TITLE:カボッシュが時計の新作発表会の会場に登場しました

 銀座にある某有名ヨーロッパ・ブランドが秋に向けて新作の時計を発表しました。
 そのプレス発表会の会場に TOYO KITCHEN STYLE の照明器具「カボッシュ」が展示されました。

 発表会は銀座の店の中に特設会場を設けて開催されました。
 勿論、インビテーション・オンリーなので一般のお客様は入場出来ません。
 当社の「カボッシュ」はその特設会場の入り口を飾ってました。

 インテリアは全て白一色
 展示されたカボッシュ・スタンドは空間に完全に溶け込んでました。
 実は、この新作発表会は世界中で開催され、との会場にも入り口にはこのカボッシュが置いてあったそうです。

 TOYO KITCHEN STYLE が本格的に照明を扱い始めて4年になります。今まではペンダント型が中心でしたか、これからはこのカボッシュ・スタンドや、今回COREロックンロールで発表した Great One のように、キッチンにもこういったスタンド・ライトを使用していけたらと思っています。
 スタンド・ライトは,視覚的にキッチンとリビングの見えない垣根を取り払う事ができると思います。

 写真は Great One です

TITLE:不思議な岐阜の家具屋さん

 岐阜に面白い家具屋さんがある。
 30代の若いオーナーで、昔はファション関係の仕事をしてたそうだ。
 どうして面白い家具屋かっていうと、ビンテージ家具の専門店で、それもただのビンテージ家具ではなく、スペース・エイジと呼ばれる家具を中心にコレクションしていて、おまけにとても高価だ。
 こんなマニアックで高価な家具を集めて売るという商売が、失礼だけど岐阜でビジネスとして成立するのかという疑問が当然湧いてくるのだけど、どうも成り立っているようだ。でも、かくいう私もわざわざ岐阜まで出かけていって買うのだから、まあ私のような客はかなりいるという事なんだろうなと思う。
 このショップで最近昔から欲しいと思ってた照明器具を購入した。

 キング・サンという名前の照明で、デザイナーはガエ・アウレンティ
 バリのオルセー美術館をデザイン・設計したことで知られるイタリア人の建築家であることはご存知の通り。
 見ていると、なんか照明器具というよりは、一つの建築構造体を見ているような錯覚に陥る、不思議な作品だ。
 この家具屋のオーナーはアストレア君といって、彼の不思議なビジネス以上に、個人としても面白い。
 曰く「こんなものは誰も知らないだろうという家具を集めるのが好き」
 私「おいおい、、誰もしらなきゃ、、商売にならんだろうが、、」
   と、、俗人の私は思ってしまうのだけど、彼の口からその言葉が出てくると、なんか自然にそのまま受け入れてしまう。
 曰く「金持ちとは商売はしない!」
 私「えっと、、この家具いくらだっけ?」
 
 まあ、話していると興味は尽きない。
 希代のB級グルメの甘党であるというのも、なんか可笑しい。
 アストレア君のブログ → ここ

 ちなみに購入したキング・サンは名古屋本社のミュージアムに展示してあるので、一度見てみたいと思われる方はご予約下さい。

TITLE:木造4階建ての温泉宿 環翆楼

 木造4階建てという不思議な温泉宿が箱根の塔ノ沢にある。
 築100年というから、かなりのレトロ感だし、今では木造で4階建てという建築は許可されないそうだ。そいいう意味からでも、建築としてはかなり興味深い。

 宿に入った瞬間に100年前にタイムスリップしたかのような錯覚にさえ陥ってしまう。
 この宿、実は私の20年来の友人がやってる旅館で、時々全国に散らばった友人が一同に集まって、旧交を暖めたりする場でもある。この友人とは、若い頃に青年会議所という組織に入っていて、その頃に知り合い、以降なんやかんやで交遊が続いている。
 そんな由緒ある旅館の親父なので、どことく雅な顔立ちで、それと、子供の頃から温泉で生まれ育ったというだけあって、なんか顔がいつも艶々としているような気がして、さすが塔ノ沢の湯は肌にいいという看板を背負っている、、、ていう感じかな!

 玄関を入ると、右手に飾られている大きな古色蒼然とした金庫。

 格子の窓越しにお庭を見ながら、部屋へと案内される。

 畳敷きの渡り廊下
 建具は全て昔のままの木製。

 木製の床の渡り廊下
 建具に入ってるガラスは全て「手吹きの板ガラス」
 像は微妙に歪むが、ガラスの透明度は素晴しい。
 こんなガラスが割れないで今まで残っているというのは驚異だと思った。
 ヨーロッパにはまだ「手吹きの板ガラス」を製作している工房は残っているという話は聞いたけど、日本でもまだ残っているのかどうかは聞き漏らした。

 旅館の4階にある国宝級の大広間。
 襖絵はかなり修復が必要なように見受けたけど、予算的にも一旅館で修復費用を負担するのはかなり厳しいと、、親父は言ってた。さもありなんと思った。でも、この70畳の大広間、かなりの迫力で、一見の価値はあると思う。

 大広間の天井
 欅の一枚板で覆われている。一見曲げ木に見える天井側面の桟も、良く見ると曲げ木ではなく、一枚の木を刳り貫いて加工してあるように見えた。
 昔のものは、一点一点に職人の手が入っていて、それが何か暖かみみたいなものとして伝わってくるような気がした。

 環翆楼の玄関で旅館の親父と記念撮影。
 宿の下足番にシャッターを押してもらったら、なんとピントがオオボケだったので写真は縮小しました。
 一泊しただけだけど、、なんか肌が艶々になったような気がしたけど、、 な、、わけないな。
 箱根塔ノ沢の「環翆楼」、今風のカップル向けの温泉宿ではないけど、、お近くにおいでの節で、木造建築に興味がある方、レトロな雰囲気がお好きな方、ぜひ一度お出かけ下さい。

TITLE:アートとしての家具 CasaBrutusの場合

 ここ nabe forum でも、実用品としての家具ではなく、アートとしての家具について度々話をしてきました。日本の場合はどうも「座る」という機能を優先させるという切り口だけで椅子やソファーを評価してしまうという考え方が一般的で、空間デザインを優先させた家具というのは、どうしても脇に追いやられてしまっているのはとても残念です。

 4月号の「CasaBrutus」のアートの特集の中で、アートとしての家具も特集されていましたので紹介します。こういう切り口で家具を雑誌で取り上げられる事は日本では希有なので、CasaBrutusの新編集長の勇気に拍手を送りながら、この特集を取り上げてみます。
 余談ですが、CasaBrutusの前編集長は吉家さんというとても素敵な女性で、先頃無事に男の子を出産されたそうです。おめでとうございます

 この特集では家具だけでなく、建築やファションさえも、アートという切り口で語られていて、とても興味深いです。
 話を家具に戻して、この特集ではいろいろなアートとしての家具が取り上げられていますが、私なりに興味をそそられたものを取り上げてみます。

 アレッサンドロ・メンディーニのロッカー
 ロッカーの上にはゴールド・モザイクのガラス・タイルに覆われた巨大なブーツが鎮座している。価格は 60,000 ユーロだから、900万円強ということなので、かなり高価ではあります。誰もが購入出来る価格ではないので、市場には出回る事は無く、コレクターの間で売買されるだけだと思うので、まさに自分だけの家具で、玄関先の靴の収納ローカーとして置いてある様を想像するだけで、強烈なインパクトを感じる。
 近藤典子さんの200足の靴を効率的に収納出来るというロッカーより、こういった無駄で美しいロッカーの方が私としては食指が動いてしまうのです。住む空間が、あまりにも無駄がなく効率的で合理的というのは、なんか息が詰まってしまう私です。
 心のゆとりみたいなものは、「無駄」なものから生まれてくるような気がします。

 ステュディオ・ジョブの巨大なブラックホール付きの収納。穴が開いてりゃ、収納として使い物にならないということになるが、、、不思議なイメージだ
 記事よるとブロンズ製らしい。
 いかにもステュディオ・ジョブらしい一品。
 価格は、日本円に換算して3600万円というから、とても高価、、限定の生産台数が5台らしい。

 TOYO KITCHEN STYLE では、キッチンだけではなく、キッチンに付随、隣接する家具や照明をトータルで提案出来る企業を目指してきてました。特に、アイランド・キッチンの時代になって、空間にキッチンだけを単独で置いて、それでおしまい、、後はユーザーが自分で考えて下さい、、というだけの対応ではなく、キッチンを中心としたインテリア空間をトータルに提案していきたいと考えています。
 アートとしての家具という切り口も、一つのキッチン・インテリアを提案するキーワードだと考え、かねてから開発をしてきました。この、私としても思い入れが強い家具を来週ようやく発表することになりました。
 楽しみにして下さい
 
 3月28日より六本木 Muble で一般に公開されます。TOYO KITCHEN STYLE が考える、キッチンに隣接するアートとしての家具、ぜひお出かけ下さい。

TITLE:空間オブジェとしての椅子

 日本では椅子やソファーというのは「座りやすい」という事が第一義に考えられていて、座り心地の悪い椅子やソファーは、それだけで市場から排除されてしまうことがある。
 しかし、椅子やソファーというのは「座る」という機能だけでなく、空間に置くことによって、空間そのものの空気感さえも変えてしまうという機能が、むしろ「座る」という機能よりも大切なのかもしれない。つまりインテリアとしての家具という側面からの家具の価値基準から考えると、家具も一つのアートとて捉える事が出来る。

 最近、1億6千万円で落札された「ラウンジ・チェアー」がある。
 ロッキード・チェアーとか、ロッキード・ラウンジ・チェアーと呼ばれるのがそれで、アルミをハンドメイドで叩いて、折り曲げて、リベットを打ち込んで製作されたそうだ。世界に一台しかなく、現在ではもう製作は不可能だそうで、それが1億6千万という価格の所以かもしれない。
 それにして、椅子が1億6千万とは、ちょと、、というか、、かなり驚く。
 デザイナーはマーク・ニューソン、、プロデューサーは日本人の元IDEEの代表だった黒崎さん。日本人がこういった物造りに携わったというのは、なんか同じ日本人として誇らしいと思う。
 でも、黒崎さんがこのローキード・チェアーをプロデュースしたのだけど、結局は日本のマーケットはそれを理解する事は出来なかったようで、200万程度の価格で外国に渡ったそうだ。黒崎さんのような、こういった天才的な人間が出現しても、日本のインテリア・マーケットはあまりに保守的で、権威主義がまかり通っていて、こういった革新的な製品を受け入れるだけの許容性に欠けるようだ。

 従来、こういった高額で取引されるアート性の高い家具はビンテージ家具が殆どで、新作家具がその対象になることはなかったが、ここ数年、新作家具についてもアートピースに近い価格で取引されるようになってきた。勿論、こういった新作家具は限定で生産され、限定数に達すると、製作に必要な型さえも廃棄される。
 最近、ロンアラッドのロッキング・チェアーの新作が発売になった。
 価格は1300万から2000万円、、、勿論一台の価格だ。

 このロッキング・チェアー、、私の「サローネ・レポート」でも再三に渡って取り上げているし、昨年の東京デザイナーズ・ウィークでもオークションで一台出品されたので、憶えている人もいると思う。このオークションがいくらで落札されたのか、それとも落札されなかったのかは、その後の報道がないので知らない。でも、こういったアート家具の需要が日本に多くあるとは考えられないので、恐らく不調で終わったのではないかと推測する。もし、そうでなかったら、日本の家具マーケットも機能一辺倒から、インテリアとしての家具のマーケットが芽生え始まったのかもしれない。

 ダーウィシュというラウンヂ・ソファーがある。
 ミラノのサワヤ&モローニ社が世界限定6台で製作して話題を呼び、当時世界的なイタリアのインテリア雑誌「INTERNI」の表紙を飾った、有名な椅子だ。限定で、とても高価な椅子を製作して販売するという意図が当時は私も良く分からなかったが、新しいインテリア・マーケットへのアプローチの切り口として、かなり興味をそそられたので購入した。今から考えると、よく買ったなと思うけど、ともかく現在になってみるとアートピースとしての新作家具の原点と考える事が出来るので、購入して良かったと思っていいる。
 現在、このダーウィシュは本社の「ミュージアム」に展示してあるので、こういた家具に興味がある方は一見の価値はあると思う。ミュージアムの見学は予約制なので、事前に担当の営業を通して申し込んでください。

TITLE:パリの落とし物

 パリで見かけた不思議な家具と照明器具

 ガーデン・ファニチャー
 木の根っこが岩の中に入り込んだものを岩ごと掘り出して、それを椅子とテーブルに削りだしたものらしい。
 「これは自然の物か?」って聞くと。
 「勿論」という答えが返ってきた。
 これは、何と言っていいものか、表現する言葉に詰まる。
 しかし、、なんとも言えない存在感だ。

 木の化石を使ったガーデン・スツール
 これも自然というか、本物の木の化石らしい。
 そもそも、こんな大きくて、ちゃんとした木の幹の形をした化石を見た事がない。
 なかなか珍しい素材だと思うけど、それをスツールにしてしまうという発想、、何か抜けてしまっていると思うしかない。

 ハイヒールの脚を持つテーブル。
 脚がハイヒールというのも飛んでるけど、色使いはもっとぶっ飛んでる。
 フランス人は凄い

 美しいゴールドのモザイク・タイルを側面に貼付けた、猫足のクラシックなバスタブ
 なんかいいなぁぁ、、このKIRA・KIRA
 このバス・タブに入れば、そのまま桃源郷の境地に入りそうな気がする。
 家のバス・タブ、、これに変えたいって、一瞬思った。

 ザハ・ハリドの有機体のような照明器具
 ザハ・ハリドって、、なんか抜けちゃってる感じがする
 照明の下にあるソファーもザハ・ハリドのデザイン

 ご存知、名作「Goast」のミラーバージョン
 デザインはTOYO KITCHEN STYLE のミラノデザイン・オフィス所長の Tom Katayanagi と Cini Boeri
 素材を変えるだけで、これだけイメージが違ってくるって、、なんか凄いと思った。
 自分的には、このミラー・バージョンの Goast は結構好きかもしれない。

 白いプラスチックのヌードの男性が群がるランプ・シェード
 ダンテの「神曲」を連想した
 こんな照明器具の発想はどこからくるのだろう?
 プロダクトそのものよりも、その発想の原点を知りたいと思った。

 ヨーロッパのマーケットに存在する多様性を持つプロダクト群、それを支える多様な発想を持つデザイナー、それと、なんと言っても、その多様性を容認して,受け入れる事が出来るマーケットの懐の深さには本当に驚く。
 振り返って、日本の市場は多様性という意味では,欧米のマーケットと比較して格段に遅れている。これがユーザーの趣向の多様化かまだまだ進んでないというえ意見もあるが、もう一つの理由としては、許認可と結びついてしまっている流通の閉鎖性というのが原因なのだと思っている。

PS.
 明日から南青山のショールームでYcamiの新作と、照明器具のFoscaliniの新作発表会を開催するので、ぜひ足をお運び下さい。明日 2月20日 は私も会場に詰めているので、ぜひお客様とお話が出来たらと思います。
 尚、Ycami の新作の展示会は 南青山以外にも名古屋、大阪、福岡 でも開催中なので、ぜひご覧下さい。話題の ORIGAMI は勿論展示してありますが、今回 Carlo Columbo の新作 PASHA も展示してあります。

TITLE:ソットサスの近影

 最近撮影されたと思われるソットサスの写真です。
 ソットサスについては、いろいろ噂が飛び交ってますが、写真を見る限りでは「老いて益々、、」という感じですね。
 ソットサス・ファンとしては嬉しいですね。

 しかし、グリーンのパンツに黄色のマフラーとは、なんというお洒落なお爺ちゃん。
 日本のデザイナーや建築家って、、なんで服装に気を使わない人が多いのだろうって思ってしまう。
 サローネで、マオカラーのシャツを制服のように着ている日本の建築家が溢れているのを見るたび、なんか情けないやら、、悲しいやら、、

TITLE:INTERNI のキッチン年鑑に掲載されました

 今日は、ちょっと嬉しい、ニュースです。
 世界的に影響力があるイタリアのインテリア誌「INTERNI」(インテルニ)から毎年12月に掲載される2007年度「キッチン年鑑」TOYO KITCHENが掲載されました。
 まだ、本誌は見てないので何とも言えないのですが、恐らく、日本のキッチン・メーカーでは始めての掲載だと思います。それも、2ページに渡っての掲載です。

 掲載のページです。

 その12月号と、キッチン年鑑の表紙です。
 「INTERNI」ですが、最近 TOYO KITCHEN にかなり注目して貰ってます。
 ブログでは紹介は出来なかったのですが、9月号では六本木の新しいショールーム Mueblel も大きく取り上げてもらいました。
 こうやって、日本だけではなく、世界的なインテリア誌が当社に興味を持って戴くというのは、なんか本当に嬉しいですね。

TITLE:熊谷隆志さんの家に行ってきました

 雑誌ミセスの今月号で取り上げられている、スタイリストで写真家でGDCブランドの服のディレクターでもある熊谷隆志さんの自宅を訪問してきました。家の詳しい内容や写真やTOYO KITCHENが熊谷さんと一緒になって作り上げたキッチンについては、この雑誌を参照して下さい。
 今日は、この雑誌で取り上げられてない部分で、私が気になったもの、感銘を受けたもの、そんなところを書いてみます。

 表札はなく、玄関の扉の横が漆喰で仕上げられていて、「KUMAGAI」という文字が漆喰の白と同色で浮き彫りになっていて、なかなかいい感じだ。

 中に案内されて、リビング・キッチンに入ると、窓からは素晴らし展望。以前のnabe forumでも書いたように、人工の建造物が何も視界に入らない。柵の向こうは断崖絶壁。早速庭に出て記念撮影をパチリ。熊谷さんの腕組みポーズが気に入って、最近の雑誌の取材の写真は基本的にこの腕組みポーズで撮影してもらうことにしている。
 この写真で私が着ているジャケットとシャツははGDCの兄貴ブランドVETURA。ディレクションは勿論熊谷隆志

 庭の柵の向こうの断崖絶壁から生えている一本の木に、まるで熊谷さんが飼ってるように、一匹の鷹がいつも羽根を休めている。この日も、その木に留まっている鷹を発見、柵の近くまで近づいても逃げない。なんか、一幅の絵を見てるようで、鷹と空と遠くに広がる山並みを見てると飽きない。すばらし借景だ。

 庭の左端の絶壁からは、何やら黄色い柑橘系の果実が実を結んでいる。これも、もともと自生していたものだそうで、食べるとあまり美味しくないそうだけど、緑一色の景観の中の黄色は一種の点景のようにも見える。

 庭からもう一段降りる階段があって、そこを降りると、絶壁にへばりつくような空間があり、一つがオープンエアーの小さな部屋があり、そこに気持ち良さそうなソファーが置いてある。

 暖かい日には、そこが熊谷さんの昼寝の場所らしいが、普段は愛犬に占領されているとか、、、 さすが、犬は心地いい場所を本能的に感知するらしい。

 以前にもこのブログで書いたように、この家を作るにあたって、熊谷さんがした事は、まず家具選びから始まったそうだ。その家具選びも世界中を飛び回る彼が、その合間の時間を使って買い付けたものなので、私も殆ど見た事がないような家具やライト、それと、さりげなく置かれているアート作品が素晴らしい。
 サーフ・ボードの部屋で見つけた空色に塗装されていたビンテージ家具。ベルギーで見つけたものらしい。少し剥げかけた塗装が家具に味を付けている。欲しいと思った。こういった、使い古した味のある家具が、最近特に気になっている。先日も、ビンテージのジョイ・コロンボのソファーを購入して,現在ミュージアムに展示してあるが、足はの塗装は剥げかけていて、それがまたなんかいい。

 使われている照明も可愛い。
 写真は階段廻りに使われているペンダント・ライト。手作り風の手吹きの色ガラスが爽やか。デザインにちょっとエスニックな味がある。どこのものかは聞き忘れたが、中近東の香りがする。

 ゲスト・ルームに吊るされたシャンデリアのペンダント・ライト。この照明もエスニックな香りがする。

 アート作品も、なにげに無造作に置いてある。かなり有名になった作品もあったけど、熊谷さんが購入したのはかなり昔なので、購入価格を聞くとちょっとびっくりするほど安い。さすが、時代の先端を突っ走ってる人だけのことはある。
 常識に捕われない、美に対しての貪欲な感性が彼の真骨頂のような気がする。

 日本の現代の住宅では、配線は何でも隠してしまうのだけど、熊谷さんの家では、場所によって配線が剥き出しになっている部分がある。写真はインドネシアから取り寄せた、金属製の配線カバー。ロフト風のスパイスが空間に効いているようで、かなり面白いと思った。しかし、こんなものがインドネシアにあるということを知ってる彼には驚く。

 この住宅は熊谷さんを知る人から見ると、どこをとっても「熊谷隆志」の匂いがする。よく住宅雑誌に掲載されている「施主の顔が見えない住宅」ではなく、こんな住む人の個性や人間性を映し出せる住宅がもっと日本でも増えてくるとしたら、日本の住環境も随分と変わるのだろうと思う。

TITLE:マンションもいよいよデコの時代?

 今年のサローネを見ても、また、今年のデザイナーズ・ウィークを見ても、世界のインテリアデザインは今までのミニマル・デザインから大きく舵を切って、DECO の時代に入って来ています。5年ほど前からその予兆があったイタリアでは、今では、今さらDECOという言葉自体を使うのがおこがましいほど、その傾向は完全に定着しています。単なるDECOではなく、「どんなDECOなのか?」というテーマでもかなり長時間の議論が出来そうです。
 しかしながら、日本のインテリアの現状はいまだ「ミニマル」の世界にどっぷり浸かっていて、大半がDECOの流れさえ理解出来ない専門家が多いのが現状です。しかし、日本でもDECOの足音は着実に近づいてきています。都市部のマンションの多くが、モデル・ルームのキッチンにインスタレーションとしてシャンデリアを吊るのは、もう珍しくも何ともなくなってきています。しかし、部屋全体としてDECOをイメージしたプレゼンテーションはまだ見た事がありません。
 東京の有明地区。 「ゆりかもめ」の延長や、銀座からの一直線の道路も完備して、一種の都市型リゾート地区として注目を集めて来いる地区なのはご存知の通り。

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 その有明地区に東京建物が建設中の大型マンション「マーレ有明」の高層階の特別室42室にTOYO KITCHEN STYLEISOLAが採用されました。有明という地区も興味があったのですが、それよりも東京建物の担当者が、「モデル・ルームのイメージをDECOを採用しました」という言葉が印象に残ったので、担当の方に特別にお願いして視察をさせて貰いました。

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 モデル・ルームは隣接する20階立てのビルの最上階、ビルインのモデルルームは見た事があるが、高層ビルの最上階というのは始めてだ。マンション完成時の景観を実際に実感して貰おうという意図だということだ。確かに、東京湾を挟んで見る、東京都心の展望は素晴らしい。夜はもっと奇麗という説明を受けて、思わず夜にもう一度来てみようかと思ってしまった。

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 モデル・ルームの玄関を入ると、いきなりジョガーリがモザイク・タイルの壁にかかっている。ホワイト・ゼブラの建具を通して、ISOLAとジョガーリのシャンデリアが見える。なかなかいい感じだ。

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 玄関から部屋に入ると、そこはリビング・ダイニングそしてキッチンを一つの空間として捕らえた美しいスペース。数年前から「リビング・レス」というコンセプトで空間のワンルーム化を提案して来たせいもあって、実際にメジャーなマンションにこのコンセプトが採用されているのを見ると、ちょっと感無量。
 空間全体のイメージは確実にDECO、ジョガーリ・シャンデリアも多用されていたり、使用してある家具や什器も品のいいDECOでまとめられていて、とても気持ちがいい。最近、ミニマルな空間に身を置くと、なんか一昔前のデザインを見せつけられているようで、居心地が悪いが、この空間は気持ちがいい。
 少しレトロに仕上げたISOLAのデザインにも奇麗に合っている。

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 寝室と、バニティーから見たバス・ルーム。窓から夜景が一望に見える設計らしい。東京の夜景を全部自分のものにして、湯につかって1日の疲れを癒す、、かなり魅力的。寝室は落ち着いた感じに仕上がっているのと、バニティーの鏡がかなり気に入った。

 「マーレ有明」では、マンションのモデル・ルームでは始めて本格的なDECOをベースにしたプレゼンテーションを見せて貰った。これが一つの成功例になれば、マンションやビルダーのインテリアも雪崩を打ったようにDECOに振れるのではないかという予感がした。

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 ここで、もう一つ驚いたのは、建具にゼブラ柄、それもホワイトのゼブラが使われてしたいということだ。私はかなり好きなのだが、一般的にはどうなんだろうと思って、案内してくれた女性に聞くと、高層階での建具セレクションはかなり高い確率でホワイト・ゼブラを選択されるとのことだ。これには、ちょっと驚いた。
 ともかく、マーレ有明はいろんな意味で面白かった。
 気がついたら3時間近く滞在してしまった。

追伸
 安藤忠雄をスターにした雑誌「CasaBrutus」、、その雑誌が、今月号の特集は「アンティーク家具」、、脱ミニマルの予兆は少し前から感じられてたけど、、
 そうかぁぁ、カーサがアンティークかぁぁ
 この雑誌は影響力が大きいから、DECOの時代の到来は思ったより早くなるかもしれない、、そう思った。