TITLE:熊谷隆志さんの家に行ってきました

 雑誌ミセスの今月号で取り上げられている、スタイリストで写真家でGDCブランドの服のディレクターでもある熊谷隆志さんの自宅を訪問してきました。家の詳しい内容や写真やTOYO KITCHENが熊谷さんと一緒になって作り上げたキッチンについては、この雑誌を参照して下さい。
 今日は、この雑誌で取り上げられてない部分で、私が気になったもの、感銘を受けたもの、そんなところを書いてみます。

 表札はなく、玄関の扉の横が漆喰で仕上げられていて、「KUMAGAI」という文字が漆喰の白と同色で浮き彫りになっていて、なかなかいい感じだ。

 中に案内されて、リビング・キッチンに入ると、窓からは素晴らし展望。以前のnabe forumでも書いたように、人工の建造物が何も視界に入らない。柵の向こうは断崖絶壁。早速庭に出て記念撮影をパチリ。熊谷さんの腕組みポーズが気に入って、最近の雑誌の取材の写真は基本的にこの腕組みポーズで撮影してもらうことにしている。
 この写真で私が着ているジャケットとシャツははGDCの兄貴ブランドVETURA。ディレクションは勿論熊谷隆志

 庭の柵の向こうの断崖絶壁から生えている一本の木に、まるで熊谷さんが飼ってるように、一匹の鷹がいつも羽根を休めている。この日も、その木に留まっている鷹を発見、柵の近くまで近づいても逃げない。なんか、一幅の絵を見てるようで、鷹と空と遠くに広がる山並みを見てると飽きない。すばらし借景だ。

 庭の左端の絶壁からは、何やら黄色い柑橘系の果実が実を結んでいる。これも、もともと自生していたものだそうで、食べるとあまり美味しくないそうだけど、緑一色の景観の中の黄色は一種の点景のようにも見える。

 庭からもう一段降りる階段があって、そこを降りると、絶壁にへばりつくような空間があり、一つがオープンエアーの小さな部屋があり、そこに気持ち良さそうなソファーが置いてある。

 暖かい日には、そこが熊谷さんの昼寝の場所らしいが、普段は愛犬に占領されているとか、、、 さすが、犬は心地いい場所を本能的に感知するらしい。

 以前にもこのブログで書いたように、この家を作るにあたって、熊谷さんがした事は、まず家具選びから始まったそうだ。その家具選びも世界中を飛び回る彼が、その合間の時間を使って買い付けたものなので、私も殆ど見た事がないような家具やライト、それと、さりげなく置かれているアート作品が素晴らしい。
 サーフ・ボードの部屋で見つけた空色に塗装されていたビンテージ家具。ベルギーで見つけたものらしい。少し剥げかけた塗装が家具に味を付けている。欲しいと思った。こういった、使い古した味のある家具が、最近特に気になっている。先日も、ビンテージのジョイ・コロンボのソファーを購入して,現在ミュージアムに展示してあるが、足はの塗装は剥げかけていて、それがまたなんかいい。

 使われている照明も可愛い。
 写真は階段廻りに使われているペンダント・ライト。手作り風の手吹きの色ガラスが爽やか。デザインにちょっとエスニックな味がある。どこのものかは聞き忘れたが、中近東の香りがする。

 ゲスト・ルームに吊るされたシャンデリアのペンダント・ライト。この照明もエスニックな香りがする。

 アート作品も、なにげに無造作に置いてある。かなり有名になった作品もあったけど、熊谷さんが購入したのはかなり昔なので、購入価格を聞くとちょっとびっくりするほど安い。さすが、時代の先端を突っ走ってる人だけのことはある。
 常識に捕われない、美に対しての貪欲な感性が彼の真骨頂のような気がする。

 日本の現代の住宅では、配線は何でも隠してしまうのだけど、熊谷さんの家では、場所によって配線が剥き出しになっている部分がある。写真はインドネシアから取り寄せた、金属製の配線カバー。ロフト風のスパイスが空間に効いているようで、かなり面白いと思った。しかし、こんなものがインドネシアにあるということを知ってる彼には驚く。

 この住宅は熊谷さんを知る人から見ると、どこをとっても「熊谷隆志」の匂いがする。よく住宅雑誌に掲載されている「施主の顔が見えない住宅」ではなく、こんな住む人の個性や人間性を映し出せる住宅がもっと日本でも増えてくるとしたら、日本の住環境も随分と変わるのだろうと思う。