonAradの作品は、今回もいろいろなメーカーから発売されていた。。
本日(2007年5月3日)、長らく改装中でした大阪御堂筋のスタジオがオープンします。お時間がありましたらぜひご覧下さい。私も昼過ぎにはいる予定です。
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