TITLE:サローネ2010 その7 グルチッチとハイメに遭遇

 バルセロナデザイン、通称「BD」のブースに行ったらコンスタンチン・グルチッチとハイメ・アジョンがいた。二人とも初対面だったけど、BDのマネジャーに紹介されて少し話をした。
 左の写真はグルチッチ(中央)と話しをする私、左はBDのマネジャー
 スカルの刺繍が付いたブルゾンを着てたら、グルチッチが気に入ったらしくて、どこの服なんかと質問された。

 二人ともトーヨーキッチンは知っていたし、コンスタンチン・グルチッチは東京ショールームにも来た事があるそうだ。
 ハイメは来た事はないという話しだったので、ぜひとお願いをしておいたら連休中に来てくれた。
 写真はハイメとのツーショット
 写真で見るより若い感じがする。
 何れも今をときめく世界の若手デザイナーの二人に会えたのはラッキーだった。

 BDから今秋発売予定のハイメ・アジョン・デザインのラウンジチェアーとオットマン。
 今年の初めのパリでのショーの時に発表されていたもので、nabe forumにも記事として取り上げたので憶えて見えるかと思います。そのラウンヂチェアーの4色カラーバリエーションが展示されてました。色は黒、グレー、青、赤です(黒が写真では紫に写ってますが,黒です)
 この黒を1台サンプルで発注してあるので、秋の東京でのデザイン・ウィークには東京ショールームで見て頂けると思います。

 グルチッチの木製のスタッキング・チェア
 まだプロット・タイプ段階なので,発売時期は未定とのこと。
 いかにもグルチッチらしいデザインだと思った。

TITLE:サローネ2010 その6 Established &SONS(3)

 Established &SON、エスタブの三回目です。
 今日はラグと照明を紹介します

 「Wood Rug」と名付けられた敷物
  ウッド・ブロックをデザインしてパターンがラグに描かれている。
 デザインはヒット作「ロング・ウッド」のデザイナーのリチャード・ウッド

 今年度の新作ではないのですが、印象的な照明システム「トーチ・ライト」
 一つ,一つでも機能するのですが、その照明を束ねるとまったく違った照明に見えてくる。
 カラーは黒、シルバー、赤の三色

 同じく新作ではないのですが、エスタブを代表する照明器具
 無数のLEDを円盤の上に埋め込んだ照明
 ペンダントとスタンドの2種類があります。
 Established &SONの代表的なものを紹介しましたが、如何でしょうか?
 この会社、日本ではまだ知名度は少ないのですが、世界のインテリア業界に彗星のように登場して来たメーカーです。
 5月29日から東京ショールームで展示が始まります。名古屋,大阪でも一部商品が展示されますので、ぜひ一度ご覧下さい。

TITLE:サローネ2010 その5 Established &SONS(2)

 Established &SONSの2回目です。

 Heidiと名付けられたスツール
 デザイナーはセバスチャン・ロング
 木製の足と、樹脂の座面が絶妙のバランスだと思いました。
 少し座面が高いので、トーヨーキッチンのTAVOには合わせられませんが、バーカウンターなんかに使われれば、かなり今風の雰囲気が演出できると思います。

イギリス人のアーティスト、マルティノ・ガンパーは、使い古され寄付された椅子を使用して、1日に1脚、100日で100脚の椅子を制作し、2006-2007年にLondon design museumで開催されたconfronting the chairの展覧会で「100 Chairs in 100 Days and its 100ways」という本を発刊し、当時はそれがかなり話題なったので知ってる方も多いと思う。
http://artlabo.ocnk.net/product/2240
 そのマルティノ・ガンパーが始めてデザインした椅子がエスタブから発表されていた。
 曲げ木をの組み合わせで作られた美しい一品です。

 Jumperと名付けられた一人掛けのソファー
 ウールのカバーのものは以前から発売されていたが、今回はニットの張り布を使用したユニークなデザインになっている。ニットも普通のニットを使用しているのではなく、ニットを洗って、乾燥させる過程の中で収縮が起こるが、この収縮を繰り返したニットは極めて耐久性が高い。従って、耐久性を要求されるようなコントラクトでの使用に最適だと思う。

 17世紀のチェストを参考にデザインされた新製品
 扉を開けると別のグラフィックイメージが飛び出してくる。
 このデザインはまずカラーありきから始まったそうだ。普通のデザイン作業では最後にカラーがくるのだが、このチェストに関しては最初にカラーイメージがあって、それがデザインに繋がっているそうだ。
 ちょっと私には難解だが、使われているピンクが何ともいえなく美しい。

 今日の最後はグリチッチのCRASHと名付けられた一人掛けソファー
 家具というより、一つアートピースのような気がする。
 明日は「ラグ」と「照明」の紹介です

TITLE:サローネ2010 その4 Established &SONS(1)

 今日は今年からトーヨーキッチンの仲間入りをするEstablished & SONS(エスタブリッシュト アンド サンズ)の紹介です。
 ご存知のように創業6年目のイギリスのメーカーですが、ここ数年のサローネでは台風の目のような存在で、世界にイギリス旋風を巻き起こしているメーカーです。最新のデザインの中に、どこか懐かしさを感じさせる製品が多く、独特の風合いです。
 私の大好きなメーカーの一つでしたが、このメーカーを日本で扱う事が出来るようになるとは思いませんでした。でも、こうやってエスタブリッシュト アンド サンズ(略してエスタブ)の日本での正規代理店として商品を日本のマーケットに紹介出来るのは凄く嬉しいというのが実感です。
 Established & SONSの日本でのお披露目は今月29日から東京、名古屋,大阪のトーヨーキッチンショールームで開催されますので、このブログを見て興味を持たれた方は是非お出かけ下さい。
 それでは今回のミラノサローネでのエスタブのプレゼンテーションを紹介しますね。

 エスタブの代表作の一つ、カーボン・テーブル。
 長さが2400mmと3000mmの2サイズ
 驚くべき事には、4本の細い足だけでこの長いテーブルが支えられていていること。
 もう一つ驚くべき事は、写真を見ても分かるように、そのテーブルの薄さが驚異的で美しい
 強度は十分にあり、この上を人が歩くことも出来るそうです。
 素材は名前の通りカーボンファイバーです
 このテーブルは数々のデザイン賞を獲得しています
Best Furniture Design,Wallpaper,2008
Best Furniture Design,Design Week Award,2008
Best Innovation,Home & Garden Awards,2008

 エスタブを代表するサイド・ボード「WrongWoods」のカラーバリエーションも展示してあった。この今まではホワイト、グリーン、レッドがあったが、今回はピンク。
 この「ロングウッド」世界的なヒットになって、エスタブの名前を世界に浸透させた商品であり、5月末のお披露目でも展示される予定です。

 Brick (ブリック) と名付けられたソファー
 名前の通り,レンガ状のファブリック・パタンがポップでお洒落です。
 色は黒と赤
 このソファーは秋の東京デザイン・ウィークで紹介予定です

 Quilt (キルト) と名付けられたソフアー
 ちょっと有機的で、どこかクラシックで可愛い。
 
 色は紺と赤、、、オットマンもあります。
 このソファーも秋の東京デザイン・ウィークで紹介予定です。

 ベーシックな木製のフレーム・チェアー
 名前もそのままの「Frame Chair」
 5月末のお披露目でご覧頂けます
 

 有機体のような不思議な形状の椅子「Tudor Chair」
 デザイナーのイメージは8人の妻を持ったイギリスのヘンリー8世の妻達のイメージだということだけど・・・、、私もちょっと理解出来ないので説明は後日ということになる。
 

 最後に紹介するのは引き出しの箱を積み上げたような不思議な収納システム「STACK」。
 引き出しの箱のように見えるのはダミーではなく、本当の引き出しとて機能する。
 百聞は一見にしかずというので、U-Tubeに上げたムービーで動きを確認して下さい。

 キッチンのアイランド化が進んだのにもかかわらず、収納については相変わらず壁に向かって整然と並ぶというイメージしかないのですが,今後はキッチンとリビングの垣根が取り払われたのですから、こういった部屋の真ん中に置く、ちょっとオブジェ的な収納があってもいいのではないかと思います。
 勿論、こういった収納は収納量という意味では劣ってるのは間違いはないのですが、この時代、物が家庭に溢れるということが果たして幸せのパロメーターなのかという疑問を考えると、こういった印象的な収納システムをキッチンの横に侍らせる生活というのも、なんか想像すると楽しくないですか??
 この「STACK」は5月末のお披露目で見て頂けます。

TITLE:サローネ2010 その3 XO社

 昨年よりトーヨーキッチンの扱い商品に加わったXO社はフィエラのメイン会場にブースを構えて新製品を発表してました。

 スタルク、カリム・ラシッドに加えて、時代の寵児とも言えるデザイナー,マルセル・ワンダーズがXO社のデザインを始めて手がけました。
 写真はマルセルワンダーズの椅子です。
 足と背もたれが樹脂で座面はクッションが入ってます。
 マルセルワンダーズらしい少しエスニックの香りがする作品です。

 ガーデンファニチャーも発表してました。
 ちょっと和の香りがしますね。
 材質は不明です

 カリム・ラシッドのオブジェ的な椅子
 企業のエントランス・ホールに置いてあるとかなり印象的だと思う。
 カリムらしいカラフルさと曲線が印象的

 ご存知ミミンのカラーバリエーションが発表されていた
 左は木目、、発売日は未定らしい
 右はシルバーメタリックで、この色は秋には日本にお目見えする予定。
 

 この日、スタルクがエルデコのインタビューで来てたので,お願いしてスタルクとのツーショットの写真を撮ってもらった。
 大御所とのツーショット、あまり緊張しない私だけど、さすがにちょっと緊張した。
 
 
 

 話しはちょっと横道に逸れますが、海外の有名ブログ「Trendir」にトーヨーキッチンのIsola Linearが紹介されました。
 とても光栄です
 ぜひご覧下さい → click

TITLE:サローネ2010 その2 全体の印象

 それではいよいよサローネの本題に入ります。
 まず、、全体の印象というのは元気がない、、ともかく世界的な不況の影響だとは思いますが、サローネ全体のメーカーとしての活気が以前よりかなり低く感じました。
 今年はキッチンの年なのに、どのメーカーも発表は自社のショールームかフィエラのブースだけで、特設会場を発表の場を持っているメーカーは皆無だった。
 メーカーが駄目なら、デザイナーや建築家個人はということで、ここはむしろ今まで以上に活気があった。
 この傾向が続くと、サローネは商売の場ではなく、むしろ作家やデザイナーの発表の場と化してしまうのでないかと思う程です。そうなると、本来のサローネの意義はまったく変わってくる訳で、、でも、、まあ、そんな事はあり得ないとは思いますけど。
 2つ目の印象は、やたら中国人が目立っていた。会場でも中国語が飛び交い、中国の現在の勢いを象徴するかのようでした。 
 でも、サローネ全体の入場者は7%増えたそうだけど、これって殆ど中国人っていうことかもしれない。ともかく、中国人ばかりでした。

 まずアート家具の話です。
 世界同時不況の影響だと思いますが、メーカーはどうしても売れ筋を中心の新製品が多くて、刺激を受ける事が少なかったのが残念です。まあ、中にはエドラやエスタブリッシュ&サンやバルビエトーゾのようなパワーが溢れた新製品を発表してくれたメーカーもありましたけど・・ まあ、この話はまた後ほど。
 上の写真は椅子を樹脂で固めたもので、韓国のデザイナーの作品です。デザイナーの名前は忘れました。ともかく、椅子としての機能を放棄した製品で、まさにアート家具の典型ですね。椅子が氷詰めになった製品もありましたが、同じ作家のものかは不明です。
 前述で書いたようにメーカーが元気がない分、こういったデザイナーの発表の場が増えてきていて、ドローグのような動きを見せ始めたデザイナーも目につきました。つまり、メーカーが新製品に対して臆病になった事で、発表の場をなくしたデザイナーが自分で出資者を募り、自分で製品化を図る、、まあそんな動きですね。

 次に全体の製品トレンドですが、家具のアート化というトレンドは別の切り口ですから、ちょっと横に置いておいて、メーカーとしてどんなトレンドを意識した製品があったかという話をしたいと思います。

 トレンドは名古屋のコンランショップの講演で話したように大きく分けて3っつに分類出来ると思いました。
 1) デコラティブ (カラーも含みます)
 2) スローライフ (キーワードは自然、ロハス)
 3)  インターカルチャアル (異文化との融合とでも訳しますか)
 それでは、順番にその代表的と思われる製品を紹介しながら文を進めます。

 最初は「デコラティブ」
 ご存知ガエターノ・ペッシェ
 メーカーはメリタリア
 このソファー、メリタリアのショールームの外の路上に展示してありました。
 ちょっとグロテスクだけど、さすがペッシェ、、カラフルでデコラティブ
 ペッシェはこの他にもトリエンナーレの広い会場での発表もありました。
 他にも、カラフルな家具で有名なカリム・ラシッドもいろいろなメーカーから新製品を発表してましたし、当社が扱っているモザイクのメーカーSICIS社から驚くようカラフルで有機的なデザインの家具の発表もありました。
 デコはまだまだ健在だと思いました。

 次に紹介するトレンドは「スローライフ」
 沢尻エリカとの離婚問題で騒がれている高城剛も最近出版した本のテーマはやはり「スローライフ」
 日本でもソトコトという雑誌が数年前から売れ始めているとか、ともかく「スローライフ」が世界の生活スタイルのトレンドになってきているのご存知の通り。
 デザインやインテリアの世界でも5年くらい前からこの傾向の兆しがあり、今年のサローネではトレンドの爆発とも思われるような状態になりつつあります。
 写真はスローライフデザインの寵児ピート・ヘイン・イークの収納家具
 価格は聞かなかったけど、かなり高価なものだと思う。
 このスローライフを日本の市場で考える時に一番のハードルが価格だと思う。
 こういったエイジング加工というのはとても高価なものだけでど、日本人のインテリアの価値観の中にこういったデザインがとても高価なものだという認識は現在ではないと思う。
 日本でこういった製品が普及するのには、日本人の価値観が変わった時がポイントなのではと思いながら、実は今月末の新製品のテーマは「スローライフ」、展示は今月末から東京、名古屋、大阪の各ショールームに設置する予定なので、ぜひ興味がある方はお出かけ下さい。
 東京のショールームにはフランスはプロバンスの本格的なエイジング加工を施したキッチンも展示する予定なのでご期待下さい。

 最後はインターカルチュアル、、異文化を融合させた感のデザイン。
 マルセルワンダーズやパトリシア・ウルキォラがそれだと思う。
 この傾向に具体的なネーミングが与えられ始めたのは最近だと、トレンドとしての歴史は結構長いと思う。
 写真は偶然見つけたエスニックな張布のソファー、ちょっとウルキオラ風ということも言えるけど、メーカー名は不明
 デザイナーがデザインをゼロから創造するかというと、そういう訳ではなく、何かを見てインスパイァーされたというケースが多いというか、大半ではないかと思う。
 そういう意味から、まだ見た事のないもの、見た事がない文化、見た事がないデザインという事になると、異文化の接点から見いだす事があるというのは自然だと思う。イブサンローランのデザインがモロッコのマラケシに居を構える事で花開いたという事ととか、ピカソの絵とそっくりな顔をアフリカの原住民の絵に見つけたとか、、そういう事だと思う。
 今後、デザインに関しての情報が瞬時に世界を駆け巡る時代になった現代、まだ見ぬ辺境のアートからインスパイァーされるデザイナーは今後も増えてくるものと思う。
 さて、、総論のイントロダクションはこのくらいにして、次回からメーカー毎の各論に入ります。