TITLE:サローネ2007(2) 総論編


 各論に入る前に、まず2007年度のサローネは全体としてはどうだったかという話から始めます。

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 今年は例年よりも参加者が多かったようだと書きましたが、主催者側の発表でも27万人にのぼり、昨年の22万5千人より20%も多い参加者だったようです。もっと驚くのは参加者の62%がイタリア以外からだということで、まさにサローネは世界最大のインテリア・家具・デザインイベントに成長したと言えます。






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 主催者側はこの発表を受けて、来年のサローネは会期をもう一日延長することを検討すると発表しています。会期の延長は参加者の分散を可能にするので、来年は今年よりもっと参加しやすくなるかもしれませんね。来年はキッチンの年なので、日本からの参加者も今まで以上に増えることと思います。
 参加企業についても、現在400社以上も待機リストがあり、その大半が外国からだということなので、恐らく来年はもっと多くの日本企業の参加があると推測します。日本からの参加企業の目的が「世界に向けての情報発信」ではなく、「日本市場への情報のフィード・バックによる企業イメージの向上」だとしたら、参加企業が増えることでマスコミの取材対象が分散するので、後者が目的の企業の意味が薄れるので結果的にはいいことではないとか思います。
 今年の日本企業の参加ブースを視察しても、プレゼンテーションそのものは有名建築家やデザイナーの起用で素晴らしいのですが、展示してある実際の製品やコンセプトがイタリアの現在のトレンドと見比べると、少し時代錯誤ではないかと思われるものがあり、どう贔屓目に見ても日本市場に向けてのイベントであるという感はぬぐえないものも多く見かけました。


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 それではサローネ全体の話に戻ります。
 今年のサローネの特徴は大きく分けて3つあります。
 1つは「ミニマルの終焉」とDECOの時代の本格的到来」です。4,5年前からこの傾向は徐々に出始めてはいるのですが、今年のサローネでこのトレンドが完全に定着した感を持ちました。象徴的なのは、あのチッテリオと切っても切れないとと思われていたB&Bがショールームの最前列に「パトリシア・ウルキオラ」、その後ろには「ザハ・ハディド」、そして最後列がなんと「チッテリオ」だったのにはちょっとびっくりしました。この話は、また後日します。

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 2つ目はイタリア家具業界の再編成の動きです。事前情報でも書きましたが、いまイタリアの家具業界は二つの大きなグループの動きが活発になってきていすま。「シャルメ・グループ」と「オペラ・グループ」です。イタリアの家具業界は中小企業が中心の時代から、巨大な資本をバックにした企業集団の時代に移りつつあるようです。今回のサローネではシャルメ・グループのカッペリーニとフィアットのコラボレーションが新しい時代の到来を予感させました。





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 最後、3つ目は「デザイナーのウィンブルドン化現象」です。つまりイタリアのデザイナーや建築家よりも、海外のデザイナーの活躍する場が大きくなってきています。日本からのデザイナーの活躍もそういった流れの一つと見る事ができます。逆にイタリア人の若いデザイナーで目に付くのは「カルロ・コロンボ」だけのような気がしています。世界中のデザイナーや建築家をミラノに集まり、デザインのレベルは大きく上がったが、逆にイタリア人のデザイナーの活躍する場が減ってきた、、まさに「ウィンブルドン化現象」ですね。
 そうそう、ファション業界とのコラボレーションも以前よりかなり増えてきたと思います。



 さてっと、次回はいよいよフィエラ会場からのレポートです。