TITLE:サローネ2007(1) 前日

 ミラノにはサローネの前々日に入った。
 もう何回目のサローネだろうと数えると、ミラノ事務所の所長にもう20回は来てますよと言われて、なんか感無量だった。最初の私のサローネの視察は25年前だった。では、ミラノは何回目だろうと聞くと、担当の専務が「私が今回で48回目なので、もっと多いはずですよ」と言われてちょっと数えてみると60回近くになったのには自分でも驚いた。

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 思い出してみるといろいろなサローネがあったが、トレンドの変わり目と、そのトレンドが定着する過程のサローネが一番面白い。今回のサローネはまさにそのトレンドが明確に定着してきたサローネだと誰もが感じたのだと思う。ミラノの新聞や雑誌でも「SALONE DECO」という言葉が頻繁に登場していた。そういう意味から、2007年のサローネは私にとって思い出に残るサローネの一つになりそうだ。



 前々日にミラノに着いたのだが、ミラノ市内は明後日からのサローネを控えて、もう盛り上がってきていた。サローネはMODAを抜いて、ミラノ最大のイベントになってきたらしい。最大のイベントという事は、ホテル代や航空運賃が高いという事に直接つながり、ユーロ高もあいまって、日本からの参加者もかなり出費がかさんだことと思う。でも、会場を見る限りは、今までのサローネで一番沢山の日本人を見たような気がする。
 市内のあちこちにはアーキテクトがデザインした牛が溢れていた。コルソ・コモにも4体の牛が装飾されて展示してあった。面白いイベントだなと思いながら見ていたら、同行した社員が「ベルリン」かどこかで同じようなイベントを見たことがあるそうだ。ベルリンの場合は「熊」だったそうだけど・・

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 しかし、牛と一口に言っても、装飾や色の使い方だけで、随分と変わった顔に見えてくるのはなんか楽しい。カリム・ラシッドの牛は、なんと半分にスライスしてあった。ここまでいくとちょっとグロテスクだけど、そこはカリム・ラシッドうまくまとめ上げている。
 この牛を後ろから眺めているイタリアのおばさんの服の色が、牛のカラーリングとまったく同じだったので、思わずシャッターを切ってしまった。偶然にしてはちょっと笑える!!

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 ドーモの前の「リナシェンテ・デパート」のウィンドウ・ディスプレーも全てサローネ仕様になっていた。世界の有名建築家の作品が競ってウィンドウに並ぶというのはいかにもサローネらしい。ウィンドウに写り込んでるのはドーモというのか、なんかミラノなんだという気がしませんか?
 日本からは「隈研吾」が選ばれていたが、残念ながらガラスに反射してうまく写真が撮れなかった。

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 さて、次回はフィエラ会場からのレポートです。
 ご期待下さい。

TITLE:サローネ事前情報(4)

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 サローネ開催までもう一週間を切lりました。サローネの情報は洪水のように溢れ始めているので、、今更私が語るまでもないと思います。今日はちょっと視点を変えて、展示内容やイベントについてではなく、ビジネスや、こういったサローネの開催を支えるイタリア社会の背景について書こうと思います。日本のマスコミがサローネをビジネスという視点で報道することは少ないので、インテリア・ビジネスに携わっている方には、ちょっと面白いかと思います。




 日本では、どうしてもサローネの興味の大半がデザインという側面のみで語られる事が多いのですが、実はサローネというのは壮大なビジネスの場なのです。イタリアでは「ビジネスのサローネ」「デザインのアビターレ・イル・テンポ」と言われてますが、余談ですが、日本では何故かこの「アビターレ・イル・テンポ」の知名度が極端に低いのは、日本のマスコミがサローネにだけ関心が向かっているせいなのでしょうね。

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 しかし、最近のサローネは単純に商談の場ではなく、世界中のデザイナーが実験的なプレゼンテーションする場となりつつあるので、どうしても日本からの参加者の殆どの興味が「デザイン」という部分にのみ集中しています。それも、サローネ全体を見るのではなく、世界的に有名なアーキテクトがどんなデザインの商品を発表するのか?もっと極端なケースでは、日本人のデザイナーの作品にのみ興味が集中するという笑えない話もあります。また、最近では日本の会社の出展が増えてきているので、日本の会社の会場だけを見て廻るという、もっと笑えないというより、不思議な参加者も増えてきています。ミラノ2泊組と言われる参加者ですね。

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 まず、話を始める前にサローネの規模について理解をして貰う必要があります。サローネに出展する会社は、会場内と会場外も含めて2000社から3000社の間だと言われています。イタリアの商工会議所の家具メーカーとして登録されている会社は3万社らしいので、サローネに出展するのはイタリアの家具メーカーのほんの一部だとも言えます。



 そのサローネに参加する2000社から3000社のメーカーが、この時期に一斉に新製品を発表する、実はこれがサローネなのです。一つのメーカーが発表する新製品は少ない会社では5種類ぐら、多い会社だと20種類以上の新製品を発表します。そうすると2000社かける、10種類の新製品という事になると、なんとサローネ期間中にはなんと最低でも2万種類以上の新製品が発表されるいうことになります。

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 一つの産業が同時期に2万種類の新製品を発表するという状況を、日本のどんな市場にあてはめて考えても、とんでもない事態だという事がすぐに理解をして貰えると思います。日本の会社が出展しても、日本人のデザイナーが新作を発表しても、サローネ全体としてみるとほんの一部の出来事で、イタリアで注目される事はとても難しいのが現実です。ただ、日本人デザイナーやアーキテクトの位置はかなり高くなってきているので、イタリアの有名メーカーがこぞって使い始めることで注目はかなり浴びるようにはなってきています。
 デザインという側面からだけでサローネを見るのも確かに楽しいし、面白いとは思うのですが、私のブログを読んだ方は、今回のサローネではその規模や、2万種類の新製品を生み出すイタリア人のパワーと情熱、それと、それを支える産業構造を実感して欲しいと思います。そして、振り返って、日本のインテリア産業やインテリア市場への疑問を持って戴ければ幸いです。

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 まず、サローネで発表される製品の多様性はどこからもたらされているのか?2万種類の新製品は当然ですが似たような製品はあるのですが、なんせ2万種類なのでその多様性といったら想像を絶します。では、この多様性を可能にする産業システムはどうなんたろう?また市場としてこの多様性を受け入れる事が出来るイタリアのマーケットとはどんな市場なんだろう?興味は尽きません!!写真はハンドメイドの臭いがプンプンするブリキの椅子。これもれっきとしたメーカーの商品
 このイタリア家具産業の多様性に興味を持たれた方は、「イタリア・デザインの秘密」も併せて読んで貰うと、より面白いかもしれません。


 振り返って、日本のインテリア市場はあまりにも似たような製品が氾濫し、多様な価値観を持つ製品が市場の中で殆ど見られないのはどういう理由なのか?それが、日本のユーザーが均一な趣向の中に埋没して、多様な価値観やデザインはもともと求めてないのか?それとも、日本のさまざまな規制や、日本の流通システムがそれを阻害しているのか? そして、これからの日本のインテリア産業や家具産業どうなるのだろう?現状のままの均一性の高いマーケットとしてこのまま継続していくのか?それとも、インテリア・家具マーケットの成熟度が上がるに連れて、イタリアのような多様性を受け入れるマーケットに変わっていくのだろうか?毎年サローネに行く度に、私はこんな疑問を繰り返し心の中で反芻してしまいます。



 次に、イタリアの家具産業の現状です。2006年度のイタリア家具産業の規模は6兆円だそうです。輸出は2兆円といいますから、生産量の三分の一は輸出と言う事になります。日本の家具産業の規模は知りませんが、恐らくイタリアの規模はとんでもない規模だと思います。前述の多様性を可能にするのはこの産業規模の大きさと言うことが出来るかもしれません。
  最近のイタリアの家具産業でもう一つ顕著なのは、投資グループによる家具とファション産業のグループ化、再編成と言ってもいいかもしれません。



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 写真はロン・アラッドとドルチェ&ガッパーナとのコラボレーション。会場はドルチェ&ガッバーナの専用ランナウェーイ。これもインテリアとファションが急速に近づいてきた事による新しいサローネの傾向の典型的なケースだと思います。




 大きな投資グループは二つあり、ひとつはフェラーリの社長 ルーカ・コルドーネ・ディ・モンテゼーモロや、Tod’sグループの 社長 ディエーゴ・デッラ・ヴィッラらが率いるシャルメCharmeグループがあります。「ポルトローナ・フラウ」、「カペリーニ」がこのグループになります。
 二つめの投資グループはオペラ・グループです。このグループのメインの企業は「ブルガリ」であり、このグループの中にはB&BMoooiが傘下にあります。Boffiがこのグループに入ったという噂を聞きましたが、単なる噂だけかもしれません。
 この投資グルーブ下で、インテリアとファションが産業として融合が進みつつあり、イタリアのインテリア産業もより大きな資本をベースにしたダイナミックな経営戦略を取り始めています。このことが最近のサローネの華やかさにも繋がっていると感じています。

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 このようにサローネをデザイン以外の視点で見ていくと、また違った意味でのサローネの感じ方や見方ができると思うのです。
 サローネの事前情報も4回目となりました。2007年度のサローネの事前情報については今回で最後にします。「参考になった」と思っていただけたら幸いです。次は帰国してから、また独断と偏見も交えながら、私なりのサローネのレポートをしようと思ってます。




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 最後に、もう一つのサローネの楽しみ方は、サローネ期間中は会場内、市内を歩いていると突然に有名なアーキテクトに遭遇します。インテリア好きとしては邪道ではありますが、芸能人に遭遇したテーンエイジャーのように単純にミーハー的に出会いを楽しむというのがあります。出会いがあったら、すかさずデジカメに収録してコレクションでもしてみましょう。
 写真は2006年のサローネ会場で見かけたカンパーナ兄弟。会場内にはさりげなく世界的に有名なアーキテクトやデザイナーが溢れているます。あるパーティーでシャンパンを飲みながらふと振り向いたらガェターノ・ペッシェがそこに立ってたことがある。ペッシェの大ファンとはもうそれだけで大感激でした。
 
それではサローネ会場の、「Ycami」のブースでお待ちしています。フィエラの12号館になります。

TITLE:サローネ事前情報(3)

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 2007年度のサローネもあと一週間ちょっとになり、関連情報もかなり広範囲に集まりつつあります。Webでの関連情報も徐々に充実してきていますので、検索エンジンでいろいろ検索しても面白いかもしれません。
 まず今日は、メイン会場であるフィエラの情報です。




 事前情報(1)でも書いたように広大な会場なので、事前に見たい会社、ジャンルを特定してから会場に入られた方がいいと思います。徒に会場を歩き回っても足や腰に負担がきて、記憶力や注意力も次第に薄くなるというような事にもなりかねません。必ず、はやる心を抑えて、おもむろにガイドブックを入手して、よくホール番号とブース番号を確認してから歩き出しましょう。

 一般的にはまず8号館、12号館が必見です。「Vitra」「Molteni」「Zanotta」「Edra」「Moroso」「Cappellini」「Cassina」、そしてうちが総代理店をしている「Ycami」も全てこの二つの館にブースを設けています。また、この二つの館は二階にあり、隣り合わせなので、とても便利です。
 下にの写真は、8号館、12号館のブースのメーカー別の配置を分かる範囲でメモしたものです。参考にしてください。



                                            
                                            
 次にトリエンナーレでのイベントですが、「New Italian Design」というのがメインの展示のようです。インテリア、プロダクト、アクセサリーの分野で活躍するイタリアの124名のデザイナーの合同展示のようです。
 もう一つのトリエンナーレのイベントですが、ちょっと驚いたのですが、少し前に「AXISビル」のリニューアル・オープンのイベントで、深沢直人とジャスパー・モリソンが主宰した「Super Normal」という展示を憶えてみえますか?そのイベントをどうも今度のサローネのトリェンナーレで再現するようです。このイベントは「ペンや洗濯バサミなど無名デザイナーの日常生活用品 200 余点を展示」するもので、今まで気にも留めなくて日常的に使用していた物が実はいいデザインなのだというイベントです。AXISで見たときは結構面白かった。今回のトリェンナーレでは、どんな展示がされるのでしょうか?
 次にミラノ市との共催イベントです。
 ドゥオモに向かって右に「パラッツォ・レアーレ」という古い建物があります。エヌマーレ三世の王宮だそうです。ここで「Camera con vista (眺めの佳い部屋)展」が開催されます。イタリアの 1900- 2000 前世紀から今日までのイタリアンアートとデザインを展示という事なので、かなり面白そうです。余談ですが、この建物は王宮美術館と呼ばれるミラノの歴史的建造物です。中に入ると、イタリアの歴史的な重みを体全体でずっしりと感じ何とも言えない雰囲気にさせてくれます。行かれたことがない方は必見です。

 最近、サローネの第二会場とも言えるようになってきた「トルトーナ地区」ですが、TOYOTAのプレゼンテーションはここのOffinaFiorentini(ViaSavona35)で開催されるようです。プレゼンテーションの内容ですが、もうすぐ発売されるれハイブリッド・レクサスLS600hをモチーフにした造形モデルと、Dior銀座ビルの建築家乾久美子の新作家具「ノハラ」を展示。 空間構成は乾久美子とア ーティストの平川紀道だそうです。










 同じくトルトーナ地区です。コーリアンがジャンヌーベルを使っての新しいコーリアンの造形の可能性のブレゼンテーションを行います。題して『CORIAN NOUVEL LUMIERES
場所はOfficine Stendhal” via Stendhal 35です。昨年はザハ・ハディドのデザインでキッチンのプロトタイプをコーリアンで製作して展示してあった。今年はコーリアンで何を作るのだろう?



 最後にミラノのの天気ですが、アルプスの麓という事もあり、山岳気候の影響で変わりやすく、寒いと思えば、夏のように暖かくなったり、ともかく読めません。事前にいくら天気予報をチェックしても意味がない事も多いので、持って行かれる服は冬から初夏まで幅広く対応できる服を持参する事をお奨めします。

TITLE:サローネ事前情報(2) 日本企業の出展は??

 サローネまであと2週間ちょっととなり、ここにきてようやく色々な情報が集まり始めました。
 でも、日本とは違って、直前までは中々情報が出てこなかったり、アナウンスがあった筈なのに、突然に変更になってたり、そんなとこは日常茶飯事ですので、その点はご容赦ください。
 なんたって、イタリアなんですから、、、

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 サローネへのツァーも、そんなイタリア式寛容さを心に持って行かれると、精神衛生上大変宜しいというのが、私のアドバイスです。
 「郷に入れば、郷に従え」ですね。
 写真は去年のサローネ、メイン会場のフィエラの正面入り口に立つ私
 今日は、最近とみに増えてきた日本企業のサローネでの出展予定を分かる範囲で列挙してみます。
 今年はちょっと珍しい業種が日本から出展します。
 マンション業者の三井不動産レシデンシャルが、トリエナーレの二階で建築家「隈研吾」のディレクションの基、「つなぐ~TSUNAGU~」というテーマの出展をする予定です。展示場所はサローネでの一等地、使うのは世界的に有名な隅研吾なので、それなりの興味は惹かれますが、事前情報(1)で書いたように、三井不動産が世界やイタリアのマンション市場に打って出る計画は聞いたことがないので、しこの出展も世界に対しての情報発信の場という位置づけではなく、日本への情報のフィード・バッグによる、三井不動産の日本のマンション市場でのイメージ・アップというのが出展の目的だと思います。出展の内容はともかく、こういったやり方や手法に頼らないと日本でのイメージ・アップが出来ないというのは、なんか悲しい感じがします。
 以前にステファノ・ジョバンノーニのオフィスに行ったときに見かけた携帯電話が、今回のサローネで発表されるようです。メーカーはNECで機種はDOCOMOで、デザインはステファノ・ジョバンノーニです。
場所は「Superstudio Piu」ですから、市内の会場になります。
 テーマは。「DoCoMo : New Vibes from Stefano Giovannoni – design for cellular phones
 この出展も携帯電話という商品の性格から言って、世界に向けての発信ではなく、日本市場に向けての情報のフィード・バッグでしょうね。

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 写真はステファノ・ジョバンノーニのオフィス兼自宅の屋上という妙な写真
 また、ステファノ・ジョバンノーニですが、アレッシーでブレークしたことと、ある有名なあるデザイン・コンサルタント会社(ここはかなり高い)が窓口となったことで、かなりの日本企業からのオファーが続いているようですね。以前に彼に会った時も、一ヶ月に二回は日本に行ってるって言ってました。
 毎度お馴染みというか、サローネでのちょっとした顔になりつつあるTOYOTAの「LEXUS」ですが、今年も出展をするようです。テーマは例年通り「L-finesse 先鋭-精妙の美」のようですが、具体的な展示内容についての情報は、業界がまるで違うということなので、例年通り事前情報は掴んではいません。これでレクサスも3年目という事になるわけで、例年のすざましい程の金のかけ方を見てると、今年も凄いんだろうなとい期待感は持たせてくれます。場所は「Officina Fiorentini」 、、ここどこだろう??
 
 同じく3年目になるTOTO、今年はステファノ・ジョバンノーニをクリエィティブ・ディレクターに迎えての出展です。はっきり言って、過去の2回の出展内容は、世界的なデザインのレベルからみても、あまりに退屈過ぎるデザインだったので失望したのですが、今回はステファーノ・ジョバンノーニを使うのでちょっと期待していいかなと思ってます。TOTOはサローネで出展の目的が、世界の市場に対してのプレゼンスの強化とHPには書いてありますが、去年のようなデザインをプレゼンテーションをしている限りでは、真意を疑るか、それとも本当にそう思ってるなら、TOTOのデザイン管理者のレベルに疑問を感じざる得ません。ちょっと、厳しいかな??反論はミクシーでどうぞ、、>TOTOのデザイン担当者の方
 でも、今年はちょっと期待してますので怒らないで下さい。>TOTOの方
 テーマは「Hi-Tech, Hi-Bath”LUMINIST meets STEFANO GIOVANNONI
 場所は「MAGNA PARS」Via TORTONA 15
 ミクシーに入ってる方は、次も参照して下さい。私のマイミクの建築芸人さんが日記に書いています。
 ちょっと気になってるのが、日本ビクターがサローネに出展するという話です。ビクターはいま松下が企業そのものを売却してしまおうとして、新聞紙上をかなり賑わしていますが、どうしてこの時期に日本ビクターが?という素朴な疑問と、出展の商品が「呼吸球式スピーカーの公募デザインモデル」とあります。えっ、、そもそも呼吸球式スピーカーってなんだ?私では解説できないので、ビクターのホームページを参照して下さい。
 YAMAHAは今回は本格的に出展するようです。前回のサローネでは、ヤマハのような巨大な企業が、「サテライト」という新人デザイナーに発表の場を安く提供しようという趣旨のスペースに出展をして、少し顰蹙を買ってました。今年はその反省の意味もあっての本格出展なのかなと推測してます。間違ってたらゴメンナサイ>YAMAHAさん。
 テーマは「scenen of tone」で、新しい楽器デザインの提案。場所もメジャーな「トルトーナ地区」なのでかなり気合が入ってる筈ですね。
 しかし、楽器のデザインのプレゼンテーションって、過去のサローネでは記憶がない。そういう意味からも、このYAMAHAの出展は地元でもかなり注目されると思う。
 そういえば、先日喜多俊之さんに会ったら、サローネで個展をすると言ってました。
 最後に「TOKYO DESIGN PREMIO _TOKYO LOVE」とのテーマで、東京デザイナーズ・ウィークと100%デザインの事務局「デザインアソシエーション」が今年もまた出展するようだが、例年通りの展示だとしたら、イタリアまで行ってわざわざ見に行くのは、会場で担当者と日本語で話せる以上の意味は何もないと思う。  勿論、個人的な意見です。
 もうちょっと別の見せ方がや企画があるんだろうと思うけど、、
 まだ、これ以外にも日本人のデザイナーのプレゼンテーションや、日本の会社の出展もあるようだけど、長くなるので今日はここまでにしておきます。

TITLE:サローネ事前情報(1)

 世界最大のインテリア・イベントである、ご存知「サローネ」の開催まであと一ヶ月を切ったので、そろそろ事前の情報を上げて行きます。
 
 サローネに行く予定の方は必見だし、行かない人も事前の情報から、実際のサローネの事後記事と継続して読むことで、サローネの感じ方が違ってくると思います。当然ですが、この「NabeForum」でもサローネの報告を掲載する予定なので期待して下さい。
 今年のサローネは来月18日から23日までの会期で、北イタリアの都市ミラノで開催されます。メインの会場はミラノ郊外にある「フィエラ」という巨大な展示会場で、まさしく巨大、、どのくらい巨大かというと、会場の中央に動く歩道があり、その歩道の両側に展示館がズラリと並んび、その歩道の長さが1kmもあるという代物。当然ですが、フィエラの全ての会場を見るというのは、殆ど不可能だし、もし見たとして単に会場を歩き回る以上の意味はないと思います。
 ですから、自分がどんな家具を見たいのか、どのメーカーの製品を見たいのか、事前によく調べてから行かないと、会場をウロウロするだけで終わってしまう恐れは十分にあります。ここ「NabeForum」でも事前に入手した情報をリアルタイムで掲載する予定ですので参考にしてください。
 サローネは基本的には「家具」の見本市ですが、併設として隔年で「キッチン」と「照明」の見本市が開催されます。いわゆる「ユーロクッチーナ」と「ユーロルーチェ」です。今年は照明の年ですのでキッチンを見たい方は来年にされたほうがいいかと思います。
 会場では企業ベースの展示の他に、新人デザイナーの登竜門として「サテライト」という催しもあり、若いデザイナーの息吹を直接肌で感じる事ができるので、中々興味深く、私は必ず訪れる催しです。最近では、単に独立した個人のデザイナーだけでなく、企業内の新人デザイナーが企業の後援を受けて出展する場合もあり、こういったイベントが企業ベースで使われるというのは、私としては少し否定的な考えを持っています。
 サローネでは最近このフィエラの会場での展示だけではなく、ミラノ市内でかなり広範囲に展示が広がっています。デザインナーの特別なプレゼンテーションから、インテリア産業以外からの特別展示もあり、サローネも単にインテリア産業だけの枠に留まらず、デザイン全般のプレゼンテーションの場として変化してきています。
 TOYOTAは二年前から積極的にサローネで特別展示を行うようになりました。昨年の吉岡徳仁 を使ったプレゼンテーションはかなり話題になりました。デザイナーでは、インゴマウラーがクリッチィアのスタジオを借り切ってのプレゼンテーションは毎年衝撃的です。ロンアラッドも毎年市内の画廊を借りてのプレゼンテーションをやってましたが、一昨年から「ドルチェ&ガッバーナ」の後援を受けて大きな規模になりました。特に、昨年は「ドルチェ&ガッバーナ」が新たに建築した自前のコレクション会場でのロッキング・チェアのプレゼンテーションは昨年の11月8日の日記の「ドルチェ&ガッバーナの純利益」でも紹介したとおりです。
 もう一つの見所は「トリェンナーレ」という市内の会場で開催される企画展です。今年の情報はまだ掴んでいませんが、ここでの展示は毎年かなりインパクトがあるので、サローネに行かれる方は必ず予定に入れるのをお勧めです。過去の展示で印象に残るのは「ソットサス展」「ガェターノ・ペッシェ展」、日本の企業ではエンツォ・マリーのデザインで「HIDA」が発表した新作展が印象に残っています。
 近年、このサローネの情報発信力に注目して、日本のメーカーもかなり積極的に展示スペースを持つようになりました。産業デザイン振興会も昨年はトリエンナーレで「日本のグッド・デザイン」の特別展を開催したり、東京デザイナーズ・ウィークも市内で特別展をやってました。過去の日本の企業の展示で特に印象に残っているのは、いい意味でも、悪い意味でも、あの「IDEE」がスプークトニクを担いで開催した特別展です。なぜいい意味で、なぜ悪い意味なのかは、ここでは秘密にしておきます。
 他の企業のことはあまり悪くは言いたくないのですが、日本の企業がサローネで特別展をする場合は、何故か世界に向けての情報発信ではなく、日本に向けての情報発信とイメージのフィード・バッグが目的ではないかと思われる点です。ですから、日本企業の展示に訪れるお客の大半は日本人ですし、海外のメディアが注目する事は殆どありません。私の知ってる限りで、海外のメディアに注目されたのは、前述の「IDEE」と「TOYOTA」「HIDA」そして、「NEXT MARUNI」ぐらいです。
 どうしてなんだろうと考えると、一つは当初から出展の目標が「日本へのイメージのフィード・バッグ」であるとしか思えないのと、二つ目が、こういった企画をするスタッフがあまりに世界のデザインのレベルを知らなさ過ぎるという点だと思います。
 今年も多くの日本企業がサローネに出展するようですが、目的が「日本へイメージのフィード・バッグ」だけではないとこを祈ります。
 いずれにしても、このサローネはインテリアやデザインに関わる人間として必見であるのと、世界中からインテリア・デザイン関係者がこのミラノの地に集まってきます。日本では一度も会ったことがないのに、ここミラノののサローネでは毎年会うというような人もいる程です。デザインを見るという目的以外に、デザイン関係者との交流と意見の交換というのも、このサローネでの楽しみの一つです。