TITLE:プロダクトとアート

 大量生産されているプロダクトは以前と違って簡単にコモディティー化してしまいます。これはプロダクトのIT化で、生産に熟練が必要が無くなり、単純に部品を購入して組み立てるだけで技術が無くても大量に生産されてしまい、大量に生産され、供給されるものはすぐにコモディティー化して価格競争に陥ってしまいます。
 最近の日本の家電メーカーの苦境はその象徴的な出来事ですね。
 大量に生産される商品は、それを保有する喜びはなく、それがプロダクトの差別化が非常に難しいということに繋がります。また大量に生産・供給されるものに対しての嫌悪感さえ生まれている昨今です。
 そのコモディティー化をさける方法として最近欧米のブランドでよく見られるようになってきたのは「プロダクトのアート化」だと思います。保有する喜びが一番高い「アート」を、日常的な「プロダクト」のイメージと重ね合わせる事で、製品のコモディティー化を避けるという手法です。
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 最近のルイ・ヴィトンの村上隆や草間弥生とのコラボレーションはその典型ではないかと思います。
  また、今年のサローネでのバルビエトーゾのプレゼンテーションやトム・ディクソンのフレスコ画で埋め尽くされた歴史的建造物でのレストランとか、、ボレック・シュペックなどもプロダクトとアートの関係に強く注目した事例でも見る事が出来ます。
 話題を本業に戻して、、
 ご承知の通り、先週末に東京・南青山で妹島和世さんの設計で照明のショールーム「LUCE TOYOKITCHEN STYLE」をオープンさせました。
 LUCEに入って感じるて貰えるのは、通常のショップやショールームではなく、一種のミュージアムのような印象を持たれると思います。日本の照明は蛍光灯が主体という事もあって、かなりコモディティー化が進んだプロダクトだと感じています。従って安価で、チープな質感の照明が大半で、照明のショールームというと天井から所狭しとばかりその種の照明がぶら下がり、その景観は醜悪以外の何ものでもないという感じを持ってました。
 日本の照明をもっと付加価値の高いものにして行く為には、照明のアート化とまでは難しいのですが、少なくともショップそのものをミュージアムのような雰囲気で見て貰う事で、少しでも照明にアートを感じて頂く事が出来ないかと思い、世界のミュージアムの設計に携わってきた妹島和世さんにお願いした訳です。
 
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 この写真は「LUCE」の2階で訪問してくれた友人に撮影して貰ったものです。この2階が一番ミュージアムを感じます。
 日本のキッチンの概念を根本からひっくり返し、日本のキッチンの概念を創造したと自負するトーヨーキッチンの新たな試みを注目して頂ければ幸いです。

投稿者 nabe : 2012年10月01日 12:00