TITLE:ライフスタイルという切り口

 今日はちょっと難しい話しをします。
 新製品のプロバンスの発売は業界にとってもかなり衝撃だったようで、肯定的な意見、否定的な意見いろいろ渦巻いて喧々諤々状態のようです。
 いろいろな方の意見をお聞きしましたが、意見の中には「キッチン」に対しての考え方がまるで違っている事による否定論もあるようだったので、トーヨーキッチンが「キッチン」に対してどんな考え方を持っているのか? また、今回の「プロバンス」はどんな考え方を基にして開発されたのかという話しを少しさせて貰おうと思います。

 トーヨーキッチンの開発の切り口は「ライフスタイル」です。
 キッチンを中心とした住空間の中で、住み手がどんな「住み方」、つまりライフスタイルを求めているのかという切り口からキッチンの開発を進めます。この開発の手法では、キッチンだけを単独で開発するのではなく、インテリア全体との取り合いがとても大切になってきます。
 このライフスタイルを想定した場合、キッチンはどんな形やデザインになるのか?
 このライフスタイルを想定した時には、家具はどんなものが合うのか?
 このライフスタイルを想定した場合は、照明はどんなものが合うのか?
 キッチンだけの開発では考えられない複雑な作業になり、パズルの無数の組み合わせから最適な組み合わせを見つけるという気の遠くなるような作業。そして、もし既存のものでは合わない場合は、パズルのピースを世界中から情報を収集る事も必要になります。

 今回の「Ino プロバンス」で想定したライフスタイルは「スローライフ
 プロバンスに憧れる人は多いけど、誰もがプロバンスに住むことが出来る訳ではない。でも、プロバンス的な生活スタイルを自分の住宅の中に実現する事は可能だと思う。
 そんな想いを製品として実現させてみたいというのが今回の「Ino プロバンス

 
 キッチンは長い間「住宅設備機器」という範疇で考えられていました。
 キッチンの流通の流れも必然的に「洗面化粧台」や「便器」や「バスユニット」と同じ商流でお客様の手元に届くというのが普通だった。
 キッチンと同じ空間に便器やバスユニットが存在する事はあり得ないので、キッチンの開発もキッチン単独のプロダクトとして開発・デザインするだけで済んでたし、住空間で共存する他の要素との関わりは特に考える必要もなかったと思う。

 単独のプロダクトであるから、インテリアとの整合性は考える必要はなく、キッチンだけを単独でデザイすればいいので、インテリアに関しての知識は開発をする過程の中で特に必要とすらしなかったりするのです。
 それに開発するのは台所という作業場ですから、単に調理作業が便利であるだけでいいということになり、LDK空間としての住み手の事情は一切考える必要がないということになる。なんせ「便利」であればいいのだから・・

 でも、もうキッチンを単なる料理をする道具という単純なアプローチでのキッチンの開発をする時代は終わったような気がします。
 もっと住む人がどんな住まい方をしたいか、つまり施主がイメージするライフスタイルを住み方のニーズとして捉え、そのライフスタイルを実現することを目的とすべきではないかとトーヨーキッチンは考えています。

 最近発刊された「トーヨーキチン実例集」というカタログがあります。
 このトーヨーキッチンの施工例を見て戴ければ、トーヨーキッチンがいかにインテリア全体のコーディネーションを考えてデザインされているのかという事が分かって頂けると思います。
 そういえば先日放送された「情熱大陸」という番組が建築家安藤忠雄を取り上げていましたが、そのドキュメンタリーの中に登場した個人邸のキッチンはISOLA でした。
 安藤忠雄のクールで美しい家のインテリアに完全に溶け込んでしまた。
 見られましたか??