TITLE:熊谷隆志の家と、雑誌「ミセス」と、新PUTTON

 写真家であり、スタイリストであり、インテリアや店舗デザインも手掛けたり、また、自分のファションブランド GDC でも有名な熊谷隆志さんが自宅を葉山に新築した。彼からキッチンの相談があったので、一緒になって、熊谷流の新しいキッチンを作ってみようということになった。
 自宅が完成して、その関連記事が今月号の「ミセス」の P344 〜 P349 に特集されたので、ぜひ見て欲しい。
 場所は葉山、どうして葉山かというと、彼の趣味はサーフィン、生活とサーフィンが一つになった暮らしが欲しくて場所は選択したという話だ。

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 「ミセス」が撮影した写真を見ると、家の庭から見える光景は素晴らしい。人工的な建造物は一つも見えない。見渡す限りの「空」と「緑」が広がっている。外観は極めてシンプルで美しい。建築家は仙台のファション関係の店舗を多く設計している「さくま ひろひさ氏」外観を見てると、何か懐かしさみたいなもの感じてしまうのは、ちょっと不思議かな。

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 熊谷氏が選んだキッチンはPUTTON、そのPUTTONを置く為の台は全て熊谷氏のデザイン。アンダルシア産のタイルと、漆喰の組み合わせのデザインは、プロダクト・デザイナーからは決して出てこないイメージだと思う。漆喰を使ってるので、工場生産は不可能で、全て現地で職人さんが造作で作り上げる。まさに、熊谷氏だけの、熊谷氏の為のキッチンと呼んでもいいと思う。
 熊谷邸は勿論非公開なので、誰にもこのキッチンを見て頂く事は出来ないが、今月の15日に名古屋に計画中の「TOYO KITCHEN MUSIUM」が仮オープンするので、ここで見て頂く事が出来る。手前味噌ではなく、このキッチンは、キッチンに携わっている方は必見だと思う。
 そうそう、この「TOYO KITCHEN MUSIUM」は11月15日の恒例のボジョレー・パーティーの折に仮オープンで公開されるが、本格オープンは来年の3月以降なので、それまでは見て頂く事は出来ない。ても、もし、担当の営業に頼めば、工事をしてない日だったら、ひょっとすると見せて貰えるかもしれない、、、と、、 社長が言ったという事は内緒です。

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 この家には隠し部屋がある。イメージとしてはル・コルビジェが最期を過ごしたカップ・マルタンの小屋をイメージしたものらしい。まさに、熊谷隆志のプライベート・スペースなのだと思う。
 この葉山の自宅を新築するに当たって、熊谷氏がまず行ったのは家具選びだそうだ。建築を始める二年前から家具選びを始めたそうで、家具選びが終わった時点から建築が始まったそうだ。置いてある家具の一つ一つに恐らく熊谷氏の思いが込められているのだと思う。それだからこそ、出来上がった家は彼の持つ住宅に対するイメージが強烈に伝わってくる。

 日本の住宅は「施主の顔が良く見えない」と言われます。家具選び一つとっても、建築家の言われるがままであったり、新築をする段になって、突然に家具屋さんに足を運び出したり。最悪のケースだとどこかの家具の量販チェーンの商談会の場で決めたりする。これからの日本の家造りを考える時、もっとそこに置く家具や照明も含めて、施主が自分の意志で選択して、自らが家づくに積極的に参加していくようになってくるとしたら、日本の家も随分と変わってくるのではないかと期待したりしています。