TITLE:EATING + DESIGN 不思議な食事会

 AXISホールで「EATING + DESIGN」という食べることそのものをデザインするという不思議な展示会が開催されている。ディレクターはオランダの女性デザイナー、マライエ・フォーゲルサング(Marije Vogelzang)という方で、クラフトの旗手ヘラ・ヨンゲリウスの元で経験を積んだ方という話だ。
 料理をデザインするのではなく、「食」そのものをデザインしようという、極めてユニークな試みだ。
 その「食」のデザインが何かというデモンストレーション・ビデオの撮影も兼ねた食事会が先日開催されたので出席してきた。極めて興味深い食事会だった。

 テーブルセッティングからユニークだ。テーブルクロスがテーブルから天井まで吊り下げられていて、そのテーブルクロスに切れ目が入っていて、その切れ目から両手と顔を出して食事をするという趣向だ。左の写真が椅子に座って、テーブル・クロスの中に手と顔を出しているので、外から見ると背中とお尻だけ出ている。ある意味ではちょっと滑稽だ。
 右の写真はテーブルクロスの内部で、顔と両手だけが出ている。ある意味、閉ざされた空間のようで、そこに座るだけで妙な親近感か生まれてくる。

 テーブルに座ると、まず目の前には2つに割れた皿に乗せられた前菜のモッツァレーラ・チーズが鎮座している。なんで「割れた皿」?とか、、こんなに沢山のモッツァレーラだけを食べるの?という疑問はすぐに解消した。前の席には同じように2つに割れた皿があるが、ここに乗ってるのはトマトだけ。
 食事が始まると、まず前の席とお皿の片方を交換する。交換すると右の写真のようになり、トマトとモッツアレーラチーズの前菜となる。

 メイン料理はちょっとまた趣向が凝らしてあった。上の写真の4枚はそれぞれの前に並んだ4種類の皿の料理。私は「ポテト」だけ?? 私は「サラダ」だけ?なんてふと思ってしまったけど、実は前菜と同じように皿の料理を互いに廻し合って、それを自分前にあるもう一つの皿に乗せて食べるという趣向だ。つまり、「ロースト・ポーク」に付け合わせで「ポテト」「かぼちゃ」、そしてサイドディッシュとしてのサラダ、、ということになる。
 互いの皿を廻す中で会話も弾み、座はとても和やかな雰囲気となった。食べるだけではなく、なんか共同作業のような気がして、それが互いの気持ちを和らげる事になってるような気がした。

 デザートもユニークだった。
 まず長い皿のようなもの(左の写真)がテーブルに運ばれてきた。皿の上には砂糖が乗せてある。その後にチョコレートとチーズとクッキー(右の写真)が運ばれてきて、それを手に取って前にある砂糖をまぶしながら食べるという案配。砂糖の上に菓子にまぶすときには、ちょうど砂絵のように絵を描くとこが出来、ちょっとした悪戯心を満たしてくれる。

 
 デザイナーのマライエ・フォーゲルサングの話では、もともとプロダクト・デザインを目指してきたが、プロダクトについてはもうありとあらゆるデザインが出尽くした感があり、人間の生活の根本でもある「食」全体をデザインするという未知の領域にチャレンジしたそうだ。
 笑顔が素敵なとてもチャーミングな女性でした。
 写真はマライエ・フォーゲルサングさんとのツーショット。
 食事会の風景はこの「EATING + DESIGN」展の会場で上映されているようなので、興味のある方はぜひご覧下さい。